【SNSの法律問題発生メカニズム|気軽→心のブレーキが効かない】

1 SNSの『悪ふざけ投稿』の典型例と法的責任
2 悪ふざけ投稿発生メカニズム|基本的要因
3 SNS投稿|リスクが低く見積もられる理由
4 従来型投稿システム=ブログ・HPとの比較
5 第三者経由で『情報漏洩』が生じるメカニズム
6 SNSの匿名性→『なりすまし』による違法行為

1 SNSの『悪ふざけ投稿』の典型例と法的責任

(1)『悪ふざけ投稿』の例

SNSはその『拡散の容易性』から,目立つ目的での『ふざけた行為』の画像の投稿が拡がることがあります。
画像ではなく文字(テキスト)としての投稿でも『悪ふざけ』が散見されます。
ニュースとして報道されることもよくあります。

<悪ふざけ投稿などの例>

あ アルバイトがふざけ行為の撮影→投稿

例;ギガ盛り・販売棚に寝そべる

い 従業員が『顧客』の来店・行為をテキスト投稿・撮影→画像投稿

例;『今芸能人がお店に来てる!』

う 高度なジョーク(のはず)→ブラックジョーク→深刻な受け止め方をされる

(2)プライバシー権侵害の可能性

テキストの情報でも『プライバシー権』の侵害に該当する可能性があります。
ただし,有名人の場合は,違法性が否定される傾向にあります。
詳しくはこちら|プライバシー権のまとめ|判例の基準|定義の発展

(3)従業員の投稿→店舗側への損害賠償責任

なお,店舗の従業員が投稿した場合は,『店舗側から投稿者への損害賠償請求』もあり得ます。
店舗の評判を落とすことになり,大きな経済的『損害』が生じたような場合です。
詳しくはこちら|『悪ふざけ投稿』は解雇,損害賠償などの責任を生じる,公益通報には該当しない

2 悪ふざけ投稿発生メカニズム|基本的要因

多くの『悪ふざけ投稿』が報じられてきました。
ここでは,『悪ふざけ投稿』の発生メカニズムを分析してみます。

<悪ふざけ投稿発生要因>

あ 悪ふざけ投稿発生の条件式

興味本位・おもしろさ>>>問題発生(リスク)想定

い 根本的・重要ポイント

投稿への『心のブレーキ』が効きにくい

要するに,『問題発生リスク』が低く見積もられる→ブレーキが効かない,ということです。
さらに分析を進めます。

3 SNS投稿|リスクが低く見積もられる理由

SNSへの投稿では背後にある『リスク』を十分に意識しない傾向が強いです。
気付かないor低く見積もられる『リスク』をまとめます。

<SNS投稿のリスクが低く見積もられる理由>

あ 文章の分量が少ない

twitterの場合テキスト140文字以内

い 投稿の作業が少ない

アプリ・ブラウザから直接入力→投稿ボタン,だけ

う 流通量が膨大→感覚麻痺

多くのユーザーの投稿が常時流れている
その中には『おもしろい』『きわどい』ものも含まれる

え 2次的な『拡散』が容易

『投稿を読んだユーザー』が『送信』することが容易(twitterの『リツイート』)

お 削除による『拡散解消』が不可能

投稿の『削除』は容易でも『拡散した情報』は消せない
→半永久的に情報がオンライン上に存続する

か 2次的読者は『疎遠』→ジョークを真顔で受け止める

知っている人にはギャグでも,一見さんには深刻文章

閲覧者 受け止め方
1次的読者(フォロワー) ギャグ
『疎遠』な2次的読者 深刻
き 2次的『拡散』を忘れがち

日頃『いつものフォロワー』との相互コミュニケーションが行なわれている
→『その先への拡散』を意識しない傾向が生じる
例;転送(リツイート)・検索(検索エンジン)

く 匿名性

『責任追及を受けないだろう』という感覚が生じる
なお,法的責任が発生すると,投稿者の調査→特定可能性がある

け 異文化エリアへの伝達|グローバルな影響

インターネット上の情報は世界中の人が瞬時に閲覧可能である
=文化(エリア)の境を超える
→ある地域では正しい発言であっても,別の地域では不適切or違法となる可能性がある

4 従来型投稿システム=ブログ・HPとの比較

ここで,SNSと比較する意味で,従来型の投稿システムの特徴もまとめます。

<従来のブログ・HPの特徴(SNSとの比較として)>

あ 1つの記事(『投稿』)の分量がある程度多い
い 投稿の作業が比較的多い

例;ログイン→『編集』画面へ遷移→『公開』ボタン

う 流通数が比較的少ない

ブログ開設者・投稿者はSNS投稿と比べるととても少ないです。

え 2次的な『拡散』は容易ではない

twitterの『リツイート』のような容易な『連鎖伝達』機能はありません。

5 第三者経由で『情報漏洩』が生じるメカニズム

本来拡散すべきではない情報が『第三者経由』で公表・拡散してしまうケースもあります。

<第三者経由で問題内容が投稿される具体例>

企業勤務のお父さんが家族団らん・夕食時に研究内容(企業秘密)を自慢気に話す
→中学生の子供がSNSに投稿→拡散
《漏洩した企業秘密の例》
ア タレントのCM起用イ 新商品発売

では,このような『第三者経由の拡散』が生じてしまう理由をまとめます。

<第三者経由での拡散の要因>

子供・学生・主婦は『拡散する手段を持たない』という過去の常識

『拡散』を想定できない

6 SNSの匿名性→『なりすまし』による違法行為

SNSの投稿が法的問題を生じるパターンとして『なりすまし』があります。

<SNSにおける『なりすまし投稿』の例>

・有名人になりきって『おかしな発言』をしてみる
・有名人になりきって『攻撃的な発言』をする→炎上を狙う

『なりすまし投稿』は,次のような責任を生じる可能性があります。

<SNSにおける『なりすまし投稿』により生じる責任>

あ 民事的責任

ア 損害賠償責任イ 差止(削除)義務

い 刑事的責任

ア 名誉棄損罪・侮辱罪イ 信用毀損罪ウ 業務妨害罪

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