【シェアリングサービスの適法化=規制回避の方法(全体)】
1 シェアリング・サービス×適法化|全体
2 シェアリング・サービス×許認可なし|適法化|基本
3 『有償』を避ける方法(全体)
4 『事業』該当を避ける方法
5 『貸す』を避ける方法(概要)
6 シェアリング・サービス|普及×法整備
1 シェアリング・サービス×適法化|全体
シェアリング・サービスは大きなニーズがあり,期待されています。
一方で法規制との抵触という問題もあります。
詳しくはこちら|シェアリング/マッチング・サービス|具体例・法規制の概要
事業化における『適法化』の全般的・一般的な事項を説明します。
まずは『適法化』の方向性を整理します。
<シェアリング・サービス×適法化|全体>
あ 許認可を取得する
『所有者が』貸すことについての許認可を取得する
ア コスト
時間・費用的コストを要する
イ 対象マーケットが小さい
許認可を取得する前提の時点で利用を断念する所有者が多い
い 許認可の取得なし
法規制への抵触を避ける必要がある
→解釈による『違法認定リスク』をテイクする
許認可を『取得する/しない』という大きな2つの方針があります。
『取得しない』方法で適法性を確保する方法について次に説明します。
2 シェアリング・サービス×許認可なし|適法化|基本
シェアリング・サービスを『許認可なし』で『適法化』する方法を整理します。
<シェアリング・サービス×許認可なし|適法化|基本>
あ 法規制を避ける・基本事項
『規制対象の要件』(次項目)のうち1つを『該当しない』にする
→規制対象外となる
=許認可不要となる
い 法規制対象の要件|これを避ける
ア 『有償』イ 『事業』ウ 『貸す』
一般的な『業法=事業の法規制』では,上記の3要素が『規制対象』となっています。
この要件は,法規制を避ける=適法化のための重要な前提事項です。
適法化の具体的な内容・方法については順に説明します。
3 『有償』を避ける方法(全体)
シェアリング・サービスを『有償』に該当させない方法をまとめます。
<『有償』を避ける方法(全体)>
あ 解釈上の『無償』範囲内の料金設定
『無償』には一定の範囲がある
例;実費程度
詳しくはこちら|道路運送法|無償/有償・判断基準|国交省解釈・通達
い 『他サービスとの融合』という方法
規制対象サービス以外のサービスとセットにする
他のサービスは有償とする
規制対象サービスは無償とする
詳しくはこちら|シェアリングサービスと他サービスとの融合による『有償』回避
う 広告モデル
ユーザーは料金を支払わない
サービス提供者は広告料を得る
『有償』の判断は解釈によって異なる
詳しくはこちら|広告モデルとサービスの規制における『有償』との関係
え リアル無償
ア 基本的事項
実際に無償でサービスを提供する
普及・知名度アップを目的とするなど
例;フリーミアムモデル
イ 返金方式による無償モデル
プラットフォームのシステム上,料金の発生を避けられない
例;airbnb
形式的に料金の支払が生じる
→事後的に返金する
お 規約上の『無償』明記(参考)
マッチングサービスにおいて
ユーザーが『無償』で利用することを規約上義務付ける
か 有償に限定されない規制(参考)
=規制対象を『有償』に限定する規定がない規制もある
→このサービスは『無償』でも規制対象(違法)となる
例;食品衛生法
詳しくはこちら|飲食店営業許可|反復継続意思がポイント|出張料理人の許可の要否が曖昧
4 『事業』該当を避ける方法
シェアリング・サービスを『事業』に該当させない方法を整理します。
<『事業』該当を避ける方法>
あ 基本事項
次のいずれかに『該当しない』
→『事業性』が否定される
い 『事業』の要件・基準
ア 反復・継続の意思イ 『事業の遂行』と言える規模
実際には比較的広く『事業』性が肯定されるケースが多いです。
『事業該当性』を回避するハードルは高いです。
詳しくはこちら|業法一般|『業』=反復継続意思+事業遂行レベル|不特定多数は1事情
5 『貸す』を避ける方法(概要)
シェアリングが法規制に抵触する重要な要件が『貸す』というものです。
『貸す』に該当しない方法・方式があります。
<『貸す』を避ける方法(概要)>
あ 契約形式
ア 会員制イ 共有方式ウ 組合方式エ 法人方式オ 信託受益権化方式
い マネタイズポイント=料金設定方式
ア 情報提供料イ 優先交渉権(の対価) 詳しくはこちら|シェアリング×会員制・組合方式|法規制の対象・該当性|基準=独立性
実際の判断では『実態』が重視されます。
契約形態だけで形式的に判断されるわけではありません。
ユーザーと『運営事業者=所有者』との『独立性』が重要な判断事情となります。
6 シェアリング・サービス|普及×法整備
シェアリング・サービスは社会に大きな利益をもたらすものです。
法規制が『現在の社会に最適化されていない』という状況も多いです。
法規制を打ち破る方法の1つが『世論形成』です。
世論形成が『法改正』につながります。
この点『法規制』と『普及』との競争という状況も生じることが多いです。
<シェアリング・サービス|普及×法整備>
あ 普及
ア 『便利・有益』の認知度アップ
現実に利用したことのあるユーザーが大きく増える
イ 信頼性アップ
サービスを工夫して『弊害・事故が生じない』ように徹底配慮する
→現実に『事故が少ない』ことが実証される
→多くの方がサービスへの信頼を高める
い 民主的プロセス→法整備への影響
普及により『実績』(上記)が蓄積される
→『世論=大衆の声』が『既存事業者のロビー活動』に競り勝つ
→規制を緩和する方向の法改正・法整備の実現につながる
う 世論形成vs取り締まり|スピード競争
次の2つの『スピード競争』と捉える見方もできる
ア 新サービスの『普及→実績蓄積』イ 取り締まり=解釈論
新ビジネスモデルについての普及と法規制については別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|ネオ・ラッダイト討伐|3権・テクノロジー・グレーゾーン=ベンチャーの聖域
当事務所は『脱法』『潜脱』を推奨するものではありません。
実際のサービスは,個別的な内容によって適法性の判断が異なります。
新規サービスの提供を検討される際には法律相談や調査を利用されることをお勧めします。