【平均賃金|計算方法・除外される賃金】
1 平均賃金|基本
2 除外される賃金|基本
3 除外|臨時に支払われた賃金
4 除外|計算期間が3か月を超える賃金
5 除外|通貨以外のもので支払われた賃金
1 平均賃金|基本
労働基準法はいくつかのシーンで『平均賃金』を使います。
本記事では『平均賃金』の計算について説明します。
まずは基本的な計算方法をまとめます。
<平均賃金|基本>
あ 基本的計算式
平均賃金=『ア』÷『イ』
い 用いるパラメータ
『ア』=起算点より前の3か月間に支払われた賃金の総額
ただし,一定の賃金は除外する(※1)
『イ』=『ア』の期間の総日数
※労働基準法12条1項
2 除外される賃金|基本
平均賃金の計算では一定の賃金を除外します。
除外されるものは法律上限定的に示されています。
<除外される賃金|基本(上記※1)>
あ 臨時に支払われた賃金(※2)
い 計算期間が3か月を超える賃金(※3)
う 通貨以外のもので支払われた賃金(※4)
※労働基準法12条4項
それぞれの内容は次に説明します。
3 除外|臨時に支払われた賃金
『臨時に支払われた賃金』は平均賃金から除外されます。
この内容をまとめます。
<除外|臨時に支払われた賃金(上記※2)>
あ 基本的事項
次の2つの種類がこれに該当する
い 支給事由が不確定
臨時的・突発的事由に基づいて支払われたもの
う 支給事由の発生が不確定
支給条件はあらかじめ確定している
しかし,支給事由の発生が不確定である
かつ,支給事由の発生が非常にまれである
え 典型例
ア 結婚手当イ 私傷病手当ウ 加療見舞金エ 退職金
4 除外|計算期間が3か月を超える賃金
『計算期間が3か月を超える賃金』は平均賃金から除外されます。
この内容をまとめます。
<除外|計算期間が3か月を超える賃金(上記※3)>
あ 条文の表現
『3か月を超える期間ごとに支払われる賃金』
い 解釈|基本
賃金の『支払期間』ではなく『計算期間』で判断する
う 典型例|賞与
年3回以内の賞与
→計算期間が3か月を超える
→『除外』に該当する
え 典型例|通勤手当
通勤手当を年2回支給
例;6か月定期の代金相当額
→実質的な『前払い』『まとめ払い』である
→各月払いとして扱う
→『除外』に該当しない
※昭和26年11月1日基収169号
5 除外|通貨以外のもので支払われた賃金
『通貨以外』は平均賃金から除外されます。
実際にはこれに該当するものはないはずです。
<除外|通貨以外のもので支払われた賃金(上記※4)>
あ 該当する賃金
労働協約に定めのない現物給与
い 適法性への抵触
『あ』は通貨払いの原則に違反している
※労働基準法24条