【n次相続×遺産分割協議|関係の薄い者が参加→合意困難になる】
1 n次相続×遺産分割協議|解釈論
2 n次相続×遺産分割協議|結論・注意点
1 n次相続×遺産分割協議|解釈論
遺産分割協議への参加者が『単純な相続人』ではないケースもあります。
相続が連続して生じているようなケースです。
『1次(第1)相続』『2次(第2)相続』・・・と呼んでいます。
『数次相続』とか,自然数という意味で『n次相続』と呼ぶこともあります。
具体的事例と解釈論をまとめます。
<n次相続×遺産分割協議|解釈論>
あ 具体例
ア 第1相続
被相続人=甲
相続人=乙・丙・丁・戊
イ 第2相続
被相続人=乙
相続人=A・B
い 解釈論
A・Bが相続により承継した乙の権利義務の中には『乙が甲の共同相続人の1人として有していた権利義務』も含まれる
A・Bは甲の相続財産については乙を通じて丙・丁・戊とともに共同相続人としてその持分に応ずる権利義務を有する
※『増補 不動産登記先例解説総覧』テイハンp721
※昭和29年5月22日民事甲1037号民事局長回答
2 n次相続×遺産分割協議|結論・注意点
相続が連続した場合の遺産分割についての法的判断と注意点を整理します。
<n次相続×遺産分割協議|結論・注意点>
あ 第1相続の遺産分割協議参加者
次の者は全員が『第1相続の遺産分割協議』に参加する
参加者=第1相続の相続人・第2相続の相続人・・・
→全員の合意がないと成立しない
い 遺産分割未了×実務的リスク
遺産分割未了の状態で『相続人』の1人が亡くなった場合
→関係が薄い者が遺産分割協議の参加者にエントリーする
→『全員の合意』が一気に難しくなることがある
さらに『相続人』が亡くなると飛躍的に合意形成が困難となる
う 予防策
遺産分割協議を早めに正式に完了させておく
『口頭での合意』がある=安心感がある,という場合は要注意
各種名義変更まで完了させておくと良い
例;不動産登記・預貯金の名義変更
詳しくはこちら|相続手続全体の流れ|遺言の有無・内容→遺産分割の要否・分割類型・遡及効
本記事では,複数回の相続に関する遺産分割について説明しました。
実際には,個別的な事情によって,法的判断や最適な対応方法は違ってきます。
実際に複数の相続が未了である,という状況において問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。
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