【特区民泊の近隣住民への周知義務(対象者・周知内容・反対の扱い)】

1 特区民泊|近隣住民・周知義務
2 近隣住民・周知義務|方法・時期
3 近隣住民・周知義務|周知事項
4 近隣住民・周知義務|周知範囲・対象者|規定
5 近隣住民・周知義務|周知範囲・対象者|まとめ
6 周知結果・近隣住民の反対×認定要件
7 近隣住民の反対×認定不可・認定取消
8 国家戦略特区法施行令への格上げ(概要)

1 特区民泊|近隣住民・周知義務

特区民泊では『近隣住民へのケア』が規定されています。
具体的には近隣住民への周知義務です。

<特区民泊|近隣住民・周知義務>

あ 法令

特区民泊に関する法律・施行令
→近隣住民への周知義務の規定はない
※国家戦略特区法13条
※国家戦略特区法施行令12条

い 条例

事前の周知義務がある
周知内容=事業計画の内容
詳細な内容は規則で定められている(※1)
※大田区民泊条例4条

法律・施行令には規定がありません。
自治体が独自にルールを定めています。
本記事では,標準的な大田区のルールを前提に説明します。

2 近隣住民・周知義務|方法・時期

周知の方法・時期についてまとめます。

<近隣住民・周知義務|方法・時期>

あ 周知方法|基本

『書面』で行う
一般的方法=ポスティング
※大田区民泊規則10条

い 周知方法|説明会

『あ』以外に方法の規定はない
→対面での周知・説明会は必須ではない

う 周知時期・周知期間

規定はない

3 近隣住民・周知義務|周知事項

周知事項の細かい内容をまとめます。

<近隣住民・周知義務|周知事項(上記※1)>

あ 事業者

ア 個人→氏名イ 法人→法人名・代表者の氏名

い 施設

名称・所在地

う 苦情窓口の連絡先

担当者名・所在地・電話番号

え 廃棄物の処理方法
お 緊急時の対応方法

例;火災などの緊急事態
※大田区民泊規則10条

4 近隣住民・周知義務|周知範囲・対象者|規定

周知する対象者の範囲が細かく規定されています。

<近隣住民・周知義務|周知範囲・対象者|規定>

あ 同一建物

施設と同一の建物に他の使用者が存在する場合
→他の使用者

い 別建物|隣接敷地

敷地が隣接している場合
→次の建物の使用者
建物外壁同士の距離が20メートル以内

う 別建物|非隣接敷地

敷地が隣接していない場合
→次のいずれにも該当する建物の使用者
ア 建物外壁同士の距離が20メートル以内イ 敷地境界同士の距離が10メートル以内 ※大田区民泊規則9条

5 近隣住民・周知義務|周知範囲・対象者|まとめ

周知の対象者・範囲を大雑把にまとめます。

<近隣住民・周知義務|周知範囲・対象者|まとめ>

あ マンション

同じ棟のすべての居住者・テナントに周知する必要がある
→数がとても多くなることもある

い 戸建て

周知対象は隣接建物の居住者くらいである
→非常に少ない

6 周知結果・近隣住民の反対×認定要件

近隣住民への周知の『結果』の扱いは規則に明記されていません。

<周知結果・近隣住民の反対×認定要件>

あ 前提事情|事例

マンションの住人の半数以上が民泊に反対している
周辺住民の多数が民泊に反対している

い 認定要件との関係

『近隣住民の賛成』は認定要件にはなっていない

う 近隣住民の反対×実務の扱い|概要

近隣住民の反対が強い場合
→認定不可や認定取消となることがある(※2)

7 近隣住民の反対×認定不可・認定取消

近隣住民の反対は実務ではサービスできないことにつながります。

<近隣住民の反対×認定不可・認定取消(上記※2)>

あ 特定認定審査段階→認定不可

近隣住民とのトラブルが想定される
→程度によってはサービス提供ができない状況と言える
→特定認定をしないことになる
※平成28年5月大田区ヒアリング

い 特定認定後→認定取消

近隣住民とのトラブルが激しい
→苦情対応が適切になされていないと言える
→サービス提供ができない状況と言える
→認定取消ができる
※国家戦略特区法13条9項3号
※国家戦略特区法施行令12条5号
※大田区民泊ガイドライン『第4 7(2)④』
※民泊通達『3』項

民泊通達については別記事で紹介しています。
詳しくはこちら|特区民泊の認定要件とサービス形態(基本)
結局,近隣住民の意向がどの程度影響するのかはハッキリ分かりません。
近隣住民の意向に合理性があるものでないとサービスを止められないはずです。
つまり認定不可・取消は事業者の対応が非常に悪質である場合に限られるべきです。

8 国家戦略特区法施行令への格上げ(概要)

以上の自治体のルールは,平成28年10月に,国家戦略特区法施行令に盛り込まれることになりました。
やや非公式なルールから公式の全国統一のルールに格上げされたといえるでしょう。
詳しくはこちら|特区民泊に関する平成28年10月国家戦略特区法施行令改正

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【特区民泊|立入権限|法令との抵触・条例の有効性問題】

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