【区分所有法の総会(集会)の基本(決議要件・管理規約の効力)】
1 区分所有法の集会・総会|分譲マンション全体の意思決定をする
2 区分所有法の『集会』|決議事項・決議要件
3 区分所有法の集会の決議要件(頭数+議決権割合)
4 集会|招集通知|タイミング=1週間前まで
5 集会|招集通知|記載事項=目的事項+議案の要領
6 集会|招集通知|記載事項|具体例
7 集会|決議事項の制限|事前予告がないと決議は無効
8 規約・集会決議の効力×第三者|承継される
1 区分所有法の集会・総会|分譲マンション全体の意思決定をする
分譲マンションは,法律上『区分所有法に基づく区分所有建物』と言います。
<区分所有法の集会・総会>
あ 『集会』
区分所有建物全体の運営に関する意思決定をする
※区分所有法34条
い 俗称
マンションの『総会』
マンションに関する一定の重要な事項は『集会』で決めることになっているのです。
2 区分所有法の『集会』|決議事項・決議要件
区分所有法による集会では『決議事項・決議要件』が規定されています。
次にまとめます。
<区分所有法の『集会』|決議事項・決議要件>
あ 共用部分の『管理』
共用部分の形状or効用に著しい変更を伴わないもの
決議要件=区分所有者・議決権の各過半数
※区分所有法16条,17条1項括弧書反対解釈,18条,39条
い 棟ごとの一括建て替え決議
決議要件=区分所有者・議決権の各3分の2以上
※区分所有法69条
う 共用部分の『変更』工事
決議要件=区分所有者・議決権の各4分の3以上
緩和の限度=規約で『頭数』を『過半数』まで緩和できる
※区分所有法17条1項
え 規約の設定・変更・廃止
一般的には『管理規約』と呼ぶが法律上は『規約』である
決議要件=区分所有者・議決権の各4分の3以上
緩和=できない
※区分所有法31条
お 建て替え決議
決議要件=区分所有者・議決権の各5分の4以上
※区分所有法62条
か 共用部分の所有関係の変化を伴う工事や共有関係の廃止
決議要件=区分所有者全員の同意
※民法251条
それぞれの内容については別記事で説明しています。
詳しくはこちら|集会|決議事項『管理・変更』|対象行為・判断基準・具体例
詳しくはこちら|集会|決議事項『処分・保存行為』|対象行為・判断基準・具体例
3 区分所有法の集会の決議要件(頭数+議決権割合)
区分所有法の集会(総会)の決議要件の内容について説明します。
『頭数』と『議決権割合』の2つの両方をクリアする必要があります。
<区分所有法の集会の決議要件(頭数+議決権割合)>
あ 頭数・議決権パラメータ
次の『両方』を満たす必要がある
ア 頭数
区分所有者の頭数で規定の割合を満たす
イ 議決権割合
議決権の割合が規定の割合を満たす
い 『議決権』カウント方法(概要)
原則として共用部分の持分の割合(専有部分の床面積割合)を用いる
規約で別の内容を定めることもできる
※区分所有法38条,14条
詳しくはこちら|総会(集会)の議決権の割合(区分所有法の規定と規約による設定)
4 集会|招集通知|タイミング=1週間前まで
集会を開催する時は事前に『通知を出す』ことが必要です。
<集会|招集通知|タイミング>
あ 原則
集会日の1週間前まで
い 例外
規約による変更が可能である
※区分所有法35条1項
5 集会|招集通知|記載事項=目的事項+議案の要領
集会の招集通知には一定の記載事項が要求されています。
<集会|招集通知|記載事項>
あ 目的事項
会議の目的事項を示す必要がある
い 議案の要領
『目的事項』をより詳しくした内容のことである
次の目的事項については『議案の要領』も示す必要がある
ア 共用部分の変更イ 規約の設定・変更・廃止ウ 滅失した共用部分の回復工事エ 建替
※区分所有法35条1項,5項
6 集会|招集通知|記載事項|具体例
招集通知における『目的事項・議案の要領』の具体例を紹介します。
<集会|招集通知|記載事項|具体例>
法律上の分類 | 具体例 |
目的事項 | 規約の変更 |
議案の要領 | 専有部分をシェアハウスに供することを禁止する条項新設 |
7 集会|決議事項の制限|事前予告がないと決議は無効
集会での『決議事項の制限』をまとめます。
<集会|決議事項の制限>
あ 基本的ルール
招集通知で示していない『目的事項』は決議できない
※区分所有法37条1項
い 趣旨
事前に賛成/反対を検討する時間を確保する
要するに,事前に予告のない事項は決議しても無効になるということです。
8 規約・集会決議の効力×第三者|承継される
規約や集会決議は特別な効力があります。
<規約・集会決議の効力×第三者>
あ 効力|基本的事項
規約・集会決議の効力
→区分所有者の承継人にも効力を有する
い 承継人|具体例
ア 一般承継をした者
相続人
イ 特定承継をした者
・売買で購入した者
・贈与された者
※区分所有法46条
つまり『決議・作成に関与していない者』にも効力が及ぶということです。
区分所有建物の『共同体』という根本的性格が反映されているのです。