【試用期間・本採用拒否|判例|挨拶できない・経歴詐称・遅刻・居眠り】
1 本採用拒否|合理性|挨拶できない者→無効
2 本採用拒否|合理性|経歴詐称→有効
3 本採用拒否|日本基礎技術事件|業務内容による違い
4 本採用拒否|日本基礎技術事件|従業員の事情・結論
5 本採用拒否|相当性|タイミング|判例
1 本採用拒否|合理性|挨拶できない者→無効
試用期間や本採用拒否の基本的事項は別に説明しています。
(別記事『試用期間・本採用拒否|基本』;リンクは末尾に表示)
本記事では『試用』における本採用拒否の判例を紹介します。
まずは『挨拶できない』者に関する判例です。
<本採用拒否|合理性|挨拶できない者→無効>
あ 事案
従業員が会長に声を出して挨拶しなかった
い 裁判所の判断
本採用拒否は無効である
※東京地裁平成13年2月27日テーダブルジェー事件
う 補足
判決文中では『社会通念上相当(性)』と記述されている
→実質的には『客観的合理的理由』と同一と言える
2 本採用拒否|合理性|経歴詐称→有効
経歴詐称を理由とする本採用拒否が有効となった判例です。
<本採用拒否|合理性|経歴詐称→有効>
あ 事案|概要
従業員が経歴について意図的にあいまいにしていた
=いわゆる経歴詐称である
い 具体的事情
ア 前職でのトラブルを隠蔽していたイ 業務時間中に副業をしていたウ 業務時間中に私用でPCを利用していた
い 裁判所の判断
本採用拒否は有効である
※東京地裁平成21年8月31日アクサ生命ほか事件
3 本採用拒否|日本基礎技術事件|業務内容による違い
本採用拒否の有効性について判断された事例です。
『業務内容の違い』が有効性判断に関わる,というものです。
まずは業務内容の分析の部分をまとめます。
<本採用拒否|日本基礎技術事件|業務内容による違い>
あ 業務内容
地盤改良工事
い 改善措置の内容
チーム作業+職務の内容が危険を伴う
→従業員には次の能力が必要である
う 必要とされる能力
ア 安全配慮能力イ 危険予知能力ウ 時間管理能力+遵守能力(精神) ※大阪高裁平成24年2月10日日本基礎技術事件
4 本採用拒否|日本基礎技術事件|従業員の事情・結論
上記の判例についての説明を続けます。
従業員の事情と裁判所の最終判断をまとめます。
<本採用拒否|日本基礎技術事件|従業員の事情・結論>
あ 従業員の事情
地盤改良工事において,従業員には次の事情があった
ア 作業手順を守らないイ 他の従業員とのスピードが異なるウ 遅刻・居眠りをしていた
い 裁判所の判断|結論
業務内容から改善措置は軽いもので十分である
→本採用拒否は有効である
※大阪高裁平成24年2月10日日本基礎技術事件
5 本採用拒否|相当性|タイミング|判例
本採用拒否の『タイミング』が問題となった事例です。
<本採用拒否|相当性|タイミング|判例>
あ 事案
『試用期間』の残存期間が多い時期に『本採用拒否』と判断した
い 裁判所の判断|結論
最終決断の時期としてまだ早い
=『改善措置』をとる機会がまだあった
→本採用拒否は無効である
※東京地裁平成21年1月30日ニュース証券事件