【遺言の無効事由の種類(全体・無効主張の特徴・傾向)】

1 遺言の無効事由の種類全体
2 遺言の無効事由の主張の特徴・傾向
3 自筆証書遺言の無効事由ランキング

1 遺言の無効事由の種類全体

遺言は一定の事情により『無効』と判断されることがあります。『無効』となる要因を『無効事由』と呼びます。遺言の無効事由の種類を整理します。

<遺言の無効事由の種類全体>

あ 方式違反(※1)

ア 記載内容 主に自筆証書遺言について
記載内容が法定の方式(要式性)を欠く
詳しくはこちら|自筆証書遺言の方式・要式性(全体・趣旨・有効性判断の方針)
イ 立会証人 証人などの立会人が欠けていた
『欠格者』『不適格の者』が含まれていた
詳しくはこちら|公正証書遺言の証人の『承認』の内容と欠格・不適格と有効性

い 遺言能力の欠如(※2)

遺言者に判断能力が不足していた
詳しくはこちら|遺言能力|基本・全体|年齢・実質的判断|精神状態・遺言の複雑性・背景

う 意思表示の効力がない(※3)

遺言者の真意ではない
民法上の要素の錯誤・詐欺・強迫に該当する
※民法95条,96条

え 自書性の否定(※4)

遺言者が作成したものではない
偽造・変造されたものである
詳しくはこちら|遺言無効|偽造|判断方法|自筆性=筆跡・自書能力・遺言の体裁・動機

お 公序良俗・強行法規違反(※5)

遺言者の意図が法秩序に反する
※民法90条
詳しくはこちら|遺言の実質的内容×有効性|公序良俗違反・判断要素・判例|正妻vs婚外交際

か 共同遺言(※6)

2名以上の連名での遺言
詳しくはこちら|遺言の基本事項|メリット・遺留分との抵触・生前贈与との違い|遺言控除

き 遺言の『撤回』(※6)

撤回されたことにより効力を失った
※民法1022条
詳しくはこちら|遺言の変更・撤回・書き換え|遺言の破棄・目的財産の破棄

け 処分できない財産

遺言者の所有ではない財産など
例;遺言者が経営する法人の所有物
詳しくはこちら|遺言のイレギュラーな記載事項(処分権なし・補充遺言)
関連コンテンツ|不慣れな弁護士のミス→賠償責任|相続・遺言・消滅時効編

2 遺言の無効事由の主張の特徴・傾向

実務で主張される無効事由の大きな傾向についてまとめます。

<遺言の無効事由の主張の特徴・傾向>

主張される無効事由の数が多い傾向がある
実質的には重複するものが多い

3 自筆証書遺言の無効事由ランキング

自筆証書遺言の無効自由として実際に主張される傾向を整理します。

<自筆証書遺言の無効事由ランキング>

頻度 無効事由 前記分類との対応
多い 遺言能力の欠如 前記※2
自書性の否定 前記※4
遺言の意思表示の効力 前記※3,※5
遺言の方式違反 前記※1
少ない 遺言の撤回 前記※6

※『遺言無効確認請求事件の研究(下)』/判例タイムズ1195号p87

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【遺言能力|基本・全体|年齢・実質的判断|精神状態・遺言の複雑性・背景】

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