【『旅館業』に該当する/しない|具体例|シェアハウス・ホームステイ】

1 『旅館業』に該当する要素の確認|部屋内の清掃・寝具管理・生活の本拠
2 部屋内の清掃・寝具管理をユーザーとする+住民登録OK→『旅館業』回避方向
3 『シェアハウス』→賃貸借なので『旅館業』に該当しない
4 ホームステイ→生活の本拠がある→『旅館業』に該当しない
5 ネットカフェ・漫画喫茶→寝具の利用なし→『旅館業』に該当しない
6 ネットカフェ・漫画喫茶に着想→適法化のトライ

1 『旅館業』に該当する要素の確認|部屋内の清掃・寝具管理・生活の本拠

『旅館業』の範囲の解釈は,曖昧なところが多いです。
まずは『該当する要素』を,具体例を元にして確認します。

<『旅館業』に当たる方向性となる事情>

あ 概要

室内清掃・寝具交換サービスの業者の手配をオーナーが手伝う
→『寝具の管理をオーナーが行う』に該当する
→『旅館業』に該当する方向性

い 具体的行為|例

ア オーナーが発注の連絡を代行するイ オーナーが清掃料金を立て替えるウ 清掃業者をオーナーが指定する

2 部屋内の清掃・寝具管理をユーザーとする+住民登録OK→『旅館業』回避方向

上記の逆方向であれば『旅館業』に該当することを避ける方向性になります。

<『旅館業』に当たらない方向性となる形態>

ア 床・壁・家具の清掃はユーザー(滞在者)が行うイ 寝具の交換(洗濯)はユーザーが行うウ オーナーは,ユーザーが住民票上の『住所』とすることを許容する

これらのすべてを満たすと『旅館業ではなく賃貸』という判定になる可能性が高いでしょう。
ただし,あくまでも元となる基準は『通達』が元になっています。
裁判所の判断が異なる,というリスクもあります。
また,他の事情によって,判断の方向性が変わります。
次に,具体的な貸与形態を元に説明を続けます。

3 『シェアハウス』→賃貸借なので『旅館業』に該当しない

『シェアハウス』と呼ばれる形態も普及しています。
一般的な形態では寝具管理は居住者が行い,居住者の生活の本拠となっています。
このような条件が揃っている以上は『旅館業』には該当しない『賃貸借契約』です。
別項目|シェアハウスの『寄宿舎』扱い→規制緩和

4 ホームステイ→生活の本拠がある→『旅館業』に該当しない

一般的なホームステイと呼ばれる形態も,『旅館業』に該当しません。

<ホームステイ→生活の本拠がある>

あ 滞在の状況

海外在住の人が短期間,日本の家庭に滞在する

い 『旅館業』|判断

宿泊者(居住者)が,生活拠点を日本に移している
→『旅館業』に該当しない

う 対価の扱い

仮にホストが『謝礼(金銭)』を得ても違法ではない
『旅館業』ではなく『賃貸借』における『賃料』として扱われる

5 ネットカフェ・漫画喫茶→寝具の利用なし→『旅館業』に該当しない

ネットカフェ・漫画喫茶で『朝まで居眠り』という風景があります。
しかし,次のように『旅館業』には該当しません。

<ネットカフェ・漫画喫茶→寝具の利用なし>

あ 愛称

『ネカフェ』『まんきつ』

い 滞在の状況

深夜〜朝まで過ごす顧客も多い
ソファー・椅子で睡眠を取る顧客もある

う 『旅館業』判断|寝具なし

毛布の貸出はしているケースもある
しかし『ベッド』の使用はない
→『寝具の利用』とは言い切れない
→『旅館業』に該当しない

6 ネットカフェ・漫画喫茶に着想→適法化のトライ

ネットカフェでは『朝まで寝ている』ことは『宿泊』に該当しません。
『寝られる場所の提供・販売』のために『旅館業営業許可』は必要ありません(前述)。
このことに着想を得た『適法化アイデア』もあります。
規制対象のサービスと他のサービスを融合する,という発想です。
これについては別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|シェアリングサービスと他サービスとの融合による『有償』回避

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【違憲判決・法令無効→産業化・マーケット形成=実質的立法作用|具体例】
【宿泊サービスに関する建築基準法の規制(用途変更・仕様)】

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