不動産(総合)に関する解決実績|専門弁護士ガイド
2 貸地・借地,土地明渡
3 土地境界
4 通行権,ライフライン埋設
5 不動産競売
6 建物賃貸借
7 不動産登記
※みずほ中央法律事務所の解決実績の一部です。
守秘義務,お客様の承諾によって,開示できる範囲が異なります。
1 共有不動産
<実績|収益物件の共有物分割>
あ 事案
いわゆる収益不動産を兄弟A,Bで共有している状態でした。
・千葉県の中規模の駅の直近
・商店街
・RC4階建
・敷地約100坪
共有者Aが1・2階の一部に入居し,飲食店を営業していました。
管理会社への依頼や,他のテナントからの集金はすべてAが行っていました。
AからBに経費を控除した残額のうち2分の1が配分されていました。
Bとしては,『管理をAの息子の会社に発注している』『経費が不当に高い=水増し』などの不正を疑っていました。
そして,『B持分を買い取るよう』要求しました。
しかし,その買取金額が2億円と,不当に高いものでした。
Bが利益分配の請求と共有物分割請求の訴訟を提起してきました。
Bは共有不動産を競売にする(換価分割)を主張しました。
↓
い 経過
Aから依頼を受けました。
弁護士は,『経費の裏付け資料』を提出し,適正であることを主張しました。
また,AがB持分を買い取る(全面的価額賠償)を主張しました。
適正な買取価格は6000〜7000万円程度であることを,不動産鑑定評価書などを提出し,主張しました。
↓
う 解決
裁判官は,当方の主張に沿った内容で和解勧告を行いました。
『合計6500万円でB持分をAが買い取る』という内容でした。
・経費の未清算分500万円
・買取価格6000万円
この内容で相手方も応じ,和解が成立しました。
Aとしては,不正な経費が実質的に排斥され,単独所有も実現できました。
それ以降,単独で管理・家賃回収ができる状態になりました。
<実績|『相手には利用できない』事情を盾に格安で買い取った>
あ 事案
関東某県の住宅敷地約100坪が夫Aと妻Bで2分の1ずつの共有となっていました。
夫Aが作った借金によって,A持分が差し押さえられ,競売により,業者Cが購入しました。
CがBに対して,約1000万円での買い取りを要求しました。
Bは居住を続けたい一方,資金はあまりありません。
↓
い 経過
Bから法律相談を受けました。
弁護士は,当該土地の形状,位置関係を図面から把握しました。
すると,建物が,土地の東側に『寄せられて』建てられていることが発覚しました。
そうすると仮に共有物分割請求訴訟の判決では『換価分割』とはならず『現物分割』となることを確信しました。
そこで,方針としては,低価格,かつ,長期分割でないと持分買い取りには応じないというスタンスが最適であると考えました。
この方針でCと交渉を開始しました。
Cは,この条件を承服せず,想定どおり,共有物分割請求訴訟を提起してきました。
↓
う 解決
当方は,想定どおりに仮にCが応じないと現物分割になるということを強調して主張しました。
Cは売却して金銭に換えないと意味がありません。
仮に現物分割で50坪の土地となった場合,エリアの相場として,売却しようがないものとなります。
結局,裁判官の和解勧告もあり,相手は,低価格で当方に持分を売却するということを受け入れました。
Bは,長期分割払で,単独所有を実現できました。
その後も居住を続けることが実現したのです。
<実績|共有物分割請求を『権利の濫用』で棄却に持ち込んだ>
あ 事例
別居中の夫が妻に対し,夫婦が共有する自宅不動産について共有物分割請求訴訟を提起してきました。
↓
い 経過
妻から依頼を受けました。
不分割合意がない限り,原則的に共有物分割請求を否定することはできません。
そこで一審判決は夫の請求を認容しました。
当方は控訴を申し立てました。
改めて,次のような主張を丁寧に行いました。
・妻・子はそれぞれ病気に罹患している
・他に居住する場所を探しにくいこと
↓
う 解決
裁判所は,当方の主張に沿って,請求棄却の判決を下しました。
不当な追い出しから守ることができました。
2 貸地・借地,土地明渡
<実績|約30年の自動車販売店舗について一時使用目的の認定獲得→明渡実現>
あ 事例
約200坪の土地を貸し,賃借人が自動車展示・販売店舗として使っていました。
賃借人は小さな建物を事務所として建てて使っていました。
