【ワンウェイ(乗り捨て)方式レンタカー・カーシェアと車庫法】

1 ワンウェイ方式のカーシェア
2 自動車の使用の本拠・保管場所の特定
3 『使用の本拠』の扱いの変更
4 ワンウェイ方式の有効活用と車両管理
5 環境配慮車両による会員制カーシェア
6 通達の情報ソース

1 ワンウェイ方式のカーシェア

BtoCカーシェアは社会的なメリットもあり,普及しつつあります。
詳しくはこちら|カーシェア(自動車の貸し借り)全般のメリットと普及
カーシェアサービスの一環として乗り捨てのニーズが高まっています。
ワンウェイ方式のカーシェアなどと呼ばれています。

<ワンウェイ方式のカーシェア>

あ ワンウェイの内容

事業者が複数の場所に駐車場を確保している
ユーザーは借りた場所以外の駐車場に自動車を返却できる
乗り捨て型とも呼ぶ

い カーシェアの意味

一般的なレンタカーと同じ意味である
CtoCのカーシェアとは異なる
=自動車の所有者と借りる者を結びつけるサービス

2 自動車の使用の本拠・保管場所の特定

『保管場所』は,自動車1台について1箇所に固定する,ということが前提となっています。
1台の自動車を複数の場所で保管する,ということを前提とすることがこの規定に違反することになります。

<自動車の使用の本拠・保管場所の特定>

あ 使用の本拠・保管場所の特定

自動車の『使用の本拠の位置・保管場所』の特定が必要である

い 位置の制限

『保管場所』について
『使用の本拠の位置』から2km以内である必要がある
※道路運送車両法7条,車庫法3条,同施行令1条1号

この規定については,緩和されました。次に説明します。

3 『使用の本拠』の扱いの変更

自動車の『使用の本拠』については,ワンウェイ方式のレンタカーの促進のために緩和されました。

<『使用の本拠』の扱いの変更>

あ 『使用の本拠』の扱い

『配置事務所』を『使用の本拠の位置』とすることができる

い 具体例

自動車の管理業務を行う事務所を『使用の本拠』にできる
例;本社や支店
→事務所の最寄りの駐車場を『保管場所』にすることができる

う ワンウェイ方式との関係

実際の自動車が複数の駐車場を行き来している状態
→適法となる
※ワンウェイ方式通達(後記※1

結論として,ワンウェイ方式カーシェアのサービスを適法に運用できます。

4 ワンウェイ方式の有効活用と車両管理

ワンウェイ方式は自動車が複数の拠点を,繰り返し移動することになります。
そこで,運用する際は各配置事務所での車両の管理が必要になります。
さらに,複数の事業者が連携すると,ユーザーとしては借りる・返す場所の選択の幅が拡がります。
そこで,提携先の事業者が貸渡の業務を行う,ということも想定されます。
この方法も通達では認められています。

<ワンウェイ方式の有効活用と車両管理>

あ 典型例・有用性

同一企業内or提携事業者の事務所に乗り捨てられた車両を貸し渡す方式
→乗り捨て車両の有効活用に資するものである

い 適法性

これ自体問題を生じるものではない

う 車両の管理→『配置事務所』

ア 車両の状況把握・管理義務 車両の状況の把握・管理は『配置事務所』において的確に実施すべき
常態化することを是認するものではない
イ 車両の状況の内容 例;貸渡し状況・整備状況など

え 『代理貸渡』の形態

提携事業者が車両を貸し渡す場合
→『車両の所有者』の代理として『貸渡し』を行うよう指導する
※自家用自動車の貸渡通達(後記※1

5 環境配慮車両による会員制カーシェア

国交省の通達では『会員制』の自家用車のシェアリングも想定されています。
業法の規制では一般的に『会員制』の位置付けが問題となっています。
詳しくはこちら|シェアリング×会員制・組合方式|法規制の対象・該当性|基準=独立性
自家用車貸渡通達の中では,会員制であっても有償貸渡の許可を得ることが前提とされています。
この通達では,『環境配慮車両』を使用する際は陸運支局へ届け出ることが求められています。

<環境配慮車両による会員制カーシェア>

あ レンタカー型カーシェアリング

会員制 により『特定の借受人』に対して,自家用自動車を業として貸渡す形態
自家用自動車有償貸渡の許可を受けることが前提

い 環境配慮車両における届出事項

『環境に配慮した車両』を使用する前提の場合
→あらかじめ,運輸支局長への届出が必要(許可の条件)

う 環境配慮車両の内容

ア 天然ガス自動車(CNG自動車)イ 電気自動車ウ ハイブリッド車エ メタノール自動車オ 低燃費かつ低排出認定車カ アイドリング・ストップ車

え 環境配慮車両以外の使用

『環境配慮車両』以外を使用する場合
→エコドライブについて会員に研修・啓蒙を行う計画を作成・実施する(許可の条件)
例;アイドリングストップの励行
※自家用自動車の貸渡し通達(後記※1)『2(5)』

6 通達の情報ソース

以上の説明で用いた通達の情報ソースをまとめておきます。

<通達の情報ソース(※1)

あ ワンウェイ方式通達

レンタカー型カーシェアリングにおける乗り捨て(ワンウェイ)方式の 実施に係る取り扱いについて
平成26年3月27日国自情第205号,国自旅第609号
自動車局長
外部サイト|国土交通省|ワンウェイ方式通達

い ワンウェイ方式の報道発表

いわゆるワンウェイ方式のレンタカー型カーシェアリングの実施に係る取り扱いについて
平成26年3月27日
国土交通省;いわゆるワンウェイ方式のレンタカー型カーシェアリングの実施に係る取り扱いについて

う 自家用自動車の貸渡通達

貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いに ついて
平成18年3月30日国自旅第286号(最終改正)
自動車交通局長
外部サイト|国土交通省|自家用自動車の貸渡し通達

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