【天下り|原因・実情・悪影響|仕事ほぼなし・高額報酬・競争力抑制】
1 天下り|原因|当事者の利害
2 天下りの仕事と報酬の実情=異常性
3 天下りの仕事と報酬の異常性の実例
4 天下り|悪影響|グローバル・マーケット
5 天下り×米国|参考
1 天下り|原因|当事者の利害
天下りは好ましくないものです。
しかし,法律・制度はこれを抑止できない構造になっています。
詳しくはこちら|天下り×法律・制度→合法賄賂|特別会計・円借款
本記事では,法令以外での天下りの構造を説明します。
まずは関係する当事者のインセンティブに着目してみます。
<天下り|原因|当事者の利害>
あ 役人+天下り先の団体
税金を湯水のように使うことに何の躊躇もない
い 政治家
公共投資という名目で税金をゼネコンに流す
→景気対策になる+票に繋がる
※中島聡氏『週刊 Life is Beautiful』2015年9月1日号
一定のプレイヤーの利害が一致するのです。
2 天下りの仕事と報酬の実情=異常性
天下りのリアルな実情,典型例をまとめます。
<天下りの仕事と報酬の実情=異常性>
あ 一般的な天下りの日常
特殊法人の理事
お抱え運転手付き
毎日オフィスに顔を出す
特に仕事などはない
い 数少ない業務
実質的な業務は次のものくらいである
ア 関係者との会食イ 公式イベントでの挨拶
う アンバランス報酬
報酬は年間1000万円を超える
え 仕組み・構造〜財源を税金とする湯水〜
天下りを受け入れている限り得られるメリット
=役所から補助金を引っ張ってくることが出来ること
※中島聡氏『週刊 Life is Beautiful』2015年8月11日号
3 天下りの仕事と報酬の異常性の実例
天下りの仕事と報酬の効率性が国会で自供されたケースがあります。効率の異常性に委員・傍聴人からのどよめきが生じたと報道されています。
<天下りの仕事と報酬の異常性の実例>
あ 天下った者
嶋貫和男氏
(元)文部科学省人事課
勤務経験=通算15年以上
い 天下った先
明治安田生命保険
顧問
う 顧問報酬と効率性
月約2回の出社
報酬=年額約1000万円
※平成29年2月7日衆院予算委・集中審における自供
え 批判的指摘
ア 民進党・小川淳也議員の指摘
『裏稼業であるあっせんを実行させるために表稼業を用意し、法外な報酬と極めて軽微な勤務条件を与えた』
イ 民進党・玉木雄一郎議員の指摘
『文科省は多くの職員を抱えて各種保険を扱い、保険会社との関係が密接。そこの顧問のポストをうまく利用しながら、あっせん活動を省を挙げて財政的に支える仕組みが色濃い』
お 明治安田生命保険の弁解
(嶋貫氏の顧問就任について)『文科省を中心とした法人営業への助言をしてもらっていた。報酬は労働時間ではなく、嶋貫氏の経験や知見へのもので妥当な水準ととらえている』
※朝日新聞デジタル2017年2月7日
外部サイト|朝日新聞|天下り先『月2回勤務、年収1千万円』国会どよめく
4 天下り|悪影響|グローバル・マーケット
天下りの『効果』の面をまとめます。
<天下り|悪影響|グローバル・マーケット>
あ 一般的影響
自由競争を阻害する
自由競争とはかけ離れた世界観が拡がる
い グローバル影響
日本企業から国際競争力を奪っている
日本発のベンチャー企業の成功を阻止している
閉鎖的=鎖国的な社会構造となっている
※中島聡氏『週刊 Life is Beautiful』2015年9月1日号
最近では『グローバル』な競争が当たり前になってきています。
このこととレガシーな『天下り』が相乗効果を生じています。
悪影響が以前よりも非常に大きくなっているのです。
日本では古来より,行政の力が大きいです。
そのために,投資・経営で失敗する例が散見されています。
詳しくはこちら|行政の肥大化・官僚統治|コスト・ブロック現象|小規模事業・大企業
詳しくはこちら|ロボット開発・SCHAFTを逃した霞が関|DARPA支援+Google買収|哀愁のドラマ
5 天下り×米国|参考
天下りの構造は日本特有とは言い切れません。
似ている構造は米国にもあります。
しかし実質的には大きく異なります。
米国の『天下り』に相当する構造についてまとめます。
<天下り×米国|参考>
あ 業界団体の存在
日本と同様の特殊法人=NPOはたくさんある
い 役員×収入
役員は基本的にボランディア=無給である
う 役員×監視
大口の寄付者が資金の使途に口を出す
え 役員の主な仕事
大まかな資金の使途を決定する
雇用した職員の業務を監視する
公式のイベントで挨拶をする
寄付集めに協力する
お 人材×マーケットメカニズム
連邦政府や州の役人が喜んで天下る理由など全くない
※中島聡氏『週刊 Life is Beautiful』2015年8月11日号