【建築基準法『旅館・ホテル』判断基準|基本】
1 建築基準法上の『旅館・ホテル』|定義
2 建築基準法の『旅館・ホテル』判断|ヒアリング
3 ウィークリーマンション・サービスアパートメントの扱い|概要
4 建築基準法×特区民泊
5 建築基準法×農林漁業体験民宿
6 建築基準法・旅館業法の連動問題|不合理性
7 農家民宿・建築基準法・通達|正式名称
8 国交省ヒアリング資料|ソース
1 建築基準法上の『旅館・ホテル』|定義
建築基準法では宿泊施設に関する規制があります。
詳しくはこちら|宿泊サービスに関する建築基準法の規制(用途変更・仕様)
実際には規制の対象になるかどうかが曖昧なことがあります。
民泊サービスが曖昧になる代表的なケースです。
ここで『旅館・ホテル』の定義についてまとめます。
<建築基準法上の『旅館・ホテル』|定義>
あ 定義
建築基準法における『旅館・ホテル』の用語
→条文上に定義はない
※建築基準法2条2号など
い 通達|寮・保養所
旅館業法上の旅館業と同様とする
企業の保養所であっても旅館業法上,旅館業として扱うものは建築基準法上も同様とする
※昭和28年3月23日付住指発349号通達『旅館類似の寮又は保養所』
う 通達|簡易宿泊所
簡易宿泊所は建築基準法上『旅館』に含めて取り扱う
ただし,旅館業法・建築基準法で異なる扱いもある(後記※2)
※農家民宿・建築基準法・通達(後記※1)
2 建築基準法の『旅館・ホテル』判断|ヒアリング
『旅館・ホテル』の判断について行政の説明を整理します。
<建築基準法の『旅館・ホテル』判断|ヒアリング>
あ 旅館業法の流用方針
特区民泊・農村漁業体験民宿などの規定のある制度を除く
個々のケースにおける保健所の判断を参照する
旅館業法の通達も参照する
通達=昭和61年3月31日厚生省指導課長通知
詳しくはこちら|『旅館業』の定義・解釈|人を宿泊させる営業|基本
い 独自判断
最終的には保健所とは別に独自に判断する
具体的な法令・規則などはない
類似する事例と比較して検討する
例;日本建築行政会議編集『基準総則集団規定の適用事例』
※平成28年2月大田区建築審査課ヒアリング
3 ウィークリーマンション・サービスアパートメントの扱い|概要
宿泊施設と住居の中間的性格のサービスが登場しています。
ウィークリーマンションやサービスアパートメントがその例です。
これらの建築基準法の扱いについて,一定の基準が示されています。
詳しくはこちら|建築基準法上の扱い|ウィークリーマンション・サービスアパートメント
4 建築基準法×特区民泊
特区民泊のサービスも宿泊施設・住居の中間的性格があります。
地域の指定が建築基準法の規制と似ています。
これについては別に説明しています。
詳しくはこちら|特区民泊|実施エリア×用途地域制限・ゾーニング
5 建築基準法×農林漁業体験民宿
農林漁業体験民宿という特別なサービスがあります。
旅館業法と建築基準法の扱いが異なります。
<建築基準法×農林漁業体験民宿(※2)>
あ 農林漁業体験民宿業|制度概要
農林漁業の体験を目的とする一定の宿泊サービス
→旅館業法の緩和措置がある
※農山漁村余暇法2条5項
詳しくはこちら|農林漁業体験民宿|簡易宿所営業許可・床面積基準の緩和|グリーンツーリズム
い 農林漁業体験民宿業×建築基準法
次のすべてに該当する場合
→建築基準法上『住宅』として扱う
う 住宅扱い|条件
ア 床面積
客室床面積が33平方メートル未満である
イ 避難上の支障
避難上支障がない
例;各客室から直接外部に容易に避難できる
※農家民宿・建築基準法・通達(後記※1)
6 建築基準法・旅館業法の連動問題|不合理性
民泊のうち,特定の形態については例外措置があります(前述)。
しかし民泊一般には,従前の基準以外の特別な公的解釈はありません。
この点,従前の基準については不合理性が指摘されています。
<建築基準法・旅館業法の連動問題|不合理性>
あ 国土交通省見解|連動の不合理性
建築基準法上の用途は旅館業法上の『旅館業』とリンクする必然性はない
規制の趣旨・規制対象は必ずしも一致しない
実際に2つの法律で異なる扱いは存在する
具体例=農林漁業体験民宿(上記※2)
い 国土交通省見解|発想
民泊サービスの状況によって
『主たる用途は住宅』と判断することは可能ではないか
※地域活性化WG・国交省ヒアリング資料(後記※3)
う 閣議決定・平成28年規制改革実施計画
民泊を一定範囲で住宅扱いとする方針
詳しくはこちら|平成28年6月・規制改革実施計画|民泊サービス・マッチング
今後の法整備の中でルールが明確になる予定となっています。
7 農家民宿・建築基準法・通達|正式名称
以上の説明で登場した通達の情報をまとめておきます。
<農家民宿・建築基準法・通達|正式名称(※1)>
農家民宿等に係る建築基準法上の取扱いについて(技術的助言)
→本記事では『農家民宿・建築基準法・通達』と呼ぶ
平成17年1月17日
国住指2496号
国土交通省住宅局指導課長
8 国交省ヒアリング資料|ソース
以上の説明で登場した国交省ヒアリングの元データをまとめておきます。
<国交省ヒアリング資料|ソース(※3)>
あ 資料|タイトル・日付
小規模宿泊業・遊休期間の別荘貸出しについて
→本記事では『地域活性化WG・国交省ヒアリング資料』と呼ぶ
平成27年4月23日
国土交通省 住宅局
い 内容|ヒアリング対象
第11回地域活性化ワーキング・グループ
平成27年1月30日
国土交通省ヒアリング
外部サイト|国土交通省|地域活性化WGヒアリング・資料2−3