【ドローン×法整備|法改正の方向性・アイデア|規制・民事責任・刑事責任】

1 ドローン×法整備|法規制の案|飛行禁止/可能範囲の明確化
2 ドローン×法整備|法規制の案|許認可制度・審査基準
3 ドローン×法整備|事故発生時の『民事』責任|自賠責法が参考になる
4 ドローン×刑事罰|刑事責任は『保険の填補』が使えない
5 ドローン×刑事罰|責任軽減|他の新テクノロジーの規定が参考になる
6 ドローン×刑事罰|事故発生時の『刑事』責任|軽減or加重

本記事ではドローンに関する法整備の具体的な方向性・アイデアを説明します。
その前提である『法整備の必要性』については別記事で説明しています。
詳しくはこちら|ドローンの悪用・弊害→法規制|普及ブレーキ・利権に注意|過去の悪用対策

1 ドローン×法整備|法規制の案|飛行禁止/可能範囲の明確化

ドローンの現在・想定される弊害と,現行法の『不備』を踏まえて『改正の方向性』をまとめます。

<『飛行禁止範囲/飛行可能範囲』の明確化|例>

場所 現状 規定の方向性
公道 NGの可能性あり 空中に『飛行可能空間=レーン』設定
河川・海洋 明確な規定なし (同上)
要所(前述) 明確な規定なし 飛行禁止エリアに設定
私有地 違法性が不明確 『所有権の対象外』設定

実際に日本では現在法規制の立法が進められています。
予定されている規制内容は重に『場所』を制限するものとなっています。
(別記事『ドローン規制法・航空法改正』;リンクは末尾に表示)

<『飛行禁止』の実現タイプ>

あ 違反者への罰則
い メーカーへの『進入不可プログラム』義務付け

違法なプロテクト外しも生じるが,大部分は抑えられる

2 ドローン×法整備|法規制の案|許認可制度・審査基準

ドローンに関して許認可系の制度設定というアイデアもあります。
方向性としては『普及へのブレーキ』が大きいので『最小限』を極めるべきでしょう。

<飛行の許認可|条件設定|例>

あ 制度概要

許認可・届出・免許制度

い 審査基準

ア 責任者の把握 購入者・所有者の登録
イ 技術習得の試験 →必要性は小さい
→不要方向
ウ 年齢制限(上下ともに) 損害賠償責任の判断(最近の最高裁)との関係を考慮すべき
詳しくはこちら|子供による被害→親の監督者責任|否定方向に基準変更|平成27年ネオ判例

<販売者による身分確認方式>

販売時に販売者が『身分確認』をすることを義務付ける
年齢制限の設定,との併用も可能

3 ドローン×法整備|事故発生時の『民事』責任|自賠責法が参考になる

法律によるドローン運用・飛行の直接的な『規制』以外にもクリアにしておくべき法律問題があります。
事故発生時の『民事責任』に関する規定です。
『新テクノロジー×民事責任』の対応は歴史的な経験があります。
自動車というテクノロジー普及とともに導入された自賠責法です。

<自動車の自賠責法の枠組み>

あ 強制保険

賠償保険への加入を強制する
ア 被害者保護 確実に賠償金が支払われる
イ 運転者保護 経済的な困窮を防ぐ
→安心して運転できる

い 賠償請求の緩和=運行供用者責任

ア 立証責任の緩和イ 責任負担者の拡大 詳しくはこちら|運行供用者責任の基本(運行支配・運行利益・他の制度との関係)

強制保険は,類型的に被害者・加害者を救済するという手法です。
この制度については『利権争奪戦』となることが想定されます。
なお,強制保険+賠償請求の緩和という枠組みは原発運用に関する『原子力賠償責任法』でも採用されています。

4 ドローン×刑事罰|刑事責任は『保険の填補』が使えない

一方でドローン運用・飛行に関する刑事責任についても最適化が必要です。
『重すぎる』罰則が適用されてしまう場合,緩和する対応が必要です。
刑事罰・刑事責任は性質上『保険でカバー』ができません。
『重すぎる』規定がある場合は,強い『普及のブレーキ』になってしまいます。

5 ドローン×刑事罰|責任軽減|他の新テクノロジーの規定が参考になる

ITの普及という先行事例では『責任制限』を立法で規定しました。
プロバイダ責任制限法やリベンジポルノ規制法です。
テクノロジー普及のブレーキを除去する→普及を促進する,という方向性の選択です。
一方,弊害防止の方を優先させ『責任を重くする』というハンドリングもあり得ます。
自動車事故に関する責任については加重方向性で改正が重ねられています。
関連コンテンツ|リベンジポルノ法|元恋人とのセクシャル画像のインターネッツ拡散→犯罪
詳しくはこちら|ネット上の名誉棄損など|運営者・管理人の責任|損害賠償・削除義務
関連コンテンツ|自動車運転→死傷事故における罪;平成26年自動車運転死傷行為処罰法施行

6 ドローン×刑事罰|事故発生時の『刑事』責任|軽減or加重

ドローン・ロボットについては,既存の法体系では想定されていないので,整合性が良くないものが多いです。
詳しくはこちら|ドローン・ロボットの『侵入・上空侵犯』×犯罪|ほぼ故意犯のみ|業務妨害罪・盗撮系
既存の規定から実質的に『加/減』の両方の方向を含めて,規定の最適化が必要でしょう。
具体的には『飛行禁止/可能範囲』を明確化する,という法改正に含まれることになります。
これについては別記事で説明しています。
詳しくはこちら|ドローンの悪用・弊害→法規制|普及ブレーキ・利権に注意|過去の悪用対策

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