【賃貸借/宿泊サービス|判断|基準類似・結果連動】
1 賃貸借/宿泊サービス|比較・まとめ
2 一般的な賃貸借|本質
3 一般的な賃貸借|内容
4 一般的な賃貸借×旅館業・占有判断
5 一般的な宿泊サービス|本質
6 一般的な宿泊サービス|内容
7 一般的な宿泊サービス×旅館業・占有判断
1 賃貸借/宿泊サービス|比較・まとめ
賃貸借と宿泊サービスは従来は『別のもの』でした。
しかし,最近はその中間的な『民泊』が普及しています。
本記事では一般的な賃貸借と宿泊サービスを比較してみます。
まずは全体のまとめを示します。
<賃貸借/宿泊サービス|比較・まとめ>
種類 | 一般的な賃貸借 | 一般的な宿泊サービス |
衛生管理責任 | 入居者 | ホスト |
生活の本拠 | あり | なし |
『旅館業』該当性 | 該当しない | 該当する |
入居者の占有 | 認められる | 認められない |
なお,これはあくまでも一般的な事情を前提にしています。
その意味で判断の目安・傾向です。
当然ですが,具体的なサービス内容で判断は違ってきます。
注意点は別に説明しています。
(別記事『宿泊サービス|ゲストの占有リスク』;リンクは末尾に表示)
一般的な賃貸借・宿泊サービスの内容は以下説明します。
2 一般的な賃貸借|本質
一般的な賃貸借契約の本質部分をまとめます。
<一般的な賃貸借|本質>
あ 提供する価値
部屋を利用できる状態
い 提供するサービス|本質
『ユーザーが使用を使用すること』を『させる』こと
→妨害しないこと
※民法601条
3 一般的な賃貸借|内容
賃貸借契約の一般的な内容を整理します。
<一般的な賃貸借|内容>
あ 立ち入り
ホストは居室内に立ち入らない
ホストは緊急時以外,合鍵を使うことはない
い 衛生管理
ホストは衛生管理を行わない
例;リネン・クリーニング
う 備品提供
ホストは寝具・家具類を提供しない
ゲストが寝具・家具を持ち込むことは許容されている
え 生活の本拠
ゲストが『生活の本拠とする』ことが前提となっている
ア 住民票上の住所とすることは許容されているイ 一定の長期間の滞在が前提となっている
例;2年
これについては『1か月』という目安もある
詳しくはこちら|人を宿泊させる営業×1か月基準|公的判断|ホテル住まい
4 一般的な賃貸借×旅館業・占有判断
上記の事情を元に『旅館業・占有』の判断をまとめます。
<一般的な賃貸借×旅館業・占有判断>
あ 旅館業該当性
衛生管理責任がホストにはない
入居者の生活の本拠となっている
→『旅館業』に該当しない
い 占有判断
入居者の『事実上の支配』がとても強い
→入居者の占有がある
→明渡には一定の法的手続が必要となる
詳しくはこちら|明渡実現方法|全体|賃料滞納への対応・違法を避ける方法
5 一般的な宿泊サービス|本質
一般的な宿泊サービスの本質部分をまとめます。
<一般的な宿泊サービス|本質>
あ 提供する価値
宿泊込みで滞在できる状態
い 提供するサービス|本質
『宿泊できる環境』を提供する
6 一般的な宿泊サービス|内容
宿泊サービスの一般的な内容を整理します。
<一般的な宿泊サービス|内容>
あ 立ち入り
ホストが居室内に立ち入ることがある
ホストは日常的に合鍵を使う
例;ふとんの上げ下げ・衛生管理(『い』)
い 衛生管理
ホストは衛生管理を行う
例;リネン・クリーニング
う 備品提供
ホストは寝具・家具類を設置する
ゲストが寝具・家具を持ち込むことは許容されていない
え 生活の本拠
ゲストが『生活の本拠』とすることは想定されていない
ア 住民票上の住所とすることは許容されていないイ 短期間の滞在が前提となっている
例;1泊2日
ウィークリーマンションに関する判断と似ています。
詳しくはこちら|ウィークリーマンション×旅館業|通達|標準形態
7 一般的な宿泊サービス×旅館業・占有判断
上記の事情を元に『旅館業・占有』の判断をまとめます。
<一般的な宿泊サービス×旅館業・占有判断>
あ 旅館業該当性
衛生管理責任がホストにある
ゲストの生活の本拠とならない
→『旅館業』に該当する
詳しくはこちら|『旅館業』の定義・解釈|人を宿泊させる営業|基本
い 占有判断
ゲストの『事実上の支配』が弱い
→入居者の占有はない
→明渡には法的手続は不要である