【ホテル・旅館×コンシェルジュサービス|法規制|基本】
1 ホテル・旅館×コンシェルジュサービス|具体例
ホテル・旅館に宿泊する方は『付随的サービス』へのニーズがあります。
いわゆる『コンシェルジュサービス』です。
ホテル・旅館×コンシェルジュサービス|具体例
あ チケット手配
各種チケットの手配を行う
例;テーマパーク・歌舞伎・プロ野球観戦
い ガイド・案内
各種観光地へ送迎・案内する
2 コンシェルジュサービス×法規制|概要
コンシェルジュサービスは法規制の対象となることがあります。
関係する主な法規制をまとめます。
コンシェルジュサービス×法規制|概要
実務では『無償にする』ことで抵触を避けることが多くみられます(後述)。
『無償』という判断自体に落とし穴があります。
次に説明します。
3 付随サービス×『有償/無償』判断|概要
宿泊に『送迎』などが付随するモデルはよくあります。
『付随サービス』では『無償/有償』の判断があいまいになりがちです。
これについて、国土交通省の見解が参考になります。
付随サービス×『有償/無償』判断|概要
あ 基本的構造
付随サービスの『反対給付』が特定できない場合
→『無償』と判断される
い 注意|有償になる典型例
ア 第三者が運送費用を負担しているイ 送迎利用者と利用しない顧客の間に料金の差がある
例;送迎料金の加算がある
ウ 送迎利用者と利用しない顧客の間にサービス内容の差がある
例;送迎なしの顧客には一定の特典を提供する
※平成18年9月29日事務連絡・自動車交通局旅客課長
詳しくはこちら|道路運送法|無償/有償・判断基準|国交省解釈・通達
以下、法規制の内容について説明します。
4 コンシェルジュサービス×旅行業法
各種チケットの手配が旅行業法に抵触することがあります(※1)。
旅行業法の規定や解釈はちょっと複雑です。
これについては別に説明しています。
詳しくはこちら|コンシェルジュサービス×旅行業法|該当する/しないサービス
5 自動車の運送サービスの規制(概要)
宿泊客の運送を有料で行うと道路運送法に抵触します。
自動車の運送サービスの規制(概要)(※2)
あ 特定旅客自動車運送事業|定義
自動車の運送サービスを有償で提供することについて
例;特定施設の利用客の輸送
→『い・う』のいずれかに該当する
い 旅客自動車運送事業
ア 規制の種類
事業的規模である場合
『特定旅客自動車運送事業』に該当する
※道路運送法2条3項、3条2号
イ 無許可への罰則
法定刑=懲役1年以下or罰金150万円以下
※道路運送法4条1項、43条1項、97条1号
詳しくはこちら|旅客自動車運送事業(タクシーなど)の規制の全体像
う 自家用自動車有償運送
ア 規制の種類
事業的規模ではない場合
『自家用自動車の有償運送』に該当する
原則的に禁止される
※道路運送法78条
イ 罰則
懲役1年以下or罰金150万円以下
併科あり
※道路運送法97条1号
詳しくはこちら|自家用自動車の有償貸渡(レンタカー)の規制(基本)
6 通訳案内士法|資格制度→廃止方向|概要
外国語でのガイドのサービスは法規制があります(※3)。
『通訳案内士』という資格制度です。
これについては過剰な規制であるとの批判が強いです。
不合理であるため、規制緩和の方針が決まっています。
通訳案内士の規制や緩和方針については別に説明しています。
詳しくはこちら|通訳案内士|参入規制=資格制度|規制改革・緩和方針
7 サービス高度化・多様化×コンシェルジュサービス
法規制が宿泊サービスの充実にブレーキをかけている状況と言えます(前述)。
ところで政府は宿泊サービスの高度化・多様化を推進・促進しています。
宿泊サービスの高度化・多様化への姿勢については別に説明しています。
詳しくはこちら|サービス高度化・多様化→コンシェルジュサービス|政府の促進努力義務
現状では、大きな方針と個々の施策がうまく整合していないように思えます。