【双方受託|相手の報酬分水増し事件|判例】
1 双方媒介|相手の報酬分水増し事件|事案
2 双方媒介|相手の報酬分水増し事件|裁判所の判断
1 双方媒介|相手の報酬分水増し事件|事案
双方媒介・両手仲介は多くの害悪の根源と思われます。
本記事では,具体的な実例・判例を紹介します。
まずは事案内容をまとめます。
<双方媒介|相手の報酬分水増し事件|事案>
あ 当事者
買主X
媒介業者Y
所有者=売主A
い 予算・評価の一致
ア X→Y
予算が2億円であると伝えた
イ Y→X
評価額は2億円であると伝えた
う 金額アップ
YはXに2億円での買付証明書の作成を求めた
後日,YはXに買付証明書の再作成を求めた
Xは,金額が『2億2000万円』となっていることに気付いた
Yは『競合者がいる・買えなくなるかもしれない』旨を説明した
え 成約
2億2000万円で売買契約が成立した
お 不正の発覚
代金額のうち693万円について
→『AがYに支払う媒介手数料』であることが発覚した
いわゆる『水増し』であった
※広島高裁平成22年9月17日
2 双方媒介|相手の報酬分水増し事件|裁判所の判断
裁判所は当然,仲介業者の法的責任を認めました。
<双方媒介|相手の報酬分水増し事件|裁判所の判断>
あ 裁判所の判断|評価
YはAから仲介報酬693万円の支払いを受ける合意をした
この手数料を含めて売買代金を決めた
Xのために減額交渉をしなかった
増額分2000万円について
→『Aからの仲介報酬が含まれる』という説明をXにしなかった
YはXへの誠実義務に違反している
※宅建業法31条1項
い 裁判所の判断|結論
XはYに支払う必要のない金銭を支払った
→損害を被った
誠実義務違反=債務不履行に該当する
693万円の請求を認めた
※広島高裁平成22年9月17日