【株式×相続|トラブルの特徴|不可分・準共有】
1 株式の相続→準共有|トラブルの特徴=2重の問題
2 株式の相続|遺産共有
3 株式の遺産共有・準共有|性質
4 株式×準共有|概要
1 株式の相続→準共有|トラブルの特徴=2重の問題
株式は法律の原則論では相続により『準共有』となります。
詳しい内容は後述します。
株式が準共有となった場合にはトラブルが生じやすいです。
最初に株式が相続により準共有となった場合のトラブルの特徴をまとめます。
<株式の相続→準共有|トラブルの特徴=2重の問題>
あ 相続→未分割の株式|特徴
2つの問題が同時に生じる
遺産分割協議が成立するまでの間は解消しない
い 2つの問題=内部・外部
内/外→ | 内部 | 外部 |
問題 | 株主間の相続問題 | 経営権(議決権)行使の問題 |
具体例 | 遺産分割 | 総会決議不存在確認訴訟 |
なお,遺言で承継者が指定してあれば『遺産共有』を避けられます。
トラブルを避けられるので,遺言をしっかりと作成しておくことをお勧めしています。遺言に記載できる事項については別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|遺言の記載事項の種類・分類(基本)
以下,遺言がない場合の扱いについて説明します。
2 株式の相続|遺産共有
株式が相続により『遺産共有』となります。
根本的な部分について,判例をまとめておきます。
<株式の相続|遺産共有>
株式は自益権・共益権を含む
→単純な財産・金銭と同等とは言えない
→共同相続により『遺産共有』となる
『分割承継』ではない
※最高裁平成26年2月25日
※最高裁昭和45年1月22日
※最高裁昭和45年7月15日
3 株式の遺産共有・準共有|性質
株式の『準共有』という状態・性質について,具体例を使ってまとめます。
<株式の遺産共有・準共有|性質>
あ 前提事情|事例
相続財産にA会社の株式120株があった
相続人3人が均等の相続分を持っている
い 株式は可分債権ではない|参考
誤解=各相続人が『40株』を承継する
可分債権ではこのように分割承継となる
しかし『株式』はこのような扱いをしない
※民法427条
う 株式は『準共有』となる
120株の1つ1つの株を3人が『準共有』している状態になる
※民法264条本文
4 株式×準共有|概要
株式が準共有であることによる影響・扱いは複雑です。
準共有の株式についての解釈論は別に説明しています。
詳しくはこちら|株式の準共有|全体|訴訟・原告適格|分割請求×単位未満株式
2021年10月発売 / 収録時間:各巻60分
相続や離婚でもめる原因となる隠し財産の調査手法を紹介。調査する財産と入手経路を一覧表にまとめ、網羅解説。「ここに財産があるはず」という閃き、調査嘱託採用までのハードルの乗り越え方は、経験豊富な講師だから話せるノウハウです。