【不動産の貸付×消費税|課税or非課税|民泊×ジレンマ→納税回避現象】
1 消費税|基本|課税対象
2 消費税|不動産の貸付|課税/非課税
3 不動産を貸す対価×消費税|まとめ
4 民泊×消費税|基本
5 民泊×消費税|ジレンマ|個人(上記※1)
6 民泊×消費税|ジレンマ|法人→期間設定の問題
7 民泊×消費税|実情・傾向
1 消費税|基本|課税対象
本記事では不動産を貸す場合の消費税の扱いを説明します。
このことは,民泊における『納税回避現象』につながっています。
これについても後述します。
まずは消費税が課税される対象となる『者』についてまとめます。
<消費税|基本|課税対象>
あ 課税対象者
『事業者』の売上のみ
い 『事業者』の内容
ア 個人事業者イ 法人
『営利』などの限定はない
※消費税法2条1項3,4号,4条1項
2 消費税|不動産の貸付|課税/非課税
不動産を貸すことについて『消費税の課税/非課税』はちょっと複雑です。
これをまとめます。
<消費税|不動産の貸付|課税/非課税>
あ 土地の貸付
非課税である
※消費税法6条1項,別表第1『1』号
い 『住宅』の貸付|原則
原則として非課税である
典型例=居住用建物賃貸借
※消費税法6条1項,別表第1『13』号
う 『住宅』の貸付|例外
次のいずれかに該当する場合→課税される
ア 期間が1か月未満の場合イ 旅館業に該当する場合
むしろ『サービス(役務)の提供』という趣旨である
※消費税法6条1項,別表第1『13』号
※消費税法施行令16条の2
※消費税法基本通達6−13−4
え 『住宅』以外の建物の貸付
例外規定がない
→課税される
例;店舗・事務所の賃貸借
3 不動産を貸す対価×消費税|まとめ
不動産を貸す場合の消費税の扱いはちょっと分かりにくいです(前述)。
表を使ってまとめてみます。
<不動産を貸す対価×消費税|まとめ>
貸す物件 | 貸す方式 | 法人・個人事業者 | 非事業者個人 |
土地 | すべて | 非課税 | 非課税 |
住宅 | 期間=1か月未満 | 課税 | 非課税 |
住宅 | 旅館業に該当する | 課税 | 非課税 |
住宅 | 上記以外=いわゆる『賃貸』 | 非課税 | 非課税 |
住宅以外の建物 | すべて | 課税 | 非課税 |
4 民泊×消費税|基本
消費税の申告・納税については『民泊』で問題となっています。
まずは民泊の売上=宿泊料についての課税の有無をまとめます。
<民泊×消費税|基本>
あ 非事業者個人
非課税となる
ただし『非事業者』の判断に問題が生じる(※1)
い 個人事業者・法人
一般的な民泊は『1か月未満』である
→課税される
5 民泊×消費税|ジレンマ|個人(上記※1)
個人が民泊の売上について消費税を申告することの悩みがあります。
これをまとめます。
<民泊×消費税|ジレンマ|個人(上記※1)>
あ 問題の所在
個人が『事業者』に該当するか否か(上記※1)
い 『事業者』の認定・判断
運用するサービスの『規模』で判断される
消費税を申告・納税した場合
=自ら『事業的規模』であることを認めたことになる
→『旅館業』に該当することにつながる
→『無許可営業』ということにつながる
(別記事『旅館業の定義・解釈基準』;リンクは末尾に表示)
6 民泊×消費税|ジレンマ|法人→期間設定の問題
法人が民泊の売上について消費税を申告する場合にも悩みが生じます。
<民泊×消費税|ジレンマ|法人→期間設定の問題>
あ 前提事情
『1か月の定期借家契約』を用いている
このような典型的な方法については,次のような問題が生じる
い 消費税×ジレンマ
消費税を申告・納税した場合
=自ら『1か月未満を想定している』or『旅館業に該当する』ことを認めたことになる
→『旅館業』に該当することにつながる
→『無許可営業』ということにつながる
(別記事『旅館業の定義・解釈基準』;リンクは末尾に表示)
7 民泊×消費税|実情・傾向
民泊の売上について,結果的に生じている実情・傾向をまとめます。
<民泊×消費税|実情・傾向>
あ 実情・傾向
個人・法人ともに『消費税を申告しない』傾向がある
い 法整備促進作用
法整備が進み『グレー状態』が解消された場合
→消費税申告へのブレーキがなくなる
→申告・納税が増える
=税収アップ
→政府としては法整備への意欲が非常に強くなる
詳しくはこちら|シェアリング|ゲリラマーケット|基本|膨大×ミニマムコンプライアンス
このような『悩み』からの因果の流れが『規制緩和・法整備』につながっています。
旅館業法についてはこの『流れ』が急速に実現に向かった動きとなっています。
(別記事『旅館業法・規制緩和・全体』;リンクは末尾に表示)