【墓地開発・販売×名義貸し|実態・標準的利益分配方法・問題点】
1 『墓地』開発事業×名義貸し|墓石業者・不動産業者の暗躍
2 墓地経営×名義貸し|2つの形態|関与レベル→高/低
3 墓地経営×名義貸し|問題点=ユーザー犠牲+事業者の利益
4 墓地経営×名義貸し|標準的分配方法|年間管理費
5 墓地経営×名義貸し|標準的分配方法|永代使用料
6 墓地経営×名義貸し|標準的分配方法|建墓工事代金
7 墓地経営×名義貸し|標準的分配方法|建墓手数料
1 『墓地』開発事業×名義貸し|墓石業者・不動産業者の暗躍
墓地を開発・販売する事業は『名義貸し』が横行しているという指摘があります。
概要をまとめます。
<『墓地』開発事業×名義貸し>
あ 名義貸し|当事者
ア 民間営利企業
例;墓石業者・不動産業者
※以下『営利企業』と呼ぶ
イ (形式的)墓地経営者
宗教法人・公益法人
『経営許可』を得た法人
※以下『形式的(本来の)墓地経営者』と呼ぶ
い 名義貸し|概要
『形式的墓地経営者』の名義を借りて『営利企業』が墓地開発・経営を行うこと
う 名義貸しの判断基準
ア 出資金と『販売』の因果関係
次の2つに一定の因果関係がある
・営利企業が支出した出資金
・営利企業による墓地使用権の販売権の取得
イ 販売対象者が不特定多数
営利企業(出資者)による墓地使用権の販売対象者が不特定多数である
もちろん,適正・誠実な事業者も多くいらっしゃいます。
いずれにしても,構造的に生じている客観的現象として研究されています。
参考情報は末尾に記載してあります。
2 墓地経営×名義貸し|2つの形態|関与レベル→高/低
墓地経営の『名義貸し』は大きく分けると2種類があります。
<墓地経営×名義貸し|2つの形態>
あ 関与レベル『高め』=業務込み
営利企業が宗教法人などの『名義』を借りる
営利企業が実質的に墓地新設の申請を行う
営利企業が霊園開発の実質的な当事者になっている
い 関与レベル『低め』=出資のみ
宗教法人などが霊園開発を行う
営利企業が『出資』を行う
出資金を基礎として開発が行われる
3 墓地経営×名義貸し|問題点=ユーザー犠牲+事業者の利益
墓地経営の名義貸しの問題点をまとめます。
<墓地経営×名義貸し|問題点>
あ 収益の収奪
営利企業が収益を収奪する
=本来の墓地経営者が得る収益が少ない
→永続的な墓地経営に悪影響を及ぼす
い 経営判断
営利企業が墓地経営に干渉する
=実質的に経営判断を行う
→本来の墓地経営者・墓地利用者の利益を損ねる
例;次の項目
う 営利企業の利益優先|抱き合わせ販売など
営利企業の利益優先になる
例;石材業者が『墓石の販売』を再優先にする
→『墓石と墓地を強制セット=抱き合わせ販売』にする
4 墓地経営×名義貸し|標準的分配方法|年間管理費
墓地経営の名義貸しのビジネスモデルの標準的な内容をまとめます。
まずは『年間管理費』という項目の料金です。
<墓地経営×名義貸し|年間管理費>
あ 実質的内容=具体的使途
具体的な『管理』の対象・内容は不明である
い 標準的な金額設定
6000円×墓地使用者の数
う 収入の帰属先
形式的墓地経営者
5 墓地経営×名義貸し|標準的分配方法|永代使用料
墓地経営の名義貸しでは『永代使用料』という料金項目がよく使われます。
この料金の行方にも一定の『相場』があります。
<墓地経営×名義貸し|永代使用料>
あ 実質的内容=具体的使途
墓地を使用する対価
い 標準的なフロー
最初に一括して形式的墓地経営者から営利企業に『譲渡』する
営利企業がエンドユーザーに販売する
ここで『差額=利益』が生じる(後記)
う 標準的な末端価格設定
85〜95万円×墓地使用者の数
え 販売時の『差額』|標準額
6.4〜16.4万円×墓地使用者の数
お 収入の帰属先
販売時の『差額』は営利企業・形式的墓地経営者で分配する
か 標準的分配方法
営利企業の『初期投資分』を超過する部分
→形式的墓地経営者に戻される傾向がある
6 墓地経営×名義貸し|標準的分配方法|建墓工事代金
一般的に墓地周辺ビジネスでは『建墓工事』があります。
名義貸しのビジネスモデルでは料金がオンされる傾向があります。
<墓地経営×名義貸し|建墓工事代金>
あ 実質的内容
墓石の代金
い 標準的な金額設定
210〜240万円
う 金額設定の特殊性
『抱き合わせ販売』であることが通常
→市場価格よりも高額である傾向が強い
え 収入の帰属先
営利企業(石材販売業者)
7 墓地経営×名義貸し|標準的分配方法|建墓手数料
墓地経営の名義貸しでは『建墓手数料』という特徴的な料金項目が多用されます。
<墓地経営×名義貸し|建墓手数料>
あ 実質的内容
具体的内容・使途は不明である
い 標準的金額設定
墓石代金の20〜30%
う 収入の帰属先
形式的墓地経営者
<参考情報>
『月報司法書士2015年6月』日本司法書士会連合会p23〜