【年金分割|年金事務所への請求期限|ミス事例・弁護士の責任論】
1 年金分割共通|年金事務所への請求手続・期限
2 年金分割・請求期限切れ|事例
3 年金分割・請求期限切れ|弁護士の責任
1 年金分割共通|年金事務所への請求手続・期限
年金分割の最終的な手続は『年金事務所への請求手続』です。
期限がタイトなので注意が必要です。
<年金分割共通|年金事務所への請求手続・期限>
あ 厚生労働大臣に対する標準報酬改定請求
所定の請求書に所定の書類を添付して年金事務所に提出する
い 請求期限|原則
離婚から2年
う 請求期限|例外=係争中
次の各号のいずれかに該当することとなつた日の翌日から起算して一月を経過した場合とする。
ア 審判・判決の確定イ 調停・和解の成立
※厚生年金保険法78条の2第1項ただし書,施行規則78条の3第2項
※厚生年金保険法78条の14第1項ただし書,施行規則78条の17第2項
2 年金分割・請求期限切れ|事例
年金分割の『請求手続』は期限がタイトです(前述)。
『期限切れ』となってしまうケースも散見されます。
参考となるケースを紹介します。
<年金分割・請求期限切れ|事例>
あ 年金分割の審判で勝訴
ア 家裁において按分割合を0.4と定める審判がなされたイ 相手(夫)側が即時抗告を申し立てたウ 裁判所は即時抗告を棄却したエ 相手方は許可抗告の申立を行ったオ 裁判所は不許可決定を行った
い 年金分割の請求手続
許可広告の不許可決定の後に,妻側が年金分割の請求書を年金事務所に提出した
法定期間が切れているため,受理されなかった
う 受理NGの理由
即時抗告棄却(上記『ウ』)の時点で『確定』していた
この時点から請求書提出までに2か月以上が経過していた
弁護士は『許可公告の不許可決定(上記『オ』)が起算点』と誤解していた
え 弁護士の心理分析
裁判所の審理が確定してほっとしていた
依頼者に審判書を渡して『終わった』感覚が湧き上がってしまった
このケースにおける責任問題については,次に説明します。
3 年金分割・請求期限切れ|弁護士の責任
上記のケースにおける賠償責任の判断についてまとめます。
<年金分割・請求期限切れ|弁護士の責任>
あ 賠償保険の保険会社の判断
弁護士のミスについて賠償責任が認めた
い 賠償額
約1000万円
=将来得られるはずだった支給額
※『弁護士賠償責任保険の解説と事例 第5集』全国弁護士協同組合連合会『3−(1)』
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