【簡易宿所営業×フロントの要否|基本|衛生管理要領改正】
1 旅館業・設備基準|衛生管理要領
2 衛生管理要領改正|フロント設置|原則
3 衛生管理要領改正|フロント設置|例外
4 衛生管理要領改正|フロント設置|不要条件
5 条例×フロント設置義務
6 フロント業務・外注サービス
7 フロントの仕様・望ましい基準
1 旅館業・設備基準|衛生管理要領
旅館業の設備基準を定めるのは法令だけではありません。
厚生労働省で作成したルールがあります。
『衛生管理要領』という通達です。
この中に『フロント設置』に関する基準もあります。
フロント設置に関するルールは平成28年4月に変更されました。
これについては別に説明しています。
詳しくはこちら|衛生管理要領|改正・変更点|客室幅員・床面積・一般的緩和措置
2 衛生管理要領改正|フロント設置|原則
改正された衛生管理要領におけるフロント設置ルールを説明します。
まずは原則的なルールです。
<衛生管理要領改正|フロント設置|原則(上記※1)>
あ 基準|望ましい
適切な規模の次の設備を設置することが『望ましい』
い 設備|種類
玄関・玄関帳場・フロント・これに類する設備
う 設備|基準
ホテル・旅館営業の設備基準によることが望ましい(※1)
※平成28年3月30日施行令改正通達『別紙1 Ⅱ 第2 3』
改正前はフロントが『必要』と断言されていました。
この改正によって『必須ではない』ことになりました。
さらに,小規模な施設ではもっと緩和されています。
次に説明します。
3 衛生管理要領改正|フロント設置|例外
フロント設置基準は一部変更されました。
<衛生管理要領改正|フロント設置|例外>
あ 例外|前提事情
宿泊者数が10人未満の施設
→平成28年4月から許可基準が緩和された
詳しくはこちら|平成28年4月改正施行令・通達|基本|簡易宿所・延床面積基準緩和
い フロント設置基準|要領改正
『要領』のフロント設置基準も変更された
→一定の条件でフロント設置を不要とした(※2)
※平成28年3月30日施行令改正通達『別紙1 Ⅱ 第2 3』
施行令改正の内容に伴って変更する必要が生じたものです。
4 衛生管理要領改正|フロント設置|不要条件
小規模な施設であればフロントが要求されない,とは限りません。
一定の対応があって初めて『フロント要求なし』となるのです。
<衛生管理要領改正|フロント設置|不要条件(上記※2)>
あ フロント設置適用除外
次の『い〜え』すべてに該当する場合
→フロントの設置は不要である
い 不要要件|10人未満施設
宿泊人数10人以下の施設である
う 不要要件|代替機能
善良の風俗の保持を図るための措置が講じられている
例;フロントの機能を代替する設備が設置されている
え 不要要件|緊急対応体制
緊急時に迅速な対応ができる体制が整備されている
例;事故が発生した時
※平成28年3月30日施行令改正通達『別紙1 Ⅱ 第2 3』
お 制度の流用
『う・え』の要件
→別の制度『伝統的建造物』の緩和措置の規定が流用されている
詳しくはこちら|許可基準緩和|既存制度|伝統的建造物|フロント代替機能・緊急対応体制
この『フロント不要条件』の規定は誤解が生じやすいです。
これに該当しない場合は『フロントが必須』となるわけではありません。
該当しない場合は『フロント設置が望ましい』となるのです(前述)。
いずれにしても,理論的には『必須』ということはないのです。
5 条例×フロント設置義務
以上の説明は旅館業法や衛生管理要領を前提としたものです。
これらとは別に,自治体が条例でフロント設置義務を規定する実例もあります。
このような条例の規定は有効性に問題があります。
しかしいずれにしても,現場ではフロント設置が要求されることになります。
詳しくはこちら|簡易宿所営業×フロントの要否|衛生管理要領×条例・食い違い問題
6 フロント業務・外注サービス
民泊でもフロント業務は一応要求される傾向があるのです(前述)。
これに対応して,フロント業務を提供するサービスも登場しています。
詳しくはこちら|民泊・管理サービス|内容|典型=代行・フロント業務|警備会社参入
7 フロントの仕様・望ましい基準
フロントを設置する場合に,その仕様などの基準があります。
これも『望ましい』設置基準として示されています。
『ホテル・旅館営業』の基準を流用するということになっています。
ホテル・旅館営業のフロント設備基準は別に説明しています。
詳しくはこちら|ホテル・旅館営業×フロント設備義務・基準|簡易宿所でも流用する