【軽犯罪法『追随等の罪』・ストーカー規制法・客引き行為|基本】

1 軽犯罪法|追随等の罪|条文|迷惑+つきまとう
2 ストーカー規制法|『つきまとい等』・定義
3 ストーカー規制法|『ストーカー行為』・定義
4 ストーカー規制法|ストーカー行為|罰則
5 追随等の罪・ストーカー規制法|比較
6 追随等の罪×『客引き』行為

1 軽犯罪法|追随等の罪|条文|迷惑+つきまとう

軽犯罪法に『追随等の罪』があります。
条文の規定をまとめます。

<軽犯罪法|追随等の罪|条文>

あ 構成要件(条文)

他人の進路に立ちふさがつて,若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず,又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者

い 法定刑

拘留or科料

拘留 刑事施設への拘置1日以上30日未満 刑法16条
科料 1000円以上1万円未満 刑法17条

※軽犯罪法1条28号

大雑把に言うと『つきまとう』かつ『迷惑』ということになります。
この解釈論については別記事で説明しています。
(別記事『追随等の罪・典型例・判断基準』;リンクは末尾に表示)
『追随等の罪』と非常に似ているものがほかにあります。
これについて次に説明します。

2 ストーカー規制法|『つきまとい等』・定義

ストーカー規制法では一定の『つきまとう』行為が犯罪とされています。
まずは『つきまとい等』の定義からまとめます。

<ストーカー規制法|『つきまとい等』・定義>

あ 目的

行為の目的が次のいずれかに該当する
ア 特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情イ 好意の感情が満たされなかったことに対する怨恨の感情の充足

い 対象者

次のいずれかの者を対象とする
ア ターゲット本人イ ターゲットと社会生活において密接な関係を有する者 例;ターゲットの配偶者・直系の親族・同居の親族

う 行為|主要・抜粋

ア つきまとい・待ち伏せ・進路に立ちふさがるイ 通常所在する場所の付近で見張りをする 例;住居・勤務先・学校
ウ 住居等に押し掛けるエ 行動を監視していると思わせるような事項を告げるオ 義務のないことを行うことを要求する 例;面会・交際
※ストーカー規制法2条1項

以上の『つきまとい等』そのものは犯罪というわけではありません。
説明を続けます。

3 ストーカー規制法|『ストーカー行為』・定義

犯罪として罰則の対象になるのは『ストーカー行為』です。
『ストーカー行為』の定義の中で『つきまとい等』が登場します。

<ストーカー規制法|『ストーカー行為』・定義>

次のすべてに該当する行為
ア 同一の者に対して『つきまとい等』を反復して行うイ 次のいずれかの不安を覚えさせる行為である ・身体の安全・住居等の平穏・名誉が害される不安
・行動の自由が著しく害される不安
※ストーカー規制法2条2項

ストーカー行為は『追随等の罪』ととても似ています。
比較・整理については後述します。

4 ストーカー規制法|ストーカー行為|罰則

『ストーカー行為』に対する罰則をまとめておきます。

<ストーカー規制法|ストーカー行為|罰則>

あ 法定刑

懲役6か月以下or罰金50万円以下

い 親告罪

告訴がなければ公訴を提起できない
※ストーカー規制法13条

5 追随等の罪・ストーカー規制法|比較

軽犯罪法の『追随等の罪』と『ストーカー行為』は似ています。
この2つを比較・整理します。

<追随等の罪・ストーカー規制法|比較>

罪名 追随等の罪 ストーカー規制法違反
つきまといの『反復』 不要 必要
好意の感情 不要 必要
不安を覚えさせる 必要 必要

6 追随等の罪×『客引き』行為

『追随等の罪』は,別の法律における『客引き』とも似ています。
『客引き』行為の禁止についてまとめます。

<追随等の罪×『客引き』行為>

あ 客引き行為

『風俗営業』事業者が『客引き』をした
例;ぼったくり
詳しくはこちら|ぼったくり|レガシー違法ビジネス|被害と警察の対応の実情|無銭飲食対応
法定刑=懲役6か月以下or罰金100万円以下
※風営法22条1号,52条1号

い 客引き×追随等の罪

客引き行為は『追随等の罪』にも該当することがある
『客引き行為』の方が対象行為が狭い傾向にある
『客引き行為』の方が罰則が重い
→『客引き行為』が優先的に適用される

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