【借地に関する問題の解決の方向性全体像|関係解消・離脱=第三者への売却など】

1 借地に関する問題|解消ルートの全体像
2 借地に関する問題|解決ルートの内容
3 借地に関する解決策|地主サイドの選択肢
4 借地に関する解決策|借地人サイドの選択肢
5 借地に関する解決策|地主の意向の典型例=所有権を手放したくない
6 借地に関するトラブル・問題|個々の解決方法の別記事リンク

1 借地に関する問題|解消ルートの全体像

借地について,さまざまなトラブル・問題があります。
個々のトラブル・問題を解決する手続はいろいろと用意されています。
しかし,借地については,地主と借地人の関係が非常に長期間継続します。
そこで『借地という関係自体を解消する』という方向性もあります。
ここではその『解決のルート』の全体像を整理します。

<借地関係のトラブル・問題|解決ルートの全体像>

あ 借地関係の解消
い 借地関係からの離脱
う 継続するための条件整備

それぞれの内容については次にまとめます。

2 借地に関する問題|解決ルートの内容

借地関係のトラブル・問題の解決ルートは大きく3つに分類できます(前述)。
その内容を整理します。

<借地関係のトラブル・問題|解消ルートの内容>

あ 借地関係終了=当事者間の売買・交換

ア 借地人が底地を買うイ 地主が借地権を買う(≒正当事由による明渡請求;※1)ウ 底地・借地の交換エ 共同売却 『底地』『借地権』を同時に1人の買主に売却すること

い 当事者の『入れ替え=離脱』=第三者への借地権・底地の売買

ア 地主が『底地』を第三者に売却 →借地権の対抗要件の問題
イ 借地人が『借地権+建物』を第三者に売却 →地主の『譲渡承諾』or『裁判所の許可』が必要
→ここで『担保設定』が重要な条件となる

う 継続する条件整備

ア 地代増減額請求イ 再築の承諾

<借地権の売買と正当事由による明渡請求>

あ 借地権の売買

当事者間に特殊事情がなく,各自の都合による任意の売買の交渉

い 正当事由による明渡請求

当事者に『土地使用の必要性』などの特殊事情(正当事由)がある場合
契約期間満了時に『更新拒絶』により法的な請求として明渡を求めるもの

このように,純粋な『借地権の売買』と『正当事由による明渡請求』は違いがあります。
詳しくはこちら|借地の明渡料の相場は訴訟と交渉で微妙に異なる

3 借地に関する解決策|地主サイドの選択肢

地主から借地の問題解決を実現する手段を整理します。

<地主サイドの問題解消の選択肢>

ア 明渡請求イ 底地を売却ウ 地代増額請求→維持できる状態に変える

4 借地に関する解決策|借地人サイドの選択肢

借地人から借地の問題解決を実現する手段を整理します。

<借地人サイドの問題解消の選択肢>

ア 地代減額請求→維持できる状態に変えるイ 借地権を第三者に売却する →『ローンが付くか』という問題と直結している

実際に『借地権を第三者に売却する』という場合は『担保設定』が問題となります。
詳しくはこちら|借地上の建物と借地権への担保設定(担保価値相場・地主の融資承諾書)

5 借地に関する解決策|地主の意向の典型例=所有権を手放したくない

一般的に,地主としては『所有権(底地)を手放すことは拒絶する』ということが多いです。
その場合に『残る選択肢』は次のようになります。

<所有権(底地)を手放さないポリシーの地主の対応>

ア 底地を『借地人が買う』→地主がNOイ 地主が『借地権を買う』ウ 借地権譲渡に承諾する

6 借地に関するトラブル・問題|個々の解決方法の別記事リンク

以上の説明で登場した各種の解決方法は別記事で詳しく説明しています。
ここにまとめておきます。
詳しくはこちら|賃料増減額請求の実務的な解決手続の全体と流れ
詳しくはこちら|借地権譲渡許可の裁判の趣旨と機能(許可の効力)
詳しくはこちら|借地条件変更・増改築許可の裁判手続(基本・新旧法振り分け)
詳しくはこちら|借地権・底地の『第三者』への売却|代金相場|路線価の借地権割合は使わない
詳しくはこちら|借地権の下取|代金相場・契約形態|自由解除条項・介入権行使時の差額分配率

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