【建物明渡の強制執行|『長期不在』認定・基準|明渡実現の迅速化】
1 実務上の『長期不在』認定・基準|執行の迅速化
2 実務上の『長期不在』|認定方法
3 実務上の『長期不在』|動産処理に関する認定の緩和・迅速化
1 実務上の『長期不在』認定・基準|執行の迅速化
実際の『建物明渡執行』の中には長期間債務者が不在・放置されている,というケースも多いです。
この場合『残された動産=目的外動産の処理』が問題となります。
詳しくはこちら|建物明渡強制執行における目的外動産の処分の手続(全体)
『目的外動産の処理』の執行実務上『長期不在』という扱いがあります。
『長期不在』と認定された場合,一定の簡略的な扱い=迅速な執行ができる,というものです。
これについて順次まとめます。
<実務上の『長期不在』認定>
あ 実務上の基準
6か月間の『所在不明』
い 該当しない場合
長期の『不在』であるが『所在が判明』している場合
例;入院中・拘留中・服役中など
2 実務上の『長期不在』|認定方法
『長期不在』の判断・認定の方法についてまとめます。
<『長期不在』の認定方法>
あ 認定方法
催告時に目的建物に立ち入った時に『占有』を判断する
い 具体的判断・認定事項
ア 生活実態の有無イ いつから『不在』か
う 確認事項
ア 『最新の日付』
・カレンダー
・電気・ガス・水道などの公共料金の領収証
・郵便物
・新聞
イ 建物の使用状態ウ 近隣住民へのヒアリング
姿が見えなくなった時期
エ 債権者(代理人)からのヒアリング
連絡が取れなくなった時期
オ 債務名義送達の方法
送達の記録
3 実務上の『長期不在』|動産処理に関する認定の緩和・迅速化
『長期不在』と認定された場合の扱いをまとめます。
<『長期不在』による動産処理の迅速化>
あ 即日売却・近接日売却の判断が容易
『債務者が引き取る見込みがない』と認定できるため
い 差押禁止動産の適用除外を認めやすい
対象建物(場所)で生活していない
→『生活必需品』確保の必要性なし
このように,類型的な判断で簡略的な手続を取る運用がなされています。
これにより,スピーディーに明渡を実現しやすくなります。
<参考情報>
最高裁判所事務総局民事局監修『執行官提要』第5版 法曹会p277〜