【『送骨』ビジネス|経営不許可→取消訴訟|実例=『みんなのお寺』】
1 『送骨』=納骨×イノベーション
2 『送骨』×経営不許可→取消を求めた行政訴訟|事案
3 『送骨』×経営不許可取消訴訟|裁判所の判断
4 『送骨』サービス提供|実例=『みんなのお寺』
5 みんなのお寺・送骨サービス|納骨フロー
6 送骨→合同永代供養墓|レガシー業界×イノベーション
1 『送骨』=納骨×イノベーション
古来より続いていた『納骨』に新しい方法が登場しています。
『送骨』を呼ばれるビジネスモデルです。
最初に『送骨』の概要をまとめます。
<『送骨』=納骨×イノベーション>
あ 『送骨』サービス内容
『納骨+永代供養』を販売する
い 具体的内容・特徴
ユーザーが寺に遺骨を郵送する
住職との面談なし
→コストを下げる
う 賛成の声
無縁社会が到来する
→引き取り手のない遺骨が増えている
→『送骨』の社会的ニーズは高まっている
※『月報司法書士15年6月』日本司法書士会連合会p54〜
2 『送骨』×経営不許可→取消を求めた行政訴訟|事案
送骨のビジネスモデルの経営許可が不許可とされたケースがあります。
不許可処分の取消を求めて提訴されました。
<『送骨』×経営不許可取消訴訟|事案>
あ 新世代寺院の発想
愛媛県伊予市内の寺院が次の『送骨』スキームを発想した
全国から遺骨を送ってもらい,納骨堂に収蔵する
い 許可申請
『納骨堂経営』の許可を申請した
伊予市が不許可とした
う 提訴
寺院は,不許可処分取消訴訟を提起した
3 『送骨』×経営不許可取消訴訟|裁判所の判断
送骨ビジネスの不許可取消訴訟における裁判所の判断をまとめます。
<『送骨』×経営不許可取消訴訟|裁判所の判断>
あ 商業主義的印象
・インターネットで全国から納骨者を募集する
・住職と面談しない
・郵送で遺骨を受け取る
・ことさら『安価』を強調している
→以上から『商業主義的な印象は否定しがたい』
い 宗教感情とのアンマッチ
収容する遺骨は『地域・寺とは無縁』『制限なし』である
→『施設運営方法が地域住民の宗教感情に適合しない』
う 運営管理の『健全性』に疑念
市の許可がないまま利用者の募集を開始した
→『運営管理の健全性に疑念を生じさせる』
え 裁判所の判断|結論
請求棄却
=経営許可は『不許可』で確定した
※松山地裁平成25年9月25日;読売新聞平成25年9月27日
※高松高裁平成26年3月20日
結論としては『不許可』が維持されました。
ただし,個々の理由はあまり納得できるものではないと思えます。
そこで実際に,他の事業者(というか寺院)も参入トライが続きました。
サービス提供に至っているケースもあります。
4 『送骨』サービス提供|実例=『みんなのお寺』
送骨サービスがローンチ(提供開始)に至った例を紹介します。
<『送骨』サービス提供|実例=『みんなのお寺』>
あ サービス提供法人
宗教法人見性院
曹洞宗の寺院
埼玉県熊谷市所在
い サービス概要
ア エントリー商品
=合同納骨プラン
イ 料金
3万円
手軽・カジュアル,という意味で『みんなのお寺』という呼称とされています。
既存の枠を超えた利便性の高い新サービスでは『みんなの』が愛用される傾向があります。
詳しくはこちら|みんなのUBER事件における『有償』該当性の考察
『みんなのお寺』は今風のセールスレター型のドアーページが用意されています。
リンクを末尾に掲載(表示)しておきます。
5 みんなのお寺・送骨サービス|納骨フロー
『みんなのお寺』では納骨のフローが『前例のない』ものになっています。
遺骨を『送る』というのがコアの部分です。
納骨のフロー全体をまとめます。
<みんなのお寺・送骨サービス|納骨フロー>
あ 遺骨送付
寺院からユーザーに『送骨パック』が送られる
同梱物;ダンボール・中敷き・ビニル緩衝材・送骨マニュアル
い 送付遺骨を受領
う お経唱和・供養
骨箱のまま本堂の祭壇に安置する
住職がお経唱和+供養する
え 納骨
骨箱を永代供養塔に移動する
骨箱から骨甕を取り出す
地下の合同納骨堂に他の遺骨とともに納める
6 送骨→合同永代供養墓|レガシー業界×イノベーション
新サービス・イノベーションは『新しくて古い』ものです。
つまり『既存のサービスと似通っているところ』が生じがちです。
送骨サービスでは『無縁墓地』と共通するところもあります。
しかし,弱点を克服した状態になっています。
『みんなのお寺』とレガシーモデルを比較しつつ,特徴をまとめます。
<送骨→合同永代供養墓|レガシー業界×イノベーション>
あ レガシーモデルの弱点=『無縁墓地』
従来は『永代供養墓=無縁墓地』というイメージであった
訪問者がほとんどいない『寂しい』状況が多い
い みんなのお寺|改良モデル
永代供養塔の場所・雰囲気が良好である
永代供養塔は玄関にあたる山門脇に所在する
明るいところにあり,訪問者が誰でも拝むことができる