【犯罪類型ごとの示談金相場(目安)】
- 被害者に払う示談金について大まかな目安を教えて下さい。
- ごく平均的な「相場」を次に示します。
ただし,個別的な事情により大きく異なることがあります。
1 示談金額に影響を与える典型的な事情
2 示談金に大きな影響を与える事情の具体例
3 示談金の平均的な相場(目安)
1 示談金額に影響を与える典型的な事情
一般的に,被害者のいる刑事事件においては,被害者に示談金を払うことが行なわれます。
法律的な性格としては,民事上の損害賠償ということになります。
被害者に払う示談金の金額は通常は交渉によって決まります。
多くの事情が影響を与えます。
その中でも典型的な事情についてまとめます。
<示談金額に影響を与える典型的な事情>
・被害の大きさ(損害の程度)
・被害者の加害者に対する処罰の希望
・被害者が事件を忘れたいと考えている程度
・加害者の経済力(経済的事情)
・加害者の前科などによる実刑の可能性の程度
2 示談金に大きな影響を与える事情の具体例
結果的に示談金の金額に決定的な影響を与える事情があります。
典型的な事情を元にした交渉経過の例を説明します。
<示談金の交渉経過の例>
あ 『実刑と執行猶予のはざま』カテゴリ
示談が成立するかどうかで実刑となるか執行猶予となるかが分かれる,というケース
→加害者が多額の示談金支払に応じる
い 示談が成立しなくても量刑に影響がほとんどないカテゴリ
仮に示談が不成立でも罰金で終わる,というケースで,被害者が高い示談金を要求(提示)
→加害者は被害者の要求(提示)を拒否→交渉決裂→結果的に示談金支払なし
3 示談金の平均的な相場(目安)
平均的な示談金としては,一定の「相場」があります。
あくまでも平均的なものについての目安は次のとおりです。
個別的な事情によって大きく異なることがあります。
具体的な案件については,ご相談いただくようお勧めします。
<示談金の平均的な相場(目安)>
あ 暴行罪
10~30万円程度
い 傷害罪
10~100万円程度
う 窃盗罪(被害額が少額の場合)
被害額程度~プラス20万円程度
え 詐欺罪・横領罪・恐喝罪(被害額が少額の場合)
被害額程度~プラス20万円程度
お 強盗罪(被害額が少額の場合)
被害額程度~プラス50万円程度
か 強姦罪
100万円~200万円程度
数十万円ということもあれば,500万円を超すこともあります。
き 痴漢(迷惑条例違反・強制わいせつ罪)
10万円~30万円程度
態様によっては100万円を超すこともあります。
く 自動車運転過失致死傷罪・危険運転過失致死傷罪
示談金の平均的な「相場」というものはありません。
被害者の受けた傷害・後遺障害・死亡という結果について,民事上の責任が算定されるからです。
自動車保険の任意保険が適用される場合は,保険会社から保険金が被害者に支払われます。
なお,飲酒運転や無免許運転などにより,自動車保険の「免責条項」に該当する場合は保険が適用になりません。
他の財産から賠償できないと,処分(刑)は一気に重くなります。