【再生可能エネルギー共通×発電事業|環境影響評価・公害紛争解決制度・事例】
1 再生可能エネルギーの活用・発電|開発・普及×法規制
2 地熱・風力×環境影響評価法
3 発電事業×公害等調整委員会|紛争解決制度
4 陸上風力発電×騒音|公害処理裁定・事例
再生可能エネルギーによる発電事業に共通する,立地以外の法律問題の基本事項についてまとめます。
発電方式別の規制・法律問題はそれぞれ別記事にまとめてあります(リンクは末尾に表示)。
1 再生可能エネルギーの活用・発電|開発・普及×法規制
日本では昔から,発電を含めたエネルギーを確保する政策的問題の重要性が高いです。
資源産出に乏しいという根本的な要因があります。
そこで,製造などの『加工』に特化した経済構造が取られ『加工貿易国』と呼ばれていました。
発電事業についてもテクノロジーの発展・発達が切望される状態にあります。
テクノロジーの発展の成否を決定付ける要素の1つが『法規制』です。
<産業誕生・育成→経済発展|方程式>
『テクノロジー発展』×『経営(投資・出資)』×『法規制の最適化』
→『産業誕生・成長』
(→経済発展)
詳しくはこちら|産業誕生・経済発展の方程式|日本の環境=『プロの経営者』以外は揃っている
以下,再生可能エネルギーによる発電事業一般の法規制・法律問題を説明します。
2 地熱・風力×環境影響評価法
発電事業のうち,一定条件に該当するものは『環境影響評価』が必要となります。
<再エネ事業×環境影響評価>
規模の分類 | 出力 | 環境影響評価手続の要否 |
第1種事業 | 1万kw以上 | 必要 |
第2種事業 | 7500kw以上(1万kw未満) | 個別的に要否が判断される |
※環境影響評価法2条2項1号『ホ』,2条3項
※施行令1条,6条,別表1第5号『ト』
3 発電事業×公害等調整委員会|紛争解決制度
発電事業では,一般的に,周辺の住民・事業者との『対立』が生じることがあります。
もちろん,裁判所を用いた紛争解決手段もあります。
一方『公害』を対象とした行政的な紛争解決手続もあります。
<公害等調整委員会|紛争解決制度>
あ 紛争解決手段
あっせん・調停・仲裁・裁定
い 主催機関
公害等調整委員会
う 対象となる紛争=『公害』
次のいずれにも該当する
ア 被害の根本的要因
事業活動・人の活動が発生原因で被害が生じた
イ 規模が大きい
被害が『相当範囲』にわたる
ウ 被害の原因
大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・騒音・振動・地盤沈下・悪臭
エ 被害の内容
人の健康or生活環境に関する被害が生じた
※公害紛争処理法2条,3条
※環境基本法2条3項
実際には,主に『被害を主張する側』で,解決のための手続を選択します。
それぞれの手続の特徴を把握していることが,最適な解決手続の選択につながります。
その結果『最適な結果』の獲得可能性が上がることになります。
4 陸上風力発電×騒音|公害処理裁定・事例
『公害等調整委員会』による紛争解決手続が利用された実例を紹介します。
<陸上風力発電×騒音|公害処理裁定・事例>
あ 手続の概要
静岡県東伊豆市
平成21年7月申立
『裁定』が行われた
い 『公害』の概要
風力発電施設から発生する超低周波音・低周波騒音
→健康被害が生じた
<参考情報>
高橋滋『震災・原発事故と環境法』民事法研究会p54〜187
豊永晋輔『NBL』964号商事法務p66〜