【旅館業×『過去の人の死』告知義務|賃貸借との違い・ワケあり物件有効活用】
1 ワケあり物件|空部屋マッチングで有効活用の可能性
2 『旅館業』では『賃貸借』と違い『過去の人の死』の告知不要
3 旅館・空部屋利用でのユーザーの『過去の人の死』防御策|質問するorしない
1 ワケあり物件|空部屋マッチングで有効活用の可能性
『過去に人が亡くなった』ため『賃貸で収益化』ができない住居がマーケットに増えつつあります。
このような空部屋は,airbnbなどのマッチングで活用できる,という可能性もあります。
ワケあり物件の増加現象をまとめます。
<過去に人が亡くなった物件の増加・要因>
あ 高齢化社会
寿命を迎える者が増加している
い ノーマライゼーション
極力平常の生活をすることを尊重する考え
→自宅で死を迎えることを選択する者が増加している
う IT化
過去の情報が『記録』される→蓄積される
=社会的に『忘れ去る』プロセスが機能しない方向性
外部サイト|大島てる|事故物件公示サイト
このような『ワケあり物件』は『告知義務』があるので,マーケットでの流通が阻害されます。
つまり『借り手がいない』『賃料を安くせざるを得ない』ということになります。
この点『宿泊・滞在期間』が短い場合は『旅館業』に準じて『告知義務なし』という解釈の方向性になりましょう。
次に説明します。
2 『旅館業』では『賃貸借』と違い『過去の人の死』の告知不要
建物の賃貸借については,物件内や周辺で『過去の人の死』について告知義務があります。
詳しくはこちら|不動産賃貸と『人の死』|告知義務,損害賠償,賃料相場の減額
この点『旅館業』については,業法上『告知義務』はありません。
もちろん,解釈上認められる可能性はありますが,一般的ではありません。
性質上『比較的長期間の滞在』は想定されていません。
そこで一律に『嫌悪感に配慮』することをルール化する要請が高くないのです。
<旅館業×過去の人の死・告知義務>
あ 厚生労働省健康局生活衛生課ヒアリング
告知等について法的な義務はない
避難経路を記載した図面の備え置きなどの自治体の条例による規制はある
個別的には官公庁の指導も一般論としてはあり得る
い 東京都福祉保健局ヒアリング
条例その他の規則類として『過去の人の死』についての『告知義務』はない
顧客への説明としては,宿泊料を表示した案内書等の備付義務くらいである
※東京都旅館業法施行条例6条3号
※平成26年12月ヒアリング
3 旅館・空部屋利用でのユーザーの『過去の人の死』防御策|質問するorしない
旅館・ホテルの利用者は『過去の人の死亡事故』があっても知らされない可能性があります(前述)。
これに関する対応策をまとめておきます。
<過去の人の死×宿泊者の対応2種>
あ 旅館・ホスト側に質問・確認する
ユーザーが『過去のイワク』を質問する
→仮に虚偽の回答をすれば法的責任につながる
い 旅館・ホスト側に質問しない=知ることを回避
『知るからダメージを受ける』の逆転の発想
→知ることを回避する
=敢えて質問しない
『あなたの知らないままの世界』である方が良い,という考えもあるのです。