【一般的付調停|事実上の調停前置・必要的付調停との違い】
1 一般的付調停|基本
2 一般的付調停|実務的・事実上の調停前置
3 一般的付調停×不服申立
4 一般的付調停|必要的付調停とは違う
1 一般的付調停|基本
家庭裁判所の手続は『調停・審判・訴訟』に分けられます。
詳しくはこちら|家事手続の種類の基本(家庭裁判所の調停・審判・訴訟)
『審判・訴訟』については『調停』に付されるという制度があります。
『付調停』という制度です。
<一般的付調停|基本>
あ 一般的付調停|基本
家事審判・訴訟が係属している場合
→裁判所はいつでも職権で調停に付することができる
※家事事件手続法274条1項
い 一般的付調停|実質的基準
『話し合いによる解決』の可能性・合理性が一定程度ある場合
→裁判所が付調停にする
具体的な審理状況・当事者の態度から裁判所が判断する
う 一般的付調停|適用外
『別表第1事件』だけは『調停』自体が使えない
→『付調停』になることはない
※家事事件手続法244条
この制度は『必要的付調停』とは別のものです(後記)。
そこで『一般的付調停』と呼びます。
2 一般的付調停|実務的・事実上の調停前置
一般的付調停は『審判申立』の時に行われることも多いです。
<一般的付調停|実務的・事実上の調停前置>
あ 別表第2事件×調停前置
審判対象事件−別表第2事件
→調停前置の適用はない
詳しくはこちら|家事事件の調停前置の基本(趣旨・不服申立)
い 調停/審判の選択|原則
理論的には,申立人が調停・審判の選択をできる
う 一般的付調停
調停を経ずに家事審判の申立がなされた場合
→裁判所は職権で『付調停』にできる
※家事事件手続法274条1項
え 事実上の調停前置
付調停がなされた場合
→結果的に『調停前置』が適用されたのと同じ状態になる
→『事実上の調停前置』と呼ばれる
実務では特殊な事情がないケースのほとんどで付調停がなされている
3 一般的付調停×不服申立
一般的付調停について納得できないと思うケースもあり得ます。
このような状況での法律上の扱いを整理します。
<一般的付調停×不服申立>
裁判所の裁量が広く認められている(前記)
→『付調停』に対する独立の不服申立はできない
当事者が反対している場合は,裁判所が通常,付調停にはしません。
ですから,実務ではこのようなことは通常生じません。
4 一般的付調停|必要的付調停とは違う
ところで,家庭裁判所の手続では『調停前置』というルールがあります。
調停前置に反する提訴がなされた時に『必要的付調停』がなされます。
本記事で説明した付調停とは別の制度です。
詳しくはこちら|調停前置=必要的付調停|例外=合意成立の余地/見込みなし|調停取下
そこで,本記事における付調停のことを『一般的付調停』と呼びます。
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