【企業×SNS|基本|公式アカウント=中の人|従業員のSNS利用の監督】
1 業務においてSNSを利用するリスク|公式・従業員プライベート共通
2 従業員がプライベートでSNSを利用する→企業へのリスク
3 SNS利用による被害|特徴|炎上・祭りだワッショイ
4 業務におけるSNS利用|公的規制はない
5 従業員のSNS利用による被害|予防策
6 SNS利用による被害を防止する|原因・理由の分析
本記事では,企業がSNSの利用によって被害を受けるケースとその対応の基本事項を説明します。
対応の具体策として導入が推奨される『SNSガイドライン』については別に説明しています(リンクは末尾に表示)。
1 業務においてSNSを利用するリスク|公式・従業員プライベート共通
業務上SNSを活用するシーンは最近増えています。
また,従業員がプライベートの範囲で『仕事・会社』に関する情報をSNSに書き込むこともあります。
SNSは使い方によっては非常に便利・有益です。
一方で『思わぬ被害』が生じることもあります。
<業務上・従業員個人のSNS利用×会社へのリスク>
あ 機密情報の漏洩
会社の営業・業務上の秘密の流出
い 会社の企業ブランド・イメージへの悪影響
う プライバシー情報の拡散
発言者や関係者の写真・住所・氏名などのプライバシー情報の拡散
これらはSNSにおける『公式発言』でも『従業員個人としての発言』でも同じです。
この中でも『従業員個人のプライベート』のSNS利用での被害の例を次に説明します。
2 従業員がプライベートでSNSを利用する→企業へのリスク
従業員が個人的にSNSで投稿・発言をしたことが『大事件』になり報道されることもあります。
投稿した本人の想定を超えて拡散する,というSNSの特徴が反映されています。
<従業員の投稿|プライバシー侵害|典型例>
あ 従業員のSNS利用→プライバシー侵害|典型例
従業員が個人的にSNSに『プライバシー情報』を投稿(公表)した
い プライバシー情報|具体例
ア ホテルに著名人が愛人と登場した映像イ 『特定の人物が店舗に来店した』という投稿
このような『悪ふざけ』のケースがよく問題になります。
当然,法的には『正当な理由』がないので通常違法となります。
詳しくはこちら|プライバシー権のまとめ|判例の基準|定義の発展
いずれにしても,企業にとっては大きな信用失墜が生じます。
3 SNS利用による被害|特徴|炎上・祭りだワッショイ
機密情報・プライバシー情報の漏洩は,SNS以外でも生じます。
しかし,レガシーな媒体の場合『予想外の拡散』が起きにくいです。
SNSは『想定外の拡散』という特徴があります。
市民権を得つつあるネットスラングから生まれた用語を軸に,この特徴・現象をまとめました。
<想定外の拡散=『炎上』『祭り』| 用語の説明>
あ 『炎上』『祭り』;基本的現象
非難・批判・誹謗・中傷などのネガティブなコメントが殺到する
投稿者の想定を大幅に超えている
い 『祭りだワッショイ』;スパイラル現象
投稿が投稿を呼ぶ状態・特徴を指し示す時に用いられる
元祖的掲示板である2ちゃんねる発祥,という説が有力
う 『釣り』;想定・コントロールされたもの
多数のネガティブコメントのうち,投稿者による『意図的・想定内』のもの
え 語法の誤用に注意
ポジティブなものは『炎上・祭り』とは呼ばない
本来の語義からの変容がみられる
4 業務におけるSNS利用|公的規制はない
業務上でSNSを利用することは,前述のように,一定のリスクがあります。
この点,公的に,業務上のSNS利用を一律に規制するルールはありません。
各業種ごとに『業界単位』でガイドラインとして内部・自主ルールを作っているものはあります。
ただし,作っていたとしても非常に大雑把なものに過ぎない,ということがほとんどです。
参考として,弁護士会によるSNS利用のガイドラインを紹介します。
<弁護士業務×SNS使用|ガイドライン>
弁護士は,ソーシャル・ネットワーキング・サービスにおいて,事件情報等及びこれを推知させる情報を取り扱わないこと。
※弁護士情報セキュリティガイドライン『第7−4』
なお,オンラインでの情報の扱い,という意味では,クラウドの利用の規制・ガイドラインと似ています。
関連コンテンツ|業務上のクラウド利用|個人情報保護法・会社法・上場関連規則・オンライン文書保存
5 従業員のSNS利用による被害|予防策
従業員のプライベートの範囲内のSNS利用から,企業に被害が生じることがあります(前述)。
そこで,企業としては『業務範囲外』の従業員の行動についても『注意義務』があると言えます。
予防策の根本的な方針についてまとめます。
<従業員のSNS利用→企業への被害|予防策>
あ 基本事項
従業員の監督が必要
い 従業員の監督の内容
SNS利用に関する規定の設定+周知
予防策は『従業員の監督』ということになります。
具体的には『規定』の設定と周知です。
規定の内容は,従業員が事故を起こしてしまう原因から考えると良いでしょう。
6 SNS利用による被害を防止する|原因・理由の分析
従業員のSNS利用によって企業が被害を受けるケースの原因・理由をまとめます。
<SNS利用による被害の根本要因>
あ 若年タイプ
悪ふざけ
い シニアタイプ
公開範囲・SNSのシステムをよく知らなかった
う 共通事項
『公私の境』が曖昧になる
『防止策』は,これらに対応する内容を作ると良いのです。
<SNS利用による被害防止|根本的方針>
『投稿・発言によって,どのような影響が生じるのか』の理解を徹底する
実際に生じているケースのほとんどは『投稿者が想定外の影響に驚く』というものです。
つまり,最初から影響が分かっていれば『行為に及ばなかった』と言えます。
そこで『どのような発言が悪影響を生じるか』の説明をまとめることが予防につながるのです。
具体的事例も含めて,ガイドライン・ポリシーなどとしてまとめると,より理解しやすくなります。
また特にシニア・SNS初心者向けに,SNS自体のシステム・仕組みも盛り込むとベターです。
実際に,前提知識不足が被害発生につながっているケースもあるのです。
規約類すべてに共通することですが,単に『告知・通知』だけでは不十分です。
リアルタイムで『確認』『読み合わせ』などをするとよりベターです。
SNS利用のルール,ガイドラインを作る場合の基本的方針については別記事で説明しています。
詳しくはこちら|職場のSNSガイドライン|骨子|従業員のプライベートの尊重・運用面