【日本の事業化不足|要因・環境|ガラパゴスマーケット・制度・構造】
1 日本の事業化不足の理由・環境|概要=マーケット+制度
2 日本のマーケット|ガラパゴス化現象
3 ガラパゴス・マーケット×『投資』の進化論=モノマネ優先
4 ガラパゴス・マーケット×『投資』の進化論|結果
5 事業・産業化×環境|U.S.A.|事業化が促進される環境
6 事業・産業化×環境|日本|熱意が抑制される構造
7 日本の事業化×特性・具体例|産業化促成のケースもある
8 日本の政府×新テクノロジー事業化への関与
1 日本の事業化不足の理由・環境|概要=マーケット+制度
日本では新テクノロジーの『事業化』が抑制される傾向があります。
(別記事『日本の経営不足・基本』;リンクは末尾に表示)
まずは事業化が促進されない大まかな要因をまとめます。
<日本の事業化不足の理由・環境|概要>
あ マーケット的環境=ガラパゴス化
次の要因により『ガラパゴス化』が生じている
ア 日本がマーケットとしてそこそこ大きいイ 言語・法規制で『外部からの参入』に一定の障壁がある
い 制度的環境
ア 大企業優遇の制度・傾向
法制度・政府の関与など
イ リスクを回避する環境
それぞれの内容については次に説明します。
2 日本のマーケット|ガラパゴス化現象
日本のマーケットの特殊性として『カラパゴス化』が指摘されます。
このことが,ベンチャーキャピタルの特徴に反映されています。
<日本のマーケット|ガラパゴス化>
あ 単純化された目標
U.S.A.・ヨーロッパで成功したビジネスモデルを日本に導入すること
い 単純化させる要因
日本語=日本単独で標準的に使用する言語
→『言語の障壁』→外国からの参入ハードルがある
一方で1億人以上の成熟した消費者が存在する
=ガラパゴス・鎖国的マーケット
=グローバル化の阻害
※加藤崇氏;参考情報は末尾記載
3 ガラパゴス・マーケット×『投資』の進化論=モノマネ優先
ガラパゴス状態にある場合の『投資』の傾向は構造的に一定方向に進みます。
<ガラパゴス・マーケット×『投資』の進化論|構造>
あ 進化→環境に最適化
U.S.A.のモノマネが効率的な投資スキームとなる
い モノマネが効率的である理由
一からの開発のための巨額の先行投資→不要
『コピー代』だけで足りる
う モノマネのリターン
リターンは『グローバル級』には届かない
しかし『そこそこ』には達する
※加藤崇氏;参考情報は末尾記載
4 ガラパゴス・マーケット×『投資』の進化論|結果
ガラパゴスにおける『投資』の方向性が行き着いた状態をまとめます。
<ガラパゴス・マーケット×『投資』の進化論|結果>
あ 大きなシェアを獲得した『種』
『モノマネベンチャー』→大盛況・オンパレード
い シェアを失った『種』
気概に満ちたベンチャーキャピタリストの欠如
う 淘汰された『気概』
『プロの経営者=真のエリート』の持つ情熱など
(別記事『日本の経営不足・基本』;リンクは末尾に表示)
※加藤崇氏;参考情報は末尾記載
5 事業・産業化×環境|U.S.A.|事業化が促進される環境
事業化・産業化については『真のエリート』の有無がカギとなります(前述)。
日本では『真のエリート』が誕生しにくい環境・要因があります。
この点,米国では多くの事業化・産業化が実現しています。
日本の環境の理解のためにも,最初に米国の環境をまとめます。
<事業・産業化×環境|U.S.A.>
あ 制度・仕組み
ア キャピタルゲインをもたらす仕組み
資金を持たない創業者に大きな利益をもらたす
イ 会社法
創業者に有利な制度が多い
州対抗の『立法の競争』という構造も要因である
い モチベーション促成
創業・企業へのモチベーションが高まる
→事業化への強い意志・情熱を持った者が誕生する
情熱の例;『全てを投げ出してでも事業化する』
う 構造的な現象・環境
『たった1人の情熱的な人が大きなことを成し遂げる』
という現象が構造的に産み出される
え 正のスパイラル
大規模な事業化に成功する者が誕生した
→自己or他者への再投資によるビジネス拡大
→新規事業が量産される
※中島聡氏『週刊Life is Beautiful2015年6月16日号』
6 事業・産業化×環境|日本|熱意が抑制される構造
日本の事業化の環境についてまとめます。
米国の環境(前述)と対照的と言えます。
<事業・産業化×環境|日本>
あ 制度・仕組み
大企業に有利な制度・政策
い 事業化×環境
ア 政府・大企業の体質
規模が大きいほど合議制でしか前に進めない
イ 政府・大企業の構成員の傾向・環境
現時点での地位の維持を優先する
『失敗』を避けるという意欲が非常に強い
スタンス例;『今の職を維持したまま誰かに事業化してもらおう』
う 構造的な現象
構造的に『熱意』を抑制するメカニズムが働く
※中島聡氏『週刊Life is Beautiful2015年6月16日号』
7 日本の事業化×特性・具体例|産業化促成のケースもある
日本の事業化・産業化の特性は実際の産業化に結びついているものもあります。
日本の特性・環境と現実の事業との関係についてまとめます。
<日本の事業・産業化×特性・具体例>
あ 日本でも産業化が可能な条件
投資することが誰の目から見ても正しい事業
→官民をまたいだ合意形成が可能となる
具体例;原発・液晶製造
い 日本では産業化が不可能なタイプ
ア 情熱的な個人=リーダーに投資するイ 細かいマターはリーダーに委ねる
う 日本にはマッチし難いリーダー・スタイル|例
『私に任せてくれればなんとかします』
『細かなことを信じて下さい』
→資金・人材が集まらない
例;Elon Musk・Steve Jobs
※中島聡氏『週刊Life is Beautiful2015年6月16日号』
8 日本の政府×新テクノロジー事業化への関与
日本の政府が新テクノロジー事業化に関与する制度はあります。
しかし実効性として改善の余地が指摘されています。
これについては別記事にまとめてあります。
(別記事『日本政府・投資』;リンクは末尾に表示)
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