【領収証に貼付する収入印紙|印紙額・非課税|弁護士・司法書士など】
1 領収証に貼付する収入印紙|原則ルール・印紙額
2 印紙税の例外的な『非課税』|基本
3 個人についての印紙税非課税
4 法人についての印紙税非課税
5 弁護士・司法書士・税理士など×印紙税|誤解が多いので要注意
6 法人格なき社団についての印紙税非課税
1 領収証に貼付する収入印紙|原則ルール・印紙額
店舗やオンラインの『販売』の際に『領収証』を発行することがあります。
領収証には,内容・金額によって『収入印紙』を貼る義務があります。
義務があるのに貼らない,という場合は『印紙税法違反』としてのペナルティがあります。
収入印紙を貼る義務=印紙税課税対象となる領収証と印紙の金額をまとめます。
実際には細かい例外ありますので,それはその後説明します。
<印紙税|原則的な課税対象・印紙の額>
あ 原則的な課税対象
商品・サービスの対価としての『売上代金』の領収証(受取書)
※印紙税法2条,別表第1第17号
い 印紙の金額
受領金額 | 印紙額 |
5万円未満 | ゼロ(非課税) |
〜100万円以下 | 200円 |
〜200万円以下 | 400円 |
〜300万円以下 | 600円 |
〜500万円以下 | 1000円 |
〜1000万円以下 | 2000円 |
〜2000万円以下 | 4000円 |
〜3000万円以下 | 6000円 |
〜5000万円以下 | 1万円 |
〜1億円以下 | 2万円 |
〜2億円以下 | 4万円 |
〜3億円以下 | 6万円 |
〜5億円以下 | 10万円 |
〜10億円以下 | 15万円 |
10億円を超える | 20万円 |
2 印紙税の例外的な『非課税』|基本
『売上代金』であっても,例外的に『非課税』となるものがあります。
<印紙税|非課税となる場合|基本>
あ 『非営業』の非課税
営業に関しない受取書
い 『営業』の定義
ア 個人
→商法上の『商行為』に該当する行為
イ 法人
→法令or定款の定めにより利益配当・分配をできる法人が,出資者以外の者との間の取引(事業)
※印紙税法別表第1第17号非課税物件2
『営業』に関しない場合,が印紙税非課税(非課税文書)となります。
ここでの『営業』については,印紙税法定義が規定されていますが,ちょっと複雑です。
代金を受け取る者が『個人/法人/社団』に分けて,整理して説明します。
3 個人についての印紙税非課税
最初に,『個人が売上代金を受領する』という場合に関する『非課税』をまとめます。
<印紙税非課税となる『非営業』|個人の場合>
あ 『商人』としての行為→『営業』に該当する
『商人』=商法上の『商行為』を行う者
『商行為』=『利益を得る目的+反復・継続性』のある行為
い 『営業』に該当しない具体例
ア 雇用される・給与をもらうイ 事業を離れた私的日常生活に関するものウ 農業・林業・漁業を行っている者が無店舗で生産物を販売する行為エ 医師・歯科医師・弁護士・司法書士・公認会計士・税理士などの業務オ 講演・執筆 ※印基通別表第1第17文書の21~26,32
4 法人についての印紙税非課税
『法人が売上代金を受領する』という場合に関する『課税/非課税』をまとめます。
<印紙税課税/非課税|『営業』該当性|法人の場合>
あ 『営利』法人
株式会社・合同会社・合名会社・合資会社
→原則として『営業』に該当する
例外=資本取引
い『公益』法人
公益社団法人・公益財団法人など
→すべて『営業』に該当しない
仮に『収益事業』であっても『営業』として扱われない
う 『営利・公益』どちらでもない法人|分配可能
医療法人・一般社団法人・一般財団法人・NPO法人・協同組合
→『営業』に該当しない
理由=剰余金の分配金の分配等をすることができない
詳しくはこちら|社員の権利義務は出資持分の『あり/なし』で違う|現在は『なし』のみ
え 『営利・公益』どちらでもない法人|分配不可
弁護士法人・司法書士法人・税理士法人など
→『営業』に該当する
理由;『法律上は』利益分配が可能
個別的な定款の内容は関係ない
5 弁護士・司法書士・税理士など×印紙税|誤解が多いので要注意
ちょっと分かりにくい・間違えやすいところがあるのでまとめておきます。
<弁護士・司法書士・税理士が発行する領収証と印紙税>
発行者 | 印紙税 |
『個人としての』弁護士・司法書士・税理士など | 非課税 |
弁護士法人・司法書士法人・税理士法人など | 課税 |
6 法人格なき社団についての印紙税非課税
個人でも法人でもない『法人格なき社団』という団体もあります。
これについて,印紙税の課税/非課税をまとめます。
<印紙税課税/非課税|法人未満の『社団』の場合>
『法人格なき社団』の場合は,目的による
あ 非営利事業
公益や会員相互間の親睦が目的として設立されている場合
→『営業』に該当しない
い 収益事業
→『営業』に該当する