【空家対策特別措置法|空家解体|助言・指導・勧告・措置命令・行政代執行】
1 市町村による空家の除却|行政代執行による強制的解体
2 市町村による空家の除却|行政代執行
3 市町村による空家の除却|略式代執行
4 空家対策特別措置法の行政代執行|従来の制度からの改良
1 市町村による空家の除却|行政代執行による強制的解体
空家対策特別措置法で空家問題への行政の対応が整備されました。
詳しくはこちら|空家対策特別措置法|基本|目的・『特定空家』の定義・調査・情報利用
本記事では空家対策特別措置法のうち,空家の除却に関する制度を説明します。
空家の除却,つまり『解体』について市町村の権限が規定されているのです。
従来の手続を『使いやすく』したのです。
空家対策特別措置法上の手続は『除却』だけではありません。
除却以外も含めた『助言・勧告・措置命令』についてまとめます。
<市町村による空家の除却|助言・指導・勧告・措置命令>
あ 助言・指導
市町村は特定空家の所有者に対し必要な措置の助言・指導ができる
例;空家の除却・修繕・樹木の伐採など
い 勧告
指導・助言後に改善されない場合
→『勧告』をすることができる
『勧告』されると税務上の優遇が適用されなくなる
(別記事『税制改正・補助金』;リンクは末尾に表示)
う 措置命令
勧告した措置が取られない場合
→措置を取ることを命じることができる
え 措置命令違反への罰則
法定刑=過料50万円以下
※空家対策特別措置法16条1項
2 市町村による空家の除却|行政代執行
空家所有者が除却命令に応じない場合には行政代執行ができます。
<市町村による空家の除却|行政代執行>
あ 行政代執行
命令内容が履行されないor不十分or完了しない見込みの場合
→行政代執行を行うことができる
※空家対策特別措置法14条
い 法的な位置付け
一般的な行政代執行の『特則』である
※行政代執行法2条
一般的な行政代執行の制度については別記事で説明しています。
詳しくはこちら|行政代執行|基本・手続|『命令』が前提・裁判所不要
空家対策特別措置法による行政代執行は,一般的な制度を改良したものです(後述)。
3 市町村による空家の除却|略式代執行
空家対策特別措置法による行政代執行には『簡略版』もあります。
<市町村による空家の除却|略式代執行>
あ 前提事情
措置命令の相手を確知することができない
い 略式代執行
行政は自ら措置内容を実行することができる
典型例=空家の除却
『事前に措置命令を発令する』というプロセスは不要である
う 勧告の省略
勧告の相手方を確知することができない場合
→『勧告』も省略できる
※空家対策特別措置法14条10項
4 空家対策特別措置法の行政代執行|従来の制度からの改良
空家対策特別措置法の行政代執行は『公益性』が要件に入っていません。
一般代執行・略式代執行のいずれも同じです。
従来の制度による空家除却の行政代執行では『公益性』が必要です。
これが大きなハードルとなっていました。
『公益性を不要とした』ことは空家対策特別措置法による1つの『改良』です。
詳しくはこちら|一般建物/空家解体・行政代執行|比較|公益性の要件の有無