【マンションの悪質居住者対策|信託を活用した『住居権』スキーム】
1 分譲マンションの悪質居住者対策の効率アップ|信託を活用した『住居権』スキーム
2 分譲マンション|信託を活用した『住居権』スキーム×実現可能性
3 分譲マンション|信託を活用した『住居権』スキーム|活用タイミング
本記事では分譲マンションにおける『悪質居住者』対策に『信託』を活用した方法を説明します。
法律上の一般的な『悪質居住者』への対応については別記事で説明しています。
詳しくはこちら|マンションの悪質居住者対応|行為停止・予防・使用禁止・競売・引渡請求
1 分譲マンションの悪質居住者対策の効率アップ|信託を活用した『住居権』スキーム
分譲マンションでは『悪質居住者対策』が必要となることが多いです。
区分所有法上,対応する手続が4つ規定されています。
しかし,時間・手間が大きく,また決議要件(原則4分の3)のハードルも高いです。
このような問題を解消するための『信託を活用する』アイデアを紹介します。
<悪質居住者対策の効率化>
あ 信託の活用
各区分所有権を『信託』により管理組合に一本化する
い 『住居権』を創設
ア 『住居権』の内容
専有部分・共用部分の利用権,という債権(受益権)
イ 『住居権』の移転
『住居権』を分譲・譲渡することができる
う 悪質居住者対応・効率アップ
ルール違反者に対し『契約により』差止請求・売渡請求をすることができる
ア 『総会開催・訴訟提起』を不要にできるイ 『禁止行為』をカスタマイズできる
従来の『所有権』という枠組みを根本から変えてしまう,という内容です。
この部分が『実現へのブレーキ』にもなります。次に説明します。
2 分譲マンション|信託を活用した『住居権』スキーム×実現可能性
信託により,分譲マンションの権利を『住居権』にする方法の実現可能性を分析します。
<信託による『住居権』×マーケット感覚>
あ 『住居権』単体の価値
個々の居住者の権利は『物権(所有権)』よりも弱い
い 共同住宅全体としての価値
管理・利便性の維持が行き届いている
→価値が高くなる
う 担保設定のハードル
金融機関の評価・理解の程度がまだ低い傾向
→一般ユーザーが購入できない状態となる可能性がある
『所有権』ではなく『信託受益権』に変わると『弱い』という感覚・評価が生じがちです。
考え方によっては『むしろ権利の価値は高い』とも思えます。
現時点での問題はユーザー=居住者自身の感覚,だけではなく『金融機関の理解』も大きいのです。
普及するには一定の時間を要するかもしれません。
3 分譲マンション|信託を活用した『住居権』スキーム|活用タイミング
区分所有権を『信託』によって,受益権である『住居権』にする手法の具体的活用例をまとめます。
<区分所有権→信託による『住居権』スキーム|活用例>
ア 新築マンション(分譲)イ 既存分譲マンションの建替事業
このように,実施する場合は,一定の『大イベント』とセットで行うことになりましょう。
<参考情報>
『誰でも使える民事信託』日本加除出版p73