【人を宿泊させる営業×1か月基準|公的判断|ホテル住まい】
1 人を宿泊させる営業×1か月基準|まとめ
2 人を宿泊させる営業×1か月基準|公的判断
3 人を宿泊させる営業×1か月基準|注意
4 ホテル住まい=長期滞在×生活の本拠
1 人を宿泊させる営業×1か月基準|まとめ
旅館業の定義の中に『人を宿泊させる営業』があります。
この基本的な解釈論は別に説明しています。
詳しくはこちら|『旅館業』の定義・解釈|人を宿泊させる営業|基本
『人を宿泊させる営業』の判断の目安に『1か月基準』があります。
本記事ではこの『1か月基準』について説明します。
まずは1か月基準の全体・まとめを示します。
<人を宿泊させる営業×1か月基準|まとめ>
あ 目安的基準=1か月
宿泊期間が『1か月』を超える
→次の2つの基準『い・う』が否定方向となる
→『人を宿泊させる営業』に該当しない方向性となる
い 1か月基準×衛生管理責任
1か月を超えて営業者が『清掃・寝具交換』をしていない
→衛生管理責任は『宿泊者』にあると言える方向性
う 1か月基準×生活の本拠
1か月を超えて宿泊者が滞在している
→生活の本拠が当該施設にあると言える方向性
1か月基準は衛生管理責任と生活の本拠の両方に影響するのです。
通達の内容が曖昧なのでちょっと読み取るのが大変です。
ただ,いずれにしても,そこまで明確な基準ではないです。
公的判断・資料については次に説明します。
2 人を宿泊させる営業×1か月基準|公的判断
前記の1か月基準の元となる公的判断が2つあります。
<人を宿泊させる営業×1か月基準|公的判断>
あ 通達
主に『衛生管理責任』について判断した通達がある
『1か月』という期間がそこまで明確ではない
※昭和63年1月29日厚生省生活衛生局指導課長通知
詳しくはこちら|ウィークリーマンション×旅館業|通達|標準形態
い 厚生労働省資料|平成28年
ア 公表されたイベント
『民泊サービス』のあり方に関する検討会
第1回
平成27年11月27日
イ 資料
旅館業に関する規制について
p5
ウ 内容
旅館業に該当する範囲を『期間』によって整理した図
1か月を境に『旅館業』と『賃貸マンション』を区切っている
外部サイト|厚生労働省|旅館業に関する規制について|p5
このように,いずれもハッキリとした基準ではありません。
あくまでもこの基準は目安として考えるべきです。
3 人を宿泊させる営業×1か月基準|注意
前記の1か月基準の注意点を整理します。
<人を宿泊させる営業×1か月基準|注意>
あ 下宿営業×1か月基準
ア 定義
『下宿営業』は定義上『1か月を超える』期間が想定されている
※旅館業法2条5項
イ 1か月基準との関係
『1か月を超える期間』であっても『宿泊させる営業』を否定しない
い 例外的長期滞在(※3)
例外的に1か月を超える宿泊者がまれに存在する
→『宿泊させる営業』を否定しない
理由=『営業形態として想定する宿泊期間』で判断する
4 ホテル住まい=長期滞在×生活の本拠
滞在期間だけで『旅館業』の該当性が判断できるわけではありません。
分かりやすいケースが『長期滞在』です。
これについては通達で説明されています。
<ホテル住まい=長期滞在×生活の本拠(上記※3)>
あ ホテル×長期滞在
他に生活の本拠を有さない者が,長期間ホテルに滞在する
=いわゆる『ホテル住まい』
→滞在者はホテルに『生活の本拠』を有する
い 営業形態・判断
『営業全体として』はこの宿泊形態を予定していない
→旅館業を否定することにはならない
※昭和61年3月31日付厚生省指導課長通知
う 長期滞在×衛生管理責任
『ホテル営業』の許可を得た施設を前提とすると
営業者には『衛生管理責任』がある
→『長期滞在者の部屋へ営業者が立ち入らない』方式は問題がある
詳しくはこちら|衛生措置義務|基本|法律の委任・違反へのペナルティ
詳しくはこちら|衛生措置義務|標準的内容|衛生管理要領・条例の規定内容