【電話会議システム|電話で裁判に参加できる|離婚・離縁成立だけはNG】

1 遠方の裁判所では『電話会議システムによる参加』もできる
2 電話会議の基本ルール|まとめ
3 電話会議システム|リアル出席ゼロ|民事訴訟ではNG・民事調停・家事・非訟ではOK
4 電話会議システム|民事訴訟は人証のみNG・他は証拠調べ全般NG
5 電話会議システム|『離婚・離縁成立』はNG・遺産分割その他和解はOK

1 遠方の裁判所では『電話会議システムによる参加』もできる

調停・審判・訴訟が,遠方の裁判所に係属した場合,不便なこともあります。
実際に出席するために,過大に時間や費用を要します。
弁護士に依頼した場合,日当や交通費の実費として当事者が負担することになりましょう。
この点,直接行かなくても出席する制度も用意されています。
『電話会議システム』というシステムです。

<家事調停・審判×電話会議システム>

あ 電話会議システムによる参加

電話での通話によって期日に参加する
実際に裁判所に行く必要がない

い 利用できる手続

原則として民事調停・訴訟・非訟・家事調停・審判の全体

実際に『代理人弁護士が事務所の電話にて参加する』ということがよく行われています。
以前は『民事調停・家事調停・審判』では電話会議システムの利用はできませんでした。
『訴訟のみ』だったのです。
その後,法改正により『調停・審判』でも可能となっています。

2 電話会議の基本ルール|まとめ

電話会議システムは,現在では,多くの種類の手続で利用可能となっています。
いくつかのルールをまとめて整理します。

<電話会議システムの利用手続>

手続の種類 条文 リアル出席ゼロ できない手続
民事訴訟(※1) 民事訴訟法170条3項 人証
民事調停・非訟 民事調停法22条,非訟事件手続法47条 証拠調べ
家事調停・審判 家事事件手続法54条,258条1項 証拠調べ・離婚・離縁の調停成立

※1 民事訴訟の手続のうち『弁論準備手続』である(民事訴訟法168条)

細かい内容についてはこれから説明します。

3 電話会議システム|リアル出席ゼロ|民事訴訟ではNG・民事調停・家事・非訟ではOK

電話会議システムでは『電話での参加者』=『リアルでは出席しない』ということになります。
これに関し『民事訴訟』だけは『一部の当事者はリアル参加が必要』です(民事訴訟法170条3項)。
他の種類の手続については『全員が電話参加』=『リアル出席者ゼロ』も可能です。
なお,民事訴訟でも,担当裁判官の判断で『実質的にリアル出席者ゼロ』で進めることもあります。

<民事訴訟における『リアル出席者ゼロ』|裏技>

公式の記録(調書)上は『当事者双方欠席』にする
事実上,電話にて当事者と進行を協議する
具定例=次回期日の指定,次回期日までの主張・立証事項の指示

4 電話会議システム|民事訴訟は人証のみNG・他は証拠調べ全般NG

電話会議システムによる期日では,一定の制限があります。
制限の1つが『証拠調べ』です。

<電話会議システム×証拠調べ>

民事訴訟 証拠調べのうち『人証だけ』できない
民事調停・非訟・家事調停・審判 証拠調べ(全部)ができない

5 電話会議システム|『離婚・離縁成立』はNG・遺産分割その他和解はOK

電話会議システムの期日において『和解・調停成立』もできます。
以前は制限がありましたが,法改正で便利になったのです。
ただし,事案の特殊性から,例外的に今でも『できない』とされているものもあります。

<証拠調べ×和解・調停成立>

離婚・離縁の調停成立はできない
注意;『遺産分割』は調停成立可能
※家事事件手続法268条3号

『離婚・離縁』は一定の法的な身分関係が変化します。
そこで『電話を通した参加』では成立させない,というルールなのです。
一方,同じ『家事』のカテゴリでも『遺産分割』は電話会議での和解成立が可能です。
遺産分割は『身分の変動』がありません。
純粋に財産の承継方法を決めるだけ,という性格なのです。
そこで,調停成立も含めて『全てのプロセスを電話会議システムで済ます』ことが可能なのです。
実際に,1度も裁判所に出張せずに調停成立=解決実現,というケースも多くあります。
また,家事以外の一般の民事訴訟・調停は制限なく和解・調停成立が可能です。

以前は『当事者が裁判所の遠隔地にいる』という場合の和解は『受諾和解』の方式を利用していました。
この制度は今でもありますが『電話参加での和解』が可能となったあとはメッキリ減りました。
『受託和解』のサービスが『電話会議システムの和解』という新サービスでリプレイスされた,という状態です。
詳しくはこちら|書面受諾和解・調停|期日に出席せずに和解成立・電話会議システムにリプレイスされ気味

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【家事調停で調停に代わる審判を活用する状況の典型例(出席拒否・ほぼ合意だが感情対立ありなど)】
【書面受諾和解・調停|期日に出席せずに和解成立・電話会議システムにリプレイスされ気味】

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