賃貸期間は5年でしたが,更新を重ね,約30年が経過しました。
地主は契約終了を理由に,明渡を請求しました。
賃借人は借地であると主張し,”明渡料6000万円を要求しました。
↓
い 経過
地主から依頼を受けました。
当方は,一時使用目的や建物所有目的ではないことを理由に借地ではないと主張しました。
賃借人は明渡料の要求を維持しました。
↓
う 解決
当方は,すみやかに明渡請求訴訟を提起しました。
一時使用目的や建物所有目的ではないという従前の主張を訴状にまとめて提出しました。
これを支える判例を多数提出しました。
裁判所は,当方の主張を採用し,これを前提とした和解勧告を行いました。
最終的に賃借人が原状回復義務分等約600万円を支払う和解が成立しました。
一般的には賃借人が『払う』明渡の和解はありません。
理論的な主張,判例の指摘に加え,粘り強い要請により,このような珍しい和解を獲得できました。
<実績|貸地地代増額+借地の境界確定>
あ 事例
・東京23区内の貸地約100坪
地主としては,地代が適正ではないので上げたいと考えました。
坪あたり900円を1000円に上げる,というものです。
借地人は,不当な地代値上げだと考えていました。
地主・借地人で意見が合いませんでした。
↓
い 経過
借地人から依頼を受けました。
弁護士が地代相場を調査すると,継続賃料としては1000円への値上げは適正と考えられました。
さらに調査を進めると,境界が約2坪程度,不明確である部分がありました。
そこで『最終的には地代値上げには応じるが,借地面積拡大を狙う』という方針を取りました。
弁護士は,借地の境界確認請求訴訟を提起しました。
↓
う 解決
裁判官は当方の主張に沿って次のような和解勧告をしました。
『地代値上げには応じるが,今後段階的に上げる。借地面積を拡大する』
最終的に地主もこれに応じ,和解が成立しました。
『どうせ抵抗できない』ものであれば,引き換えの利益を狙う,という方針が成功した事例です。
<実績|土地明渡>
あ 事例
地主が,貸地を含めた一団の土地に大きなマンションを建設しようと考えています。
しかし,借地人は不当に高額な明渡料を要求してきました。
↓
い 経過
地主から依頼を受けました。
弁護士が代理人として,借地人と交渉しました。
↓
う 解決
最終的に,『その後建築されるマンションの1室を借地人に譲渡(交換)する』という条件で貸地の明渡が実現しました。
これで円満に土地の有効活用,が実現に至りました。
<実績|納税対策,接道義務を満たさず建築不可→借地人明渡で解決>
あ 事例
貸地(底地)の所有者が,将来の相続税の対策を検討しました。
・東京23区内
・約110坪
・うち約40坪が貸地
・残余地は接道義務をクリアせず,建物建築が困難
・地代収入年間約100万円
地代収入が少ない割に評価額が高いのです。
そうすると,将来の相続税納税が心配になりました。
↓
い 経過
地主から依頼を受けました。
弁護士が代理人として借地人と交渉しました。
↓
う 解決
4500万円という適正な明渡料で借地人に退去してもらいました。
その後,収益の高いマンションを建てました。
結果的に,資産の評価額は下がることになり,また同時に定期的な収入も確保できるようになりました。
予想される納税額は下がり,収入増額によって,貯金も増えるようになりました。
<実績|譲渡承諾請求を受けた地主が『介入権』で買戻成功>
あ 事例
次の概要の貸地の地主が,借地人から『借地権譲渡の承諾』を求められました。
・東京23区内
・約150坪
借地の譲渡先予定の方は,借地人の親族ではなく,借地買取を専門とする業者でした。
地主は,借地権譲渡を拒否しました。
借地人は,借地権譲渡許可を裁判所に申し立てました。
↓
い 経過
地主から相談を受けました。
弁護士は必要な事情を把握し,譲渡許可がなされるという見通しと,承諾料相場を説明しました。
また,地主は,チャンスがあれば借地を買い戻したい意向があることも確認しました。
弁護士は,裁判の中で,借地を買い取る介入権の制度を説明しました。
地主から依頼を受けました。
弁護士は,譲渡が認められない,借地買い戻しの意向はない,ということを強く主張しました。
借地人は,当然,反論を行ないました。
↓
う 解決
攻防の途中で,当方は介入権を指摘しました。
裁判官が借地人側を説得し,相場よりも安く借地を買い戻すという和解が成立しました。
