【道路の不法占有|行政による解消|除去命令+行政代執行|大阪たこ焼き屋台事件】

1 『道路の不法占有』|除去命令→行政代執行
2 道路法|監督処分=除去命令など
3 除去命令に応じない→強制的撤去ができる|行政代執行
4 除去命令に応じない→罰則|刑事責任
5 道路占用→除去命令+行政代執行|大阪たこ焼き屋台事件|事案
6 大阪たこ焼き屋台事件|裁判所の判断
7 大阪たこ焼き屋台事件|自主撤去で終了

1 『道路の不法占有』|除去命令→行政代執行

公道が不法占有されている場合,行政による『占有解消』方法があります。
除去命令と,これに占有者が応じない場合の行政代執行です。
これらについて以下,まとめます。

2 道路法|監督処分=除去命令など

道路法では『違反行為』への対応として『監督処分』が規定されています。
その一環として『除去命令』があります。
まずは『監督処分』の全体をまとめます。

<道路法|監督処分=除去命令など>

あ 命令の主体

道路管理者

い 命令の種類

ア 既に出された許可・承認・認定 取り消すor効力を停止or条件を変更する命令
イ 中止 行為or工事の中止命令
ウ 物理的な変更 道路に存する工作物その他の物件について
→改築・移転・除却・原状回復命令

う 命令の対象者

ア 規定違反 道路法or命令orこれらの規定に基づく処分に違反している者
イ 条件違反 許可or承認に付した条件に違反している者
ウ 不正な許可など 詐偽その他不正な手段により許可・承認・認定を受けた者
※道路法71条1項

3 除去命令に応じない→強制的撤去ができる|行政代執行

除去命令に応じない場合,行政は『強制的な撤去』をすることができます。
これは『行政代執行』という手続です。
行政代執行の手続や要件などは別記事で詳しく説明しています。
詳しくはこちら|行政代執行|基本・手続|『命令』が前提・裁判所不要・罰則との関係

4 除去命令に応じない→罰則|刑事責任

除去命令に応じない場合の罰則も規定されています。
行政代執行で強制的に撤去されても刑事責任は解消されません。

<除去命令に応じない→罰則>

あ 違反行為

道路管理者の命令に違反した

い 罰則|法定刑

罰金100万円以下
※道路法100条4号

5 道路占用→除去命令+行政代執行|大阪たこ焼き屋台事件|事案

行政代執行において,実際に攻防が展開された事例を紹介します。

<大阪たこ焼き屋台事件|事案>

あ 事案

たこ焼き屋台の店主は,商店街内にたこ焼き屋台を設置・占用していた
この道路は『市道』であった
大阪市が除却命令を発した
※道路法32条1項,43条,71条1項
代執行の戒告をした
※行政代執行法2条,3条1項

い 店主の主張(申立)内容

ア 除却命令の取消イ 行政代執行の手続の停止

6 大阪たこ焼き屋台事件|裁判所の判断

<大阪たこ焼き屋台事件|裁判所の判断>

あ 裁判所の判断|前提事情の認定

屋台の除却→店主は営業の場所的基盤を失う
この損害は『財産上の損害』である
=損害賠償その他の方法により填補され得るものである
特に回復が困難とは言えない

い 裁判所の判断|結論

『重大な損害』は生じない
『信義則に反する』という事情もない
→除却命令の取消・執行停止のいずれも認めない
※行政事件訴訟法25条2項
※大阪地裁平成22年12月15日

7 大阪たこ焼き屋台事件|自主撤去で終了

裁判において,判断が確定した後は,店主側が自主撤去を行いました。

<大阪たこ焼き屋台事件|自主撤去>

裁判終了後,店主が屋台を自主的に撤去した
『行政代執行』が実際に実行されることは回避された
※各社報道

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