【著作権の基本(著作権法の趣旨や保護の構造と典型的なトラブル)】
1 著作権の起源
2 著作権の根本構造
3 著作権の侵害=著作権法違反となる行為
4 著作権侵害=著作権法違反の法的責任
5 著作権に関するトラブルの典型要因
1 著作権の起源
著作権の世界的な起源は,グーテンベルクなどによる印刷テクノロジーの発達・普及による情報伝達スピードの爆発的上昇,という現象にさかのぼります。
『複製の権利(copy-right)』として生まれ,18世紀にイングランドで『著作権』の原型ができました。
その後,各国で『著作権』の法整備が行なわれました。
現在では,インターネットの普及により,情報伝達手段の民主化が爆発的に進んでいます。
グーテンベルクが見たら腰を抜かすようなイノベーションです。
一方,従前の『著作権』は,インターネット上の『表現』にもそのまま適用されます。
権利の法整備の時の前提事情と,現在の状況の違いから,感覚的・理論的な『ギャップ』が生じています。
ここでは,『著作権』の基本的事項をまとめます。
時代の変化に伴う『著作権』の解釈=最先端の問題は当記事以外にて説明します。
2 著作権の根本構造
著作権は創作者・創作物を法的に保護するものです。
著作権の制度の根本的な構造は,まず,一定の創作物を『著作物』として認めます。
『著作物』に該当するものは『著作権』の保護を与えます。
当たり前のようなことですが,実際のケースの法的扱いを判定するためには非常に重要なものです。
<著作権の根本構造>
あ 基本構造
『著作物』には『著作権』が認められる
い 『著作物』の意味
一定の創作物を『著作物』とする
詳しくはこちら|『著作物』の定義(基本・創作性の判断基準)
う 『著作権』の意味
『著作物』の著作者は法的な保護を受ける
詳しくはこちら|著作権の内容(種類全体)
例;他者が無断で『著作物』を複製できない
3 著作権の侵害=著作権法違反となる行為
『著作物』は『著作権』によって法的に保護されます(前記)。
具体的にどのように保護されるのか,つまり何か法律で禁止されるのか,について説明します。
要するに著作権侵害=違法となる行為のことです。
<著作権の侵害=著作権法違反となる行為>
あ 基本的事項
『い』のすべてに該当する場合
→著作権の侵害=著作権法違反である
い 著作権の侵害行為の内容
ア 対象が『著作物』であるイ 権利者以外が『著作権』を行使したウ 権利者の承諾がないエ 『著作権の制限(例外)』に該当しない 詳しくはこちら|著作権の制限(例外)の種類全体
う 著作権侵害の典型例
写真や論文の無断複製
一般的には『盗用・剽窃・無断転載』などと呼ぶ
4 著作権侵害=著作権法違反の法的責任
著作権侵害は違法です(前記)。
具体的な法的効果としていろいろなペナルティがあります。
<著作権侵害=著作権侵害の法的責任>
あ 刑事(犯罪)
法定刑として懲役・罰金などの規定あり
※著作権法119条〜
い 民事的責任
ア 損害賠償請求
※民法709条〜
イ 差止請求(人格権)
う その他|波及的問題|例
具体的な『著作権侵害』の態様により,波及的に別の法的問題が生じる
ア 雇用関係上の不利益処分イ 『学位』取消ウ 学術論文の撤回エ 共著者間の損害賠償責任
関連コンテンツ|『引用』になるorならない=剽窃の判断が大ニュースになることもある|学術論文
5 著作権に関するトラブルの典型要因
実際に著作権に関して,当事者の間で見解が対立する,つまりトラブルになることがあります。
トラブルの要因を分類すると,『著作物』と『著作権』の判断・判定ということができます。
<著作権に関するトラブルの典型要因>
あ 『著作物』の該当性
『著作物』にあたるかどうかの判断
→見解が食い違うことが多い
い 『著作権(侵害)』の該当性
創作者以外が行った行為について
『著作権』で保護される行為に該当するかどうかの判断
→見解が食い違うことが多い