【相手=配偶者の相続リスク|予防法|財産分与・遺言×受益者連続型信託】
1 相手=配偶者の相続リスク|典型的シーン
2 相手=配偶者の相続リスク|財産承継先|典型例
3 財産分与・遺言×受益者連続型信託|設定例
1 相手=配偶者の相続リスク|典型的シーン
夫婦において『相手=配偶者』が死亡した時に『想定外の財産承継』が生じることがあります。
死亡による相続発生,という場合です。
さらに,生前贈与も同様です。
『想定外の財産承継』が生じる状況をまとめます。
<相手=配偶者の相続リスク|典型的シーン>
あ 離婚・財産分与を行った後
普通に離婚し,財産分与も行ったケース
い 離婚前の相続リスク軽減策を行った後
例;相続リスク軽減策として遺言を作成した
→遺言者が亡くなった
→遺留分相当の遺産を配偶者が承継した
2 相手=配偶者の相続リスク|財産承継先|典型例
将来の相手=配偶者の死亡・相続により想定外の者に財産が承継されることがあります(前述)。
その具体的な『承継する者』をまとめます。
<相手=配偶者の相続リスク|財産承継者|典型例>
あ 将来の『想定外の財産承継』|例
ア (元)配偶者が死亡し,相続となったイ (元)配偶者が生前贈与を行った
い 『想定外の財産承継』で財産を得る者|例
ア (元)配偶者の『再婚相手』イ (元)配偶者と再婚相手との間に誕生した子供
例えば,離婚の際に,財産分与として,AからBに譲渡された財産は,当然,Bの所有物となります。
将来Bが亡くなった場合,その時点での『Bの相続人』に承継されます。
このような『リレー承継』は,ある程度の長い時間の中で生じます。
そうすると『B死亡時の相続人』は,現在想定しにくい者であることもあるのです。
また『B自身による贈与』についても『所有者でなくなったA』は口出しできません。
3 財産分与・遺言×受益者連続型信託|設定例
将来の想定外の財産承継を避ける方法として『信託』を活用した方法があります。
具体的な典型例を用いてまとめます。
<財産分与・遺言×受益者連続型信託|設定例>
あ 前提事情
夫Aが住居(不動産)を所有している
Aが妻Bと離婚する
い 財産分与|実現する内容
配偶者Bには住居に居住させる
将来,それ以外の人には渡らないようにする
う 信託の活用|設定例
ア 信託受益権
住居(不動産)の『信託受益権』を配偶者Bに渡す
→配偶者Bはこの住居に居住できる
イ 将来の受益権移転
『B死亡時はCに受益権が移転する』
Cの例;A自身の子供やAの姪や甥など
以上の内容を『遺言代わりの信託or財産分与としての信託』として行うのです。
『遺言代わりの信託』のことを『遺言代用信託』と呼んでいます。
別項目;遺言代用信託,受益者連続型信託;まとめ
なお,住居を使用させる方法としては『賃貸借契約』を用いる方法もあります。
この点,信託の方が賃貸借よりも,設定の自由度がとても高いです。
いろいろな工夫を盛り込むことができます。
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