【簡易宿所営業×フロントの要否|主要自治体の条例・方針|ヤミ条例】
1 通達×条例|食い違い解消要請・有効性|概要
2 東京都|条例|簡易宿所×フロント設置義務あり
3 東京都|条例|簡易宿所×フロント設置義務なし
4 東京以外|条例×フロント設置義務あり・緩和予定
5 千代田区|条例改正→フロント必要
6 台東区|条例改正→フロント必要
1 通達×条例|食い違い解消要請・有効性|概要
簡易宿所営業のフロントは不要という政府の見解があります。
しかし,条例に『フロント設置義務』の規定がある自治体もあります。
厚生労働省の見解と条例に食い違いが生じています。
厚生労働省は自治体に規制緩和を明確に要請しています。
また,理論的な条例の有効性の問題もあります。
不合理な条例の規定は無効となる可能性も十分あります。
厚生労働省の通達や法的有効性については別に説明しています。
詳しくはこちら|簡易宿所営業×フロントの要否|衛生管理要領×条例・食い違い問題
本記事では主要な自治体の条例や方針を説明します。
2 東京都|条例|簡易宿所×フロント設置義務あり
東京23区の条例の規定を整理します。
<東京都|条例|簡易宿所×フロント設置義務あり>
あ 設置義務あり・緩和予定なし=ヤミ条例
渋谷区・新宿区・世田谷区
中央区・豊島区・文京区
千代田区(※1)
台東区(※2)
い 設置義務あり・緩和検討中
大田区
う 設置義務あり・緩和予定あり
杉並区
※平成28年5月現在
外部サイト|毎日新聞|平成28年5月22日東京朝刊
これらの自治体の条例は厚生労働省のルールと食い違う状態です。
さらに『あ』は通達による要請に応じない方針です。
『ヤミ』は民泊運営だけでなく自治体・条例にもあるようです。
区議会議員の中には民泊普及を『民業圧迫』とコメントする人もいます。
既存事業者保護に偏重している傾向があるのかもしれません。
3 東京都|条例|簡易宿所×フロント設置義務なし
条例にフロント設置義務がない自治体をまとめます。
<東京都|条例|簡易宿所×フロント設置義務なし>
足立区・荒川区・板橋区
葛飾区・北区・江東区
品川区・墨田区
中野区・練馬区
港区・目黒区
※平成28年5月現在
外部サイト|毎日新聞|平成28年5月22日東京朝刊
4 東京以外|条例×フロント設置義務あり・緩和予定
東京以外の主要な自治体の方針をまとめます。
<東京以外|条例×フロント設置義務あり・緩和予定>
あ 設置義務あり・緩和予定あり
北海道・群馬県・神奈川県・岐阜県・愛知県
三重県・奈良県・徳島県・高知県・宮崎県
さいたま市・川崎市・新潟市・静岡市・名古屋市
堺市・福岡市
い 設置義務あり・緩和検討中
新潟県・島根県
札幌市・仙台市・横浜市
京都市・大阪市・北九州市
外部サイト|毎日新聞|平成28年5月22日東京朝刊
さすがに東京のように『ヤミ条例』は存在しません。
ヤミ条例の異常性が浮き彫りになっています。
5 千代田区|条例改正→フロント必要
千代田区は,施行令改正よりも数か月前に条例を変更しました。
<千代田区|条例改正→フロント必要(上記※1)>
あ 施行日
平成28年1月1日
い 追加条項|営業従事者常駐義務
ア 基本的事項
『営業者の遵守事項』に追加された
旅館業法全体に適用される
イ 追加事項
営業施設には,営業時間中に営業従事者を常駐させる
※千代田区旅館業法施行条例7条
う 追加条項|フロント設置義務
ア 基本的事項
『簡易宿所営業の施設の構造設備基準』に追加された
イ 追加事項
次の条件の玄関帳場を設置すること
・宿泊者の利用しやすい位置
・受付の事務に適した広さを有する
※千代田区旅館業法施行条例10条3項,8条1号
え 条例改正|千代田区Webページ
現在,衛生管理要領と整合していない状態となっています。
6 台東区|条例改正→フロント必要
東京都台東区は平成28年3月に条例を変更しました。
政府の方針として『フロント不要』が明確化されつつあった時期です。
政府の要請に反する異常事態となっています。
<台東区|条例改正→フロント必要(上記※2)>
あ 制定・施行
平成28年3月29日
東京都台東区旅館業法施行条例改正案を可決した
施行日=平成28年4月1日
い 追加条項|営業従事者常駐義務
ア 基本的事項
『営業者の遵守事項』に追加された
旅館業法全体に適用される
イ 追加事項
営業施設には,営業時間中に営業従事者を常駐させる
※台東区旅館業法施行条例6条5項
う 追加条項|フロント設置義務
ア 基本的事項
『簡易宿所営業の施設の構造設備基準』に追加された
イ 追加事項
宿泊者との面接に適する玄関帳場orこれに類する設備を有する
※台東区旅館業法施行条例9条6項