【賃貸住宅管理業登録|メリット・悪質業者対策・利用実態】
1 賃貸住宅の管理業務|悪質な業者→社会問題
2 管理業者による悪質行為×オーナーの責任
3 賃貸住宅管理業×クオリティ確保|公的制度
4 賃貸住宅管理業登録|概要
5 賃貸住宅管理業登録|メリット|優良業者というアピール
6 賃貸住宅管理業|表示・公表|標章などでアピール
7 賃貸住宅管理業登録×違反抑制効果|弱めの設定
8 賃貸住宅管理業登録|利用実態
1 賃貸住宅の管理業務|悪質な業者→社会問題
『賃貸住宅に関する管理業務』の内容は多く,手間がかかります。
オーナーから管理業務を引き受ける事業者は多く存在します。
ところが賃貸住宅の管理業者の悪質な行為が問題となっています。
<管理業者・トラブル|典型例>
ア 家賃保証会社からの求償金について法外な金利が付加されているイ 契約更新の拒絶をなかなか認めてくれないウ 契約解除の違約金が法外な金額となっているエ 賃借人への家賃取立方法が過激・厳しい
このような悪質行為は入居者・オーナーのいずれにとっても不利益です。
2 管理業者による悪質行為×オーナーの責任
管理業者の不正・悪質行為は,オーナーの責任となることもあります。
<管理業者による悪質行為×オーナーの責任>
あ 管理業者の行為×オーナーの責任
管理業者の不正・悪質行為があった場合
→管理業者に損害賠償などの責任が生じる
→オーナーにも責任が生じることがある
い オーナーの『業者選択』の重要性
オーナーは管理業者の選択・監督によって責任を負う
→委託する管理業者を慎重に選択する必要がある
3 賃貸住宅管理業×クオリティ確保|公的制度
多くの事業は,法規制などの公的なクオリティ確保の制度があります。
一般的な業法の規制の目的については別記事で説明しています。
詳しくはこちら|法規制の目的|情報の非対称性=レモンの市場→サービスクオリティ確保
ここでは,賃貸住宅管理業に関する公的な制度をまとめます。
<賃貸住宅管理業×クオリティ確保|公的制度>
あ 業法としての規制
許認可などの参入規制はない
い 任意の登録制度
『賃貸住宅管理業』の公的な登録制度がある
登録は任意である
登録しないで事業を行っても罰則はない
『強すぎない規制』という位置付けである
4 賃貸住宅管理業登録|概要
賃貸住宅管理業登録の制度の概要をまとめます。
<賃貸住宅管理業登録|概要>
あ 登録業者の義務
登録業者は業務に関する一定の義務がある
不正・悪質行為が禁じられている
い 違反行為への措置
登録業者が違反行為を行った場合
→国交省の勧告・登録抹消などを受ける
う 登録業者の表示
登録業者は『登録済』の表示をすることができる
詳しい内容については別記事で説明しています。
(別記事『賃貸住宅管理業登録・基本』;リンクは末尾に表示)
5 賃貸住宅管理業登録|メリット|優良業者というアピール
賃貸住宅管理業登録制度のメリットを整理します。
関係するそれぞれの立場からのメリットに分けてまとめます。
<賃貸住宅管理業登録|メリット>
あ オーナーの立場から
『優良業者』と判断する一環となる
入居者の獲得・良好な関係構築が期待できる(次項目)
『業者の悪質行為によりオーナーが責任を負うこと』が生じないと期待できる(前記)
→管理業務の委託につながる
い 入居者・入居候補者の立場から
『優良業者が管理している』と判断する一環となる
入居者との良好な関係が期待できる
→『入居候補者』の獲得につながる
う 管理業者の立場から
オーナー=顧客候補からの受注につながる
入居者確保=客付け促進の一環となる
6 賃貸住宅管理業|表示・公表|標章などでアピール
賃貸住宅管理業の登録業者の表示や公表の制度があります。
登録していることをアピール・知らせることにつながります。
<賃貸住宅管理業|表示・公表>
ア 登録業者は国土交通省から登録番号を付与されるイ 登録業者はマーク(標章)を掲示できるウ 登録業者は,事業者名が公開されるエ 登録業者のうち,違反者は公開されることがある
7 賃貸住宅管理業登録×違反抑制効果|弱めの設定
賃貸住宅管理業登録制度の問題点が指摘されています。
<賃貸住宅管理業登録×違反抑制効果>
違反に対する罰則規定はない
規定上の対応は上記『フロー』のみである
→違反抑制効果が弱い
制度設計として『強い規制』を避けているので当然とも言える内容です。
『強い規制』の場合はまた別の弊害があります。
詳しくはこちら|業法・法規制の悪影響|『クオリティ確保』の逆効果|評価システム導入ハードル
この制度自体が不適切であると断言するわけではありません。
8 賃貸住宅管理業登録|利用実態
賃貸住宅管理業登録の利用実態を紹介します。
<賃貸住宅管理業登録|利用実態>
あ 利用実態|傾向
手続には一定の手続的・時間的コストを要する
メリットをそれほど大きく感じない業者が多い
→登録した事業者数はそれほど多くない
い 登録業者数
平成27年9月30日時点
3785社
外部サイト|国土交通省|賃貸住宅管理業者検索
結果的にマーケットではあまり評価されていないと言えましょう。