おおよそ更地の25%程度という金額でした。
当初は買い戻す希望はないという意向を強調して,また,介入権も正式な行使はしませんでした。
この手法により値段を釣り上げることを防止したのがポイントでした。
借地の譲渡承諾・建替承諾のすべて|専門弁護士ガイド
3 土地境界
<実績|境界確定>
あ 事例
隣地所有者同士のAとBで,境界の主張が食い違ってもめていました。
長年,垣根によって区切られており,かつ,一部は垣根すらない,という状態でした。
↓
い 経過
Aから依頼を受けました。
弁護士は,多くの資料を調査しました。
主に公図,周囲の地積測量図,登記簿上の地積からエリア一帯の整合性を検討しました。
約30年前の道路拡張の際,現況の境界にズレが生じたことが推察できました。
『Aが越境している』と思われる状況でした。
なお,取得時効は成立しない状況でした。
このような事情を踏まえてBと交渉しました。
Bは頑なな態度であり,交渉に応じませんでした。
弁護士は境界確定訴訟を提起しました。
↓
う 解決
弁護士は,有利な資料を選別して提出しました。
その上で『越境はあったとしてもわずか』という主張を行いました。
その結果,裁判官が『低廉な金額でAがわずかな越境部分を買い取る』という和解勧告を行いました。
結果的に,Bはこれに応じ,和解が成立しました。
Aは,永年の懸念であった境界問題が解決し,建築ができるようになりました。
また,Bも納得した形で金銭を受け取ったので,険悪な関係も解消されました。
4 通行権,ライフライン埋設
<実績|ライフライン(上下水)埋設の承諾書を取り付けた>
あ 事例
Aは,関東の某県所在に約300坪の土地を所有していました。
将来の相続の納税対策等により,有効活用をするプランを立てました。
通路とされている部分は私道で2項道路でした。
詳しくはこちら|建築基準法の『道路』|種類
そこで,私道の所有者Bに埋設工事承諾書のサインをお願いしました。
しかし,Bは,感情的な理由によって,サイン・押印を拒否しました。
↓
い 経過
Aから依頼を受けました。
弁護士は,資料から状況を把握し,導管袋地としてライフライン埋設の権利があると判断しました。
詳しくはこちら|ライフライン設置権の全体像(トラブル具体例・民法改正・提訴の形式・合意の形式)
そこで,Bに内容証明で受任の旨と事情の確認を求める通知を出しました。
建物建築が事実上ストップしており,急を要する状態でした。
そのため,同時に,埋設の権利を確認する訴訟を提起しました。
↓
う 解決
裁判官に,Bに対して,ライフライン設置の権利があることを説明,説得してもらいました。
Bとしては,このままでは判決で埋設の権利が認められることを理解しました。
結果的に和解が成立し,Bが埋設工事承諾書にサイン・押印を行いました。
これにより,Aは,収益物件の建築を再開できるようになりました。
5 不動産競売
<実績|落札後,法定地上権の成立を否定>
あ 事例
Aは関東某県の土地約300坪と地上建物を約5000万円で落札しました。
物件明細書には法定地上権の可能性が指摘されていました。
地上には『件外建物』が存在しました。
法定地上権のリスク分,格安で落札できたのです。
↓
い 経過
Aの法律相談→調査の依頼を受けました。
まず,弁護士は,現在の居住者から過去の建物の様子を聴取しました。
抵当権設定は約40年前だったので,記憶は断片的な昔の思い出のようなものでした。
次に,現在と過去の建物図面と現行+閉鎖登記簿の建物の床面積を集約しました。
建物だけで(過去のもの含めて)約10個となりました。
図面から概算で算出した床面積と登記上の床面積の整合性を推測(仮説)→計算,という推察作業を行いました。
建物の数が多く,パズルのような作業となりました。
この作業だけで10時間程度を要する大規模な推理となりました。
さらに,戦時中に不足した木材と,現存建物の資材が,登記を元にした建築年では整合しないことも突き止めました。
総合的に,すべての事情と整合する仮説を発見しました。
結局,物件明細書の記載内容は誤っていて,実際には法定地上権は成立しない可能性が高いと判断しました。
《分析結果》
約40年前に設定された抵当権設定当時,『件外物件』にも抵当権が設定された
その後,物理的に建物が分離され,敷地内を移動して,離れとして使われた
