【旅館業法|設置場所基準|教育・福祉施設との距離制限】
1 許可基準|設置場所=要保護施設・距離制限|基本
2 設置場所|距離制限|110メートル基準
3 要保護施設
4 社会教育関連施設|典型例
5 審査プロセス|意見照会・回答|概要
6 設置場所|審査・判断|実情
1 許可基準|設置場所=要保護施設・距離制限|基本
旅館業営業許可の基準の中に『設置場所』があります。
まずは基本的事項をまとめます。
<許可基準|設置場所=要保護施設・距離制限|基本>
あ 原則論
次の『い・う』のいずれにも該当する場合不許可とする
い 要保護施設との距離制限
次の2つの距離が約110メートル以下(後記※3)である
ア 要保護施設(後記※1)の敷地イ 申請対象の宿泊施設
う 要保護施設の環境侵害
設置によって要保護施設の清純な施設環境が著しく害されるおそれがある
※旅館業法3条3項
え ポイント
距離制限だけで不許可になるわけではない
『要保護施設の110メートル以内』の場合でも
→許可されることはある(後記※4)
2 設置場所|距離制限|110メートル基準
要保護施設との『距離』の解釈をまとめます。
<設置場所|距離制限|110メートル基準(※3)>
あ 距離|条文規定
『おおむね100メートルの区域内』
※旅館業法3条3項
い 一般的解釈
次のような解釈が一般的である
ア 距離
110メートル
イ 計測箇所
宿泊施設の壁と要保護施設の壁の距離
※大田区・事務手引;非公開
※大田区役所生活衛生課ヒアリング平成28年6月
『おおむね』という言葉を『10%増し』と解釈しているのです。
3 要保護施設
『要保護施設』の内容を整理します。
<要保護施設(※1)>
あ 大学以外の学校
小学校・中学校・高等学校
中等教育学校・特別支援学校・高等専門学校
い 幼保連携型認定こども園
一定の幼稚園・保育園
う 児童福祉施設
助産施設・乳児院・母子生活支援施設
保育所・児童厚生施設・児童養護施設
障害児入所施設・児童発達支援センター
情緒障害児短期治療施設
児童自立支援施設
児童家庭支援センター
※児童福祉法7条1項
え 社会教育関連施設
地方自治体が条例で定めたもの(後記※2)
※社会教育法2条
※旅館業法3条3項
4 社会教育関連施設|典型例
社会教育に関する施設は条例で規定されます。
典型的な規定内容をまとめます。
<社会教育関連施設|典型例(※2)>
主に児童が利用する次の施設
図書館・博物館・公民館・公園・スポーツ施設
※大田区旅館業法施行条例2条1項
5 審査プロセス|意見照会・回答|概要
許可申請における距離制限の審査プロセスの概要をまとめます。
<審査プロセス|意見照会・回答|概要>
あ 照会
保健所から要保護施設に情報が開示される
開示情報=宿泊施設の詳細な情報
保健所が要保護施設に『意見を聴取』する
い 回答
要保護施設が保健所に意見を回答する
※旅館業法3条4項
詳しくはこちら|旅館業・営業許可申請|手続|必要書類・手続の流れ・所要期間
6 設置場所|審査・判断|実情
設置場所に関する審査・判断の実情を整理します。
<設置場所|審査・判断|実情(※4)>
あ 不許可希望回答→ほぼなし
『不許可を求める』という回答がなされることは少ない
『問題がある/ない』程度の簡素なものが多い
い 要望→たまにある
要保護施設が一定の対応・措置を要望する実例はある
ア 照明の色・程度を緩和するイ 窓に目隠しを設置する
う 結論・不許可→ほぼなし
距離制限が理由で不許可となる実例はほとんどない
回答が『問題なし』の場合は通常,不許可の理由にしない
※大田区役所生活衛生課ヒアリング平成28年6月