【ドローン事故×重要文化財損傷|文化財保護法違反・姫路城管理条例】
1 ドローン事故×重要文化財損傷|刑事責任・前提事情
2 ドローン事故×重要文化財損傷|刑事責任・結論
3 ドローン事故×重要文化財|姫路城のルール
4 寺院の保護×ドローンの有効活用
1 ドローン事故×重要文化財損傷|刑事責任・前提事情
重要文化財の損壊・損傷が生じる実例として『ドローン事故』があります。
従前は想定されなかった事故です。
物理的にもルール的にも対応が不十分となっています。
現行の法令を前提に適用関係をまとめてみます。
最初に事案として想定したものをまとめます。
<ドローン事故×重要文化財損傷|刑事責任・前提事情>
あ 事案;想定
Aは,寺社を空中から撮影したいと考えた
ドローンを寺社敷地内で飛行させた
操縦ミスによりドローンが寺社の一部と接触した
ドローンは墜落した
接触により寺社に損傷が生じた
い 認識
Aは寺社の愛好家である
Aは,寺社に損傷を与える意図はなかった
むしろ損傷することを嫌っていた
以上の設定は説明のために,あくまでも想定したものです。
特定の事件の当事者の事案というわけではありません。
2 ドローン事故×重要文化財損傷|刑事責任・結論
上記の事情を前提にして,罰則の適用の結果をまとめます。
<ドローン事故×重要文化財損傷|刑事責任・結論>
あ 罰則の適用|損壊系
次のいずれも『故意犯』だけが処罰対象である
ア 重要文化財保護法違反;損壊・毀損イ 建造物損壊罪ウ 器物損壊罪エ 業務妨害罪
『故意』であれば成立する
(別記事『侵入・上空侵犯×犯罪』;リンクは末尾に表示)
い 罰則の適用|禁止事項違反系
ア 前提事情
『敷地内でのドローン使用禁止』ルールがあった場合
例;条例・規則・掲示・表示など
イ 罰則の適用
『掲示・表示』に違反すること自体は認識していた
→重要文化財の施設の命令違反が成立する
ウ 法定刑
過料10万円以下
(別記事『文化財保護法・重要文化財・基本』;リンクは末尾に表示)
使用禁止のルールについては具体例を次に紹介します。
3 ドローン事故×重要文化財|姫路城のルール
姫路城ではドローン事故が発生し,話題となっています。
姫路城の敷地内でのドローン飛行は禁止するルールがあります。
<ドローン事故×重要文化財|姫路城のルール>
『禁止事項』の1つ
『城の保存に支障を及ぼす行為』
→ドローンを飛行させることも該当する
※姫路城管理条例5条
まさに『文化財保護法』を受けて作られた条例と言えます。
4 寺院の保護×ドローンの有効活用
『寺社×ドローン』は,イタズラ・攻撃,というイメージが拡がりやすいです。
しかし,有効活用のケースも増えつつあります。
参考として,上記事故と同じ姫路のケースを1つ紹介します。
<寺社の保護×ドローンの有効活用>
『西の比叡山』と呼ばれる書写山円教寺@姫路市
ドローンを点検に活用している
※産経ニュース平成27年5月8日