この分離から約10年後に,新たな建物として表示の登記がなされた
↓
う 解決
明渡請求訴訟を提起しました。
すべての事情と整合する仮説を訴状,準備書面にまとめました。
大量になりましたが,図面を多く盛り込むなど,裁判官に分かりやすく工夫しました。
裁判官は当方の主張に納得して,相手方に強く和解を勧告しました。
その結果,相手は和解を承服し,明渡が実現しました。
なお,先代以前の一家の住居の経緯の発覚に最も驚いたのはもともと居住していた者でした。
6 建物賃貸借
<実績|アパート・マンション・店舗賃貸>
あ 事例
借主に家賃滞納や騒音などの契約違反がありました。
オーナーがテナントに解除,退去を要請しましたが,テナントは応じませんでした。
↓
い 経過
オーナーから依頼を受けました。
オーナーの代理人として弁護士がテナントと交渉しました。
しかし,テナントは応じませんでした。
弁護士は,すぐに明渡請求訴訟を提起しました。
スピーディーに判決を取得できました。
↓
う 解決
その判決に基づいて,明渡の強制執行を申し立てました。
執行官が執行の前に現地に赴いた時に,テナントは不在でした。
執行官は解錠して建物に入室し,警告の文章を置いておきました。
その後,テナントは覚悟ができて,自主的に退去しました。
このようにして,スピーディーに明渡が実現しました。
<実績|管理会社へのアドバイスにより犯罪を防止>
あ 事例
マンションの1室の賃貸借において,賃借人が約3か月分の家賃を滞納しました。
賃貸借契約書には,次のような規定がありました。
『賃料を滞納した場合,賃貸人は,賃借人の承諾を得ずに本件建物内に立ち入り適切な処置を取ることができる』
管理会社は次のように考えていました。
『居室に立ち入って,入口ドアの錠を交換し,また,窓の内側に侵入防止のための施錠具を取り付ける』
↓
い 経緯
管理会社は,念のため顧問弁護士(当事務所)に相談しました。
弁護士は,類似事例の判例を説明しました。
・そのような特約は無効とされる可能性が高い
・そうすると『住居侵入』という犯罪が成立する
・訴訟や強制執行を行った方が良い
↓
う 解決
依頼を受けて,弁護士は明渡請求訴訟を提起しました。
1か月後には判決が下され,翌月,執行を申し立てました。
この段階で賃借人は自主的に退去するに至りました。
犯罪となって攻守逆転という状態を未然に回避できました。
<実績|『無断譲渡→建物賃貸借解除』の主張を排斥>
あ 事例
いわゆるM&Aで,飲食店チェーンを展開する運営会社が他の会社に譲渡されました。
具体的には,元の運営会社の全株式を別の会社が取得(購入)する,というものです。
株式の譲渡に伴って,商号(会社名)変更と役員の入れ替えが行われました。
特に飲食店運営会社はこれにより店舗賃貸借契約に問題が生ずるとは思っていませんでした。
ところが,オーナーから,次のように主張され,賃貸借契約の解除を通知されました。
・賃借人が変わったので『賃借権の無断譲渡』である
↓
い 経過
運営会社から依頼を受けました。
次のような反論をしました。
・商号・役員は変わっても,法人自体は変わっていないから『無断譲渡』ではない
・店舗の使用態様は変わっていない→実質的に不当なことはない
その後に,交渉では妥結せず,オーナーが提訴してきました。
当方は上記2点を軸に主張を組み立てました。
↓
う 解決
裁判所は,当方の主張を採用し,賃貸借契約の解除・明渡請求を認めませんでした。
このようにして,安定的に賃貸借が継続することになりました。
7 不動産登記
<実績|相続登記で『無用な差押』を避けた>
あ 事例
父が亡くなりました。
相続人は子のAとBです。
遺言で不動産はAが相続することになっていました。
しかし,不動産の登記をしておらず,『父の名義』のままでした。
↓
い 経過
Aは別の件のついでに,弁護士(当事務所)にこのことを話しました。
弁護士は,念の為にBの経済状態を尋ねました。
Bは経済状態が悪く,自宅の差押を受けたということでした。
そこで,『不動産甲も早く相続登記をしないとBの債権者からの差押を受ける可能性がある』とアドバイスしました。
最高裁判例により遺言が優先ではありますが,仮に差押を受けるとこれを解消するには訴訟が必要になることがあるのです。
↓
う 解決
スピーディーに登記申請を行い,確実に完了しました。
これで『無用な訴訟』を未然に防ぐことができました。