【専任宅地建物取引士|専従性|代表者×従たる事務所・兼務・監査役】
1 専任宅地建物取引士|専従性|基本
2 専従性|複数士業兼業
3 専従性|法人代表者×従たる事務所
4 専従性|別会社の勤務
5 専従性|監査役
6 専従性|他の法令の制限
1 専任宅地建物取引士|専従性|基本
専任宅地建物取引士として認められる基準があります。
その中に『専従性』があります。
詳しくはこちら|専任宅地建物取引士|基本|設置義務・登録・違反への措置
『専従性』の基本的事項をまとめます。
<専任宅地建物取引士|専従性|基本>
あ 他の業務との兼業
宅地建物取引士が他の業務も併せて従事する場合
→専従性を実質的に判断する
=専ら宅地建物取引業務に従事することができる状態かどうか
い 専従性NG|典型例
1人の宅建取引士が同時に複数の事務所の専任宅地建物取引士を兼ねる
→できない
※岡本正治ほか『改訂版逐条解説宅地建物取引業法』大成出版社p171
2 専従性|複数士業兼業
複数の士業を兼務するケースでの専従性判断を紹介します。
<専従性|複数士業兼業>
あ 前提事情
専任宅地建物取引士が他の『士業』の資格を有する
他の『士業』を兼業・兼務する
同一事務所で常時勤務する
い 士業|例
司法書士
行政書士
土地家屋調査士
不動産鑑定士
う 判断基準
専ら宅地建物取引業務に従事することができる体制にある場合
→専従性を満たす
※昭和48年2月15日千計宅政発第13号建設省計画局宅地部宅地政策課不動産室長回答
3 専従性|法人代表者×従たる事務所
宅建業者の代表者は主たる事務所に常駐することが多いです。
しかしこれ以外の形態も認められています。
<専従性|法人代表者×従たる事務所>
あ 前提事情
宅建業者が法人である
主たる事務所には代表者以外の専任宅建取引士を設置している
い 代表者×従たる事務所
代表取締役が従たる事務所の宅建取引士になること
→差し支えない
※昭和38年1月17日計発第12号建設省計画局長回答
4 専従性|別会社の勤務
いわゆる『かけもち』では専従性が否定される傾向が強いです。
<専従性|別会社の勤務>
あ 他会社の常務
次のいずれかの立場を兼ねる該当する場合
→専従性を欠く
ア 別会社役員
別会社の代表取締役or常勤取締役に就任している
イ 別宅建業者
別の宅建業者の従業員である
い 別会社の非常勤役員
別会社の非常勤役員を兼ねる場合
→専従性を欠くことにはならない
※岡本正治ほか『改訂版逐条解説宅地建物取引業法』大成出版社p172
5 専従性|監査役
監査役は特殊な任務です。
通常の業務から離れているのです。
そこで,専従性判断にも影響しています。
<専従性|監査役>
宅建業者の監査役である場合
→専任の宅建取引士を兼務できない
※会社法335条2項
※昭和45年5月26日計宅政発第506号建設省計画局宅地部宅地政策課長回答
6 専従性|他の法令の制限
複数業務の兼務では専従性が問題になります。
宅建業以外の業務の性質によっては,専従性が否定されます。
<専従性|他の法令の制限>
あ 前提事情
他の法令で『専任』として設置されている場合
=事務所・営業所などにおける『専任』が要件とされている
い 他の法令『専任』|例
ア 業種|例
マンション管理業・建設業・建築士事務所
イ 専任業務|例
管理業務主任者・専任の技術者・管理建築士
※マンション管理適正化法56条
※建設業法7条2号
※建築士法24条
う 専従性×兼務
兼務すること
→専従性が認められない
同一の事務所に常勤する場合も含む
※岡本正治ほか『改訂版逐条解説宅地建物取引業法』大成出版社p172