【会社に関する商業登記|設立・役員変更】
1 商業登記を行い会社設立をすれば法人化できる
2 役員は1名でも株式会社の設立はできる
3 取締役,監査役は任期ごとに『変更登記』が必要
4 『資本金』は『1円以上』で良い
5 会社の『実印』の『印鑑登録』は法務局で行う
6 会社名として使用な文字は決まっている;商号
7 法人設立の手続の流れ
8 有限会社を株式会社に変える場合,解散登記+設立登記が必要となる
9 会社設立は司法書士に依頼するとスムーズで,定款認証費用の節約もできる
1 商業登記を行い会社設立をすれば法人化できる
(1)会社設立,法人化の検討
株式会社は,登記が完了することによって,成立します。
正確には法人格が発生するのです。
<主な法人化のメリット>
・信用力が高まる
・資金調達がしやすくなる
・節税対策
当然ですが,事業規模・内容・将来の方針によって法人化するメリットの有無・程度は変わってきます。
このような個別的な事情によって,法人化した方が良いかどうかが変わります。
(2)法人化のメリットの実例
主に,節税という点で,大きなメリットを実現した例を紹介します。
<事例>
夫婦,息子の3人で小売業を行っていた
売上が増えてきたので,信用を高めようと考え,法人化を考えた
弁護士,司法書士が,節税も含めてアドヴァイスをした
株式会社を設立することに決めた
株式会社の設立手続を行った
代表取締役=夫と,従業員=妻,息子の給与について,税務上有利な金額を設定した
年間の納税額(法人税,所得税)が,トータルで約200万円軽減した
<ポイント>
個人事業主の場合,原則として家族や事業主自身への給与は経費にはならない
法人化することにより全員の給与が経費として扱われるようになった
2 役員は1名でも株式会社の設立はできる
株式会社設立のためには,以前は最低限,取締役3名,監査役1名が必要でした。
平成18年の会社法改正により,最低限は,取締役1名,となりました。
他の協力者がいなくても株式会社を設立することは可能です。
3 取締役,監査役は任期ごとに『変更登記』が必要
(1)役員の任期
通常,株式会社の役員として,取締役,監査役が選任されます。
なお,設定によって,一部の役員を設置しないということも可能です。
役員の任期をまとめておきます。
<役員の原則的な任期>
あ 取締役
選任後2年内に終了する事業年度のうち最終の定時株主総会の終結の時まで
い 監査役
選任後4年内に終了する事業年度のうち最終の定時株主総会の終結の時まで
なお,例外的な設定も一定範囲で可能です。
また,期間満了時には,他の方を選任するか,同一の方を『重任』する必要があります。
詳しくはこちら|取締役・監査役|任期・権利義務者・仮取締役・職務代行者
(2)役員変更→登記義務がある
役員の選任や再任(重任)の際は『変更登記』が必要となります。
法律上,登記が義務付けられ,期限も設定されています。
<会社の変更登記義務|一般論>
法務局の管轄 | 登記申請の期限 |
本店所在地 | 登記事由発生から2週間以内 |
支店所在地 | 登記事由発生から3週間以内 |
※会社法915条1項,930条3項など
4 『資本金』は『1円以上』で良い
(1)資本金の最低額規定は撤廃された
株式会社の資本金は,会社設立の時に現金で用意する必要があります。
以前は最低額が1000万円とされていました。
しかし,法改正により,現在では最低限の金額はありません。
資本金がないということはできないので,理論的な最低額は1円ということになります。
実際には,当然ですが,予定している事業内容により,必要な資金は異なります。
事業,資金の状況,予定などを考慮して妥当な資本金の金額を決めると良いでしょう。
なお,設立のためには実費として,概ね20万円程度が通常必要となります。
(2)資本金は定款認証の後に払い込む必要がある
資本金は,原則として現金で金融機関に払い込む必要があります。
タイミングとしては,定款認証の後,ということになります。
払い込みを終えたら,払い込みの証明書を取得します。
この時点で登記の添付書類が揃います。
ようやく登記申請ができることになります。
5 会社の『実印』の『印鑑登録』は法務局で行う
個人と同じように,会社にも実印があります。
実印というのは正確には印鑑登録をした印鑑という意味です。
個人の印鑑登録は市区町村長ですが,会社は法務局です。
会社の印鑑登録は,会社法上『義務』とは規定されていません。
しかし,会社に関する登記申請の際に『実印(登録印)』が必要とされます(商業登記法20条)。
また,実際には,預金口座の開設などで印鑑証明書が要求されます。
そこで,多くの会社は設立する際に印鑑(実印)を作製し,印鑑登録も行うことが多いです。
6 会社名として使用な文字は決まっている;商号
商業登記のルールとして,商号に使用できる文字が制限されています。
商号というのは,登記上の,つまり正式な会社の名前のことです。
<商号として使用可能な文字>
・漢字
・ひらがな
・カタカタ
・ローマ字
・アラビア数字
・一定の符号(& ’ , - . ・ )
また,商号の前後にはかならず必ず株式会社を含める必要があります。
7 法人設立の手続の流れ
商業登記の中でも作業が多い『株式会社設立』について,手続の流れをまとめます。
会社設立以外の商業登記は,この流れが簡略化されたものと言えます。
<法人設立までの流れ>
ご相談,お打ち合わせ
具体的なご要望によって,どのような会社がベストかを検討します。
↓
定款作成
↓
定款認証
↓
資本金の払込
↓
必要書類の作成及び収集
↓
設立登記申請
↓
登記記録の確認
↓
登記完了
↓
登記事項証明書をお渡しする(納品)
8 有限会社を株式会社に変える場合,解散登記+設立登記が必要となる
現在,新たに有限会社を設立することはできません。
既存の有限会社は,法律上,株式会社として扱われます。
そのような意味で,特例有限会社と呼ばれます。
特例有限会社を株式会社に正式に変更することが推奨されています。
この場合,特例有限会社の解散登記と,株式会社の設立登記が必要です。
登記上,有限会社の消滅と株式会社の設立ということになるのです。
9 会社設立は司法書士に依頼するとスムーズで,定款認証費用の節約もできる
(1)法律上,司法書士への依頼は義務ではない
会社設立の登記手続は,司法書士に依頼することが義務付けられてるわけではありません。
設立しようとする本人が手続を行うことは法律上可能です。
実際には,預金口座開設,取引先との具体的取引(契約)など,同時に進めるべき事項が多いです。
そこで,手続に習熟している司法書士などの専門家が代理人として手続きをすることが多いです。
(2)司法書士に依頼すると,スピーディーに行える
会社設立を司法書士に依頼すると,当然,スピーディー,確実に行えます。
さらに,定款認証をオンラインで行うことも可能です。
また,登記申請自体も,現在はオンラインで行う制度があります。
オンラインで行うことにより,以前は費用の軽減措置がありました,現在は廃止されています。
一方,手続が簡略化するので,報酬額も実質的に抑えられます。
ただし,オンライン手続は,一定の設備を導入していることが前提ですので,事務所によって異なります。
(3)みずほ中央は設備や人員を完備している
みずほ中央では,オンライン定款認証,オンライン登記申請のシステムが完備されています。
また,弁護士・司法書士・行政書士による会社運営のアドヴァイスなど,トータルサポートを提供できます。
(4)会社設立に必要なコストは,実費約20万円+司法書士の報酬
会社設立のための実費は,合計で約20万円となります。
<会社設立の実費>
・登記申請の為に法務局に納める費用 15万円
・定款認証の為に公証人役場に納める費用 5万2000円
※電子定款を利用かつ謄本2通を取得する場合です。