【不動産賃貸借|解除特約|有効性|差止請求】
1 消費者契約法・不当条項→無効・差止請求|制度概要
2 消費者契約法・不当条項|後見・破産→契約終了
3 消費者契約法・不当条項|不在→契約終了
4 消費者契約法・不当条項|暴力団・違法薬物→契約終了
5 差止請求事例集|オリジナル
1 消費者契約法・不当条項→無効・差止請求|制度概要
不動産の賃貸借契約の条項は,有効性が争われることが多いです。
現在では,適格消費者団体の差止請求がなされることもあります。
この制度の概要をまとめます。
<消費者契約法・不当条項→無効・差止請求|制度概要>
あ 適用対象
『事業者』と『消費者』間の契約
詳しくはこちら|消費者契約法|基本|不当勧誘行為・不当条項・差止請求
い 不当条項→無効
一定の『消費者に不利・不当』な条項
→無効となる
詳しくはこちら|消費者契約法|不当条項|事業者の責任免除・消費者の負担加重
う 適格消費者団体による差止請求
『適格消費者団体』が不当条項の差止を請求できる
事案内容・当事者が公表される
え 従来フォーマット利用のリスク
古い契約書フォーマットを継続して使用している
→適格消費者団体から差止請求を受けるリスクがある
詳しくはこちら|消費者契約法|差止請求|適格消費者団体・公表・提訴前フロー
適格消費者団体による差止請求の実例を,以下紹介します。
2 消費者契約法・不当条項|後見・破産→契約終了
後見や破産を理由とする契約終了の条項に関する差止請求の実例です。
<消費者契約法・不当条項|後見・破産→契約終了>
あ 特約条項
ア 解除・契約終了
次の『対象事情』が生じた場合
→解除・更新拒絶できるor解除したものとする
イ 対象事情
賃借人が後見・保佐・補助開始の審判を受けた時
賃借人について破産・民事再生・会社更生の申立があった時
賃借人が強制執行・仮差押・仮処分を受けた時
い 適格消費者団体による差止請求|任意の改善
これらの条項が改善された
=条項の削除or変更
う 適格消費者団体による差止請求|訴訟
条項を無効と認めた
→差止請求を認容した
※大阪高裁平成25年10月17日
※消費者庁|差止請求事例集(後記)
3 消費者契約法・不当条項|不在→契約終了
不在・留守を理由とする契約解除の差止請求の実例をまとめます。
<消費者契約法・不当条項|不在→契約終了>
あ 特約条項
ア 解除・契約終了
次の『対象事情』が生じた場合
→留守期間1か月で契約が解除される
イ 対象事情
賃借人が賃貸人に無断で15日以上にわたって引き続き留守にした
その間に賃借人から賃貸人に対し何らの連絡もしなかった
い 適格消費者団体による差止請求
改善された
=条項が削除された
※消費者庁|差止請求事例集(後記)
4 消費者契約法・不当条項|暴力団・違法薬物→契約終了
暴力団の出入りや違法薬物に関する契約解除の条項もよくあります。
これについて差止請求がなされた事例をまとめます。
<消費者契約法・不当条項|暴力団・違法薬物→契約終了>
あ 特約条項
ア 対象事情
暴力団関係者,覚せい剤関係者などの出入りがあり近隣から苦情が出た
イ 効果
賃借人は即刻退去する
賃借人は貸主に対し金品などの請求は一切しない
い 適格消費者団体による差止請求
改善された
=条項が削除された
う 理由
『暴力団関係者の出入り』だけでは『賃借人への信頼喪失』につながらない
例えば『暴力団員の取り立てを受けた』ものも該当してしまう
※消費者庁|差止請求事例集(後記)
なお,危険ドラッグに関する条項の設定を業界団体が推奨しています。
詳しくはこちら|賃借人の犯罪や逮捕・捜索による解除特約は有効となることもある
5 差止請求事例集|オリジナル
適格消費者団体による差止請求は『公表』されるルールとなっています。
以上紹介した事案は公表されたものの一部です。
オリジナルの情報はオンラインで開示されています。