【不動産の相続×相続人の居住|典型的トラブル・予防策】
1 不動産の相続×相続人の居住|典型的トラブル
2 相続人の居住|遺産分割による解決×問題点
3 不動産の相続トラブル×予防策
4 遺言×遺留分|概要
5 近親者間の賃貸借・使用貸借×相続問題
1 不動産の相続×相続人の居住|典型的トラブル
不動産の相続はトラブルにつながりやすいです。
まずは典型的なトラブル発生のメカニズムをまとめます。
<不動産の相続×相続人の居住|典型的トラブル>
あ 基本
不動産は相続によってトラブルが生じることが多い
相続人の1人の住居となっていると深刻な問題となる
い トラブル|典型的要因
『法定相続』の場合
→複数の相続人の遺産共有という状態になる
→権利関係が複雑になる
う トラブル|具体例
遺産の住居に相続人の1人が住んでいる
→他の相続人が明渡・金銭の請求を行う
詳しくはこちら|共有者の1人による共有不動産の使用・占有|全体
2 相続人の居住|遺産分割による解決×問題点
上記の『遺産共有』という状態を解消する手続があります。
『遺産分割』の協議や調停・審判です。
遺産分割による解決するとは言ってもそう簡単ではありません。
解決へのハードルや問題があります。
<相続人の居住|遺産分割による解決×問題点>
あ 遺産分割による解決|基本
複雑な権利関係は,遺産分割により解消する可能性がある
い 遺産分割×問題点
遺産分割をする場合,次の問題がある
ア 不確実
居住者である相続人が住居を取得できるとは限らない
イ 対価の必要性
居住者が住居を取得できたとしても
→一定の対価を支払う必要が生じる
『代償金』と呼ばれる
3 不動産の相続トラブル×予防策
不動産の相続によるトラブルは予防策がいくつかあります。
推奨できる方法をまとめます。
<不動産の相続トラブル×予防策>
あ 遺言の活用
『遺言』により承継者を決めておく
=遺贈・分割方法の指定
詳しくはこちら|遺言の基本事項|メリット・遺留分との抵触・生前贈与との違い|遺言控除
い 利用に関する契約の活用|概要(※1)
生前に不動産利用に関する契約を締結しておく
ア 賃貸借契約イ 使用貸借契約
う 生前の譲渡
生前に居住者に不動産を譲渡する
共有持分の譲渡という方法もある
え 信託の活用
『信託』により『相続後の不動産管理方法』を規定しておく
例;管理者・居住者を決めておく
詳しくはこちら|遺言代用信託|受益者連続型信託の活用・税務の扱い・遺言信託との違い
4 遺言×遺留分|概要
相続トラブルの予防策には落とし穴があります。
予防策が後から無効化されてしまうことがあるのです。
『遺留分』という制度のことです。
遺留分が遺言を無効化する制度の概要をまとめます。
<遺言×遺留分|概要>
あ 遺言によるトラブル予防策|概要
遺言により承継者を決めておく
→遺産分割を避けられる
い 遺留分リスク|概要
遺言内容が『遺留分を侵害』している場合
→他の相続人が遺留分減殺請求をしてしまう
→結局『複数の相続人の共有』状態になってしまう
詳しくはこちら|遺留分の制度の趣旨や活用する典型的な具体例(改正前・後)
遺言などの予防策を取る上では遺留分への配慮が必要です。
5 近親者間の賃貸借・使用貸借×相続問題
親子で住居の貸し借りの状態はよくみられます。
親の所有不動産に親子が同居するなどの状況です。
明確に『賃貸借・使用貸借契約』を締結することがあります(前記※1)。
明確な契約がなくてもそのように認定されることが多いです。
この場合,親が亡くなった後に契約の扱いが難しいことになります。
この解釈については別に詳しく説明しています。
詳しくはこちら|近親者間の賃貸借・使用貸借における貸主の死亡による混同(契約終了)
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