【シェアハウス|規制緩和|寄宿舎扱い→施行令・条例改正・告示】
1 シェアハウス|基本的内容・社会的意義
2 国土交通省の見解|寄宿舎該当|9・6ショック
3 寄宿舎としての規制|主要項目|改正前
4 国土交通省大臣コメント|緩和方針
5 シェアハウス規制|緩和経緯
6 シェアハウス規制|改正後|主要項目
1 シェアハウス|基本的内容・社会的意義
都心部においては地価が高く,賃貸住宅の家賃が高い傾向が強いです。
そこで,居住することが難しい,という方も多いです。
不動産のオーナーとしては,借りる人が現れにくい,ということになります。
この問題を解消する1つの方法がシェアハウスと呼ばれるものです。
<シェアハウス|基本的内容・社会的意義>
あ サービス内容
ア 一般的内容
1つの居室に複数の者が居住する
イ 最近の傾向
居室内を物理的に区切って使いやすくする
い メリット
ア 住宅供給
入居の料金が安いので入居者が借りやすい
イ 不動産の有効活用
オーナーの空室リスクの回避となる
不動産の活用,入居者のニーズをかなえる,という意味で有意義なものでした。
ところが,火災によって入居者が負傷するという事故が生じることがあります。
当然,居住者の密度が高いので,被害は大きくなりがちです。
2 国土交通省の見解|寄宿舎該当|9・6ショック
このような状況において,国土交通省が高密度のシェアハウスの規制,について公的見解を示しました。
シェアハウスは,形状によっては,建築基準法上の『寄宿舎』に該当する,という見解です。
<国土交通省の見解|寄宿舎該当|9・6ショック>
一般的なシェアハウスについて
→建築基準法上の『寄宿舎』に該当する
具体的な構造・形状によって異なる
※平成25年9月6日国住指4877号
※平成25年9月6日国土動指44号,国住指1970号,国住マ34号
『寄宿舎』は,設備として一定の性能,装備が必要とされます。
寄宿舎の規制内容は厳しいものです(後記)。
違法となってしまうシェアハウスが多数続出しました。
『脱法ハウス』と呼ばれるようになりました。
これらの設備を完備するには,一定の改装,改造が必要,となったハウスも多いです。
元々が低廉な賃料の設定です。
このようなコスト負担があると,採算が取れない→廃業,というケースも続出しました。
業界内では『9・6ショック』と言われています。
国交省からこれらの見解が示された日にちなんだネーミングです。
3 寄宿舎としての規制|主要項目|改正前
寄宿舎としての規制は結構重いものです。
主要な規制内容をまとめます。
なお,その後,規制緩和が行われています(後記)。
これは改正前の規制内容です。
<寄宿舎としての規制|主要項目|改正前>
防火,耐火性能 | 建築基準法24条3号,27条 |
採光,換気 | 建築基準法28条 |
防湿性能 | 建築基準法29条 |
敷地内の一定の空き地 | 東京都建築安全条例19条1項,2項 |
4 国土交通省大臣コメント|緩和方針
シェアハウスに一律に『寄宿舎』の高いハードルを課すのは過剰でした。
そこで,緩和する方向性が示されました。
<国土交通省大臣コメント|緩和方針>
あ 時期・発言者
平成26年3月
国土交通省大臣
い コメント内容
ア 方向性
シェアハウスに関する規制を緩和する方向性
イ 具体的施策
法規上,明文をもって規定を作る
例;施行規則
必要最小限に抑えた規制を新たに作る方針です。
健全な住居の供給,不動産の活用の促進,普及実現への方向性です。
その後,法整備が進められました。
5 シェアハウス規制|緩和経緯
シェアハウス規制に関する規制緩和の流れをまとめます。
<シェアハウス規制|緩和経緯(※1)>
あ 建築基準法施行令改正
改正建築基準法施行令
平成26年7月施行
い 国土交通省告示
平成26年8月22日
国土交通省告示860号
外部サイト|国土交通省|告示860号
う 東京都建築安全条例
東京都建築安全条例改正
平成27年4月1日施行
一部は平成27年6月1日施行
緩和された規制内容は次に説明します。
6 シェアハウス規制|改正後|主要項目
緩和された後の規制内容を整理します。
<シェアハウス規制|改正後|主要項目>
あ 延べ床面積
200平方メートル以下
い 階数
3階以下
う 寝室数
避難階以外の階 | 6以下 |
寝室数の合計 | 12以下 |
自動スプリンクラー設備等設置部分は制限なし
え 窓先空地
幅員50㎝以上の屋外通路が確保される場合
→不要となる
お 廊下の両側居室
廊下の両側に居室を設置することができる
か 廊下の幅員
廊下の幅員の制限はない
き 路地状敷地への建築
路地状敷地にも施設を建築できる
く 接道長さ
特殊建築物としての接道長さは適用されない
け 遮音間仕切壁
遮音間仕切壁は不要である
こ 寝室面積・特例
やむを得ない場合
例;既存建築物の転用など
→寝室面積は7平方メートル未満でもよい
※上記※1の規定類・建築基準法など