【認知届出をしない父に対して家裁の調停・訴訟で認知を求める(強制認知)】
1 強制認知の趣旨は協力しない父への対応である
2 強制認知|手続|全体|分類・調停前置
3 強制認知|調停・審判|内容|協議・調停・不成立
4 強制認知|訴訟|内容=審理・判決・和解
1 強制認知の趣旨は協力しない父への対応である
誕生した子の父が認知届提出(任意認知)をしてくれない場合は,戸籍に父が記録されず,法的な父子関係ができません。
このような場合は,裁判所の手続による強制認知をする方法があります。
本記事では強制認知について説明します。
まずは強制認知の制度の趣旨をまとめます。
<強制認知の制度の趣旨>
あ 任意認知|問題点
任意認知は『父』が届出を行わないと実現しない
詳しくはこちら|認知・基本|任意認知|認知届の提出→法的父子関係発生
い 強制認知|概要
子・母のサイドから『認知請求』をすることができる
家裁の手続により『父が同意しなくても』実現できる
※民法787条
2 強制認知|手続|全体|分類・調停前置
強制認知は家裁の手続として行われます。
家裁の手続に関する分類と調停前置の制度を説明します。
<強制認知|手続|全体>
あ 手続・分類
『訴訟対象事件−特殊調停対象事件』に分類されている
詳しくはこちら|家事事件(案件)の種類の分類(別表第1/2事件・一般/特殊調停)
い 調停前置
まずは『家事調停』を家庭裁判所に申し立てる
調停不成立となった場合は『訴訟提起』ができる(後記)
詳しくはこちら|調停前置|基本|趣旨・不服申立
3 強制認知|調停・審判|内容|協議・調停・不成立
強制認知の『調停・審判』の内容についてまとめます。
<強制認知|調停・審判|内容>
あ 協議・調査
調停において『子であること』の同意に至った場合
→裁判所が事実の確認を行う
→『審判』が成立する
詳しくはこちら|親子関係|調査・立証の内容|原則=DNA鑑定|『夫』の協力なし×工夫
い 調停不成立
調停において合意に至らなかった場合
→調停不成立となり手続は終了する
自動的に『審判移行』にはならない
当事者は『訴訟提起』ができるようになる
4 強制認知|訴訟|内容=審理・判決・和解
強制認知の訴訟の内容をまとめます。
<強制認知|訴訟|内容>
あ 審理
裁判所は『親子関係』の認定を行う
い 判決or和解
『判決』を言い渡す
和解成立に至って終了することもある
う 『不成立』はない
被告が応じない・協力しなくても手続は停滞しない
強制的なDNA鑑定実施などにより判決に至る
この点は調停と異なる
本記事では,強制認知の基本的な内容を説明しました。
実際には,ここ説明したもの以外に細かい規定や解釈があります。
実際に認知に関する問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